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一章
1-3 ユーリスの回想
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コレット村から出発して4時間ほど経つ。
ユーリス達は他愛も無い会話を終え、特に話すこともなく、サルネ村へ続く道を歩いている。
ユーリスは会話が無いことに気まずさを感じる訳でもなく、逆に居心地の良ささえ感じていた。
鼻歌まじりで隣を歩く幼馴染を横目で見る。
随分と男らしい顔付きになったと思う。
物心着く前から、一緒にいる一個下の幼馴染とは兄弟のように育てられてきた。
そそっかしくて、ぼけっとしているのにたまに男らしさを見せる幼馴染に兄弟以上の気持ちがいつからか芽生えた。
いつ芽生えたのか定かではないが最初に強く思ったのはリュウトが本気で冒険者になると言い出した頃からだ。
リュウトは小さい頃から冒険者に憧れており、大きくなったら冒険者になると周りに言っていた。
初めは周りの大人たちは冗談半分で聞き流し、夢があっていいわねぇなどと近所のおばさんも言っていた。
しかし、大きくなるにつれ、独学で剣術を覚え、たまに村に来る冒険者にどうしたら強くなれるのかや旅の仕方を聞き出していた。
次第に周りからは本当に冒険者になると思われ、応援させている。
ユーリスは純粋に関心すると同時に酷く焦った。
このまま二人でこの村で育ち、互いに家庭を持って、親がしてくれた様に生まれてきた子供達を一緒に面倒見るのだと思い描いていたから。
この焦りは置いてかれる寂しさから来ると思ったが、どうやら一緒に居たいという恋心からくるものだとこの時に分かった。
その後、ユーリスはリュウトの両親に冒険者の危険性やこの村の損失を訴えた。
我ながらせこい奴だと思ったが、どうしようもなかった。
しかし、返ってきた言葉は、
「あの子はしょうがない子だからねぇ」
「俺に似ちまって仕方ねーな、たくっ」
流石は親子である。
当の本人には旅の途中で死んだらどうするのかと馬鹿な質問をしてみれば案の定、「その時はその時だ」と笑われた。
こんな真っ直ぐなリュウトだからこそ惹かれたのだろう。
説得を諦めたユーリスは最後に、自分の父親に冒険者になりたいと告げた。
父親は険しい顔をし、「本気なのか?」と尋ねてきた。
神官は通常、親から子へ受け継いでいく。でなければ、歴代の神官魔術を強く受け継ぐ事が出来ないからである。また、コレット村の様な小さな村には神官の存在は欠かせないのである。ユーリスにもその事については理解していた。
だか、ユーリスはそれ以上にリュウトと離れる事が恐ろしかった。
本気だと答えると「3年は我慢しろ、その間で魔術を教え切る。覚え切る事が出来れば、冒険者になってもいい。ただし、私が死ぬ時にはこの村の神官になってもらう。それまでは好きに生きるといい」
3年。リュウトより1年早く成人するが、2年はリュウトと会えなくなってしまう。しかし、たった2年我慢すれば、リュウトと冒険者になる事ができる。我慢できない訳がない。
成人した次の日から神官としての修行が始まった。
正直、何度も辞めたいと思った。
信仰する神に心を捧げる為、毎朝、近くの湖で体を清め、教会で祈る。また、服装も寝る時以外は、祭服を着る事を決められており、これがもの凄く辛かった。
今までは動きやすい服装だったが、祭服は魔力の流れを良くするために特別な糸で編まれている。
そのため、通常の服よりも重く、祭服だけで4キロほどある。また、日中は首より下の肌を晒してはいけないため季節問わず、長袖、長ズボンでかつ、手袋の着用まで義務づけられた。
非常に歩きにくく、暑がりであったユーリスにとっては拷問である。
また、神官魔術だけでなく、前衛としても役に立てるように格闘術も学ばされた。
父親の指導は厳しく、祭服の下は痣だらけである。
そんな修行から約1年経ち、ユーリスは大分成長した。
リュウトと並ぶに相応しいと思えるまで強くなったと思う。
そんな事を考えつつ、二人は特に喋る事なく、サルネ村へと向かう。
ユーリス達は他愛も無い会話を終え、特に話すこともなく、サルネ村へ続く道を歩いている。
ユーリスは会話が無いことに気まずさを感じる訳でもなく、逆に居心地の良ささえ感じていた。
鼻歌まじりで隣を歩く幼馴染を横目で見る。
随分と男らしい顔付きになったと思う。
物心着く前から、一緒にいる一個下の幼馴染とは兄弟のように育てられてきた。
そそっかしくて、ぼけっとしているのにたまに男らしさを見せる幼馴染に兄弟以上の気持ちがいつからか芽生えた。
いつ芽生えたのか定かではないが最初に強く思ったのはリュウトが本気で冒険者になると言い出した頃からだ。
リュウトは小さい頃から冒険者に憧れており、大きくなったら冒険者になると周りに言っていた。
初めは周りの大人たちは冗談半分で聞き流し、夢があっていいわねぇなどと近所のおばさんも言っていた。
しかし、大きくなるにつれ、独学で剣術を覚え、たまに村に来る冒険者にどうしたら強くなれるのかや旅の仕方を聞き出していた。
次第に周りからは本当に冒険者になると思われ、応援させている。
ユーリスは純粋に関心すると同時に酷く焦った。
このまま二人でこの村で育ち、互いに家庭を持って、親がしてくれた様に生まれてきた子供達を一緒に面倒見るのだと思い描いていたから。
この焦りは置いてかれる寂しさから来ると思ったが、どうやら一緒に居たいという恋心からくるものだとこの時に分かった。
その後、ユーリスはリュウトの両親に冒険者の危険性やこの村の損失を訴えた。
我ながらせこい奴だと思ったが、どうしようもなかった。
しかし、返ってきた言葉は、
「あの子はしょうがない子だからねぇ」
「俺に似ちまって仕方ねーな、たくっ」
流石は親子である。
当の本人には旅の途中で死んだらどうするのかと馬鹿な質問をしてみれば案の定、「その時はその時だ」と笑われた。
こんな真っ直ぐなリュウトだからこそ惹かれたのだろう。
説得を諦めたユーリスは最後に、自分の父親に冒険者になりたいと告げた。
父親は険しい顔をし、「本気なのか?」と尋ねてきた。
神官は通常、親から子へ受け継いでいく。でなければ、歴代の神官魔術を強く受け継ぐ事が出来ないからである。また、コレット村の様な小さな村には神官の存在は欠かせないのである。ユーリスにもその事については理解していた。
だか、ユーリスはそれ以上にリュウトと離れる事が恐ろしかった。
本気だと答えると「3年は我慢しろ、その間で魔術を教え切る。覚え切る事が出来れば、冒険者になってもいい。ただし、私が死ぬ時にはこの村の神官になってもらう。それまでは好きに生きるといい」
3年。リュウトより1年早く成人するが、2年はリュウトと会えなくなってしまう。しかし、たった2年我慢すれば、リュウトと冒険者になる事ができる。我慢できない訳がない。
成人した次の日から神官としての修行が始まった。
正直、何度も辞めたいと思った。
信仰する神に心を捧げる為、毎朝、近くの湖で体を清め、教会で祈る。また、服装も寝る時以外は、祭服を着る事を決められており、これがもの凄く辛かった。
今までは動きやすい服装だったが、祭服は魔力の流れを良くするために特別な糸で編まれている。
そのため、通常の服よりも重く、祭服だけで4キロほどある。また、日中は首より下の肌を晒してはいけないため季節問わず、長袖、長ズボンでかつ、手袋の着用まで義務づけられた。
非常に歩きにくく、暑がりであったユーリスにとっては拷問である。
また、神官魔術だけでなく、前衛としても役に立てるように格闘術も学ばされた。
父親の指導は厳しく、祭服の下は痣だらけである。
そんな修行から約1年経ち、ユーリスは大分成長した。
リュウトと並ぶに相応しいと思えるまで強くなったと思う。
そんな事を考えつつ、二人は特に喋る事なく、サルネ村へと向かう。
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