フレンドテロリスト

有箱

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 一昨日付けた傷は、すっかり乾き赤い線だけを残している。一本だけ残った傷が勲章に見えた。
 誰にも知られず――恐らくは――これからも気付かれることもなく、命令は重ねられてゆくだろう。

 終わりを探して、見つけられなくて、今や考えることさえ面倒になっている。疲れきっているはずの心は未だ壊れず、次なる命令に従う為に構えている。
 馬鹿だな。でも仕方ない、どうにもならないんだから。
 白都は自嘲すると、大学へ行く為に立ち上がった。

***

 昼食時、久しぶりに全員が揃った。

「今日は久々に皆でご飯が食べられるねぇ」

 中でも穂積は特に嬉しそうで、集合した時から目を細くしている。

「…………嬉しいですね……」

 白都の膝上で横たわっていた日向だったが、まだ眠っていなかったらしく会話に参戦した。

「ひな、ご飯食べないじゃん」

 可笑しそうに笑った侑也は、日向を一瞥し弁当へ視線を戻す。
 白都は侑也を見たが、侑也は白都を見なかった。

「……にしても寒くなってきたよね……」

 和月は、空いていた左手で右肩を摩る。本日は特に気温が低下しており、白都も寒気を感じていた。

「……場所、変えた方が良いかもしれませんね。賑わしいですけど食堂とか……」

 自然と口をついた言葉の裏、人の目を多く得ていたいとの気持ちに気付き、白都は罪の意識を感じた。
 疑いが止められない。ここにいると、どうしても御面の気配を探ってしまう。
 二人きりになってしまったら――との恐怖もある。

「そうだね、それも良いかもね」

 和月の柔らかな同意に、白都の罪悪感が薄らいだ。終始会話に入らなかった帝だが、首肯だけは見せていた。

***

 バイトを終え帰宅した白都は、回想を重ねて熟考していた。
 信じるため、いや疑わないための策を見つける為に。

 今のところ、完全に御面で無いと分かっているのは日向と、そして和月も恐らくそうだ。
 御面の出現と、和月のバイトの日程が重なった日が確かあった。それが何よりの証拠である。

 そして証拠は無いが、帝も絶対に御面では無い。
 まず彼には理由がないし、何より今まで付き合ってきて悪事を働く人間では無いと分かっている積もりだ。

 だとしたら、残りは侑也と穂積になる。
 彼ら二人を疑いたくは無いが、知っている情報量の少なさから、完全に白だとは言い難い。
 二人の現場不在証明さえ出来れば、御面が友人の中にいなかったと、言葉が嘘だったと分かるのに。
 白都は懸命に、方法を見出そうと努めた。

 夢中で思案に耽っていると、携帯が着信音を鳴らした。宛先は御面で、ぱっと見だけで命令だと把握した。
 しかし、その中で見えた単語に、白都は驚愕を隠せなかった。
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