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今日は私の17回目の誕生日。
両親に、親戚、招いた親しい人たち。みんなが笑顔でお祝いしてくれた。私は幸せだった。
さっきまでは。
「今日、どういう気持ちで来たの?私の誕生日だけど」
「緊張したわ」
ああ、そういう事。
今日初めてキスをして、今日初めて愛しあったつもりになったわけじゃないのね。
「いつから?」
「どうして聞くの?」
「え?」
質問に質問で返され、私は混乱した。
パトリシアは気分を害したらしく、あからさまに眉を潜める。
「愛は個人的な事よ。それを大勢と話して楽しめる人もいるけれど、私は詮索されるのは嫌いなの」
「私から婚約者を奪ったくせに、なに言ってるの?」
幼馴染で親友だと思ってきた少女は、もう目の前には存在しない。
初めて会った性格の悪い令嬢が、なぜか私の部屋にいる。
その性格の悪い見知らぬ令嬢が、私を睨んだ。
「奪った?ロバートはあなたのものじゃないわ」
「私は婚約者よ?私が悪者なの?」
「そうは言わないけれど……あなたにはわからないわね」
そう諦めたように溜息を吐くと、パトリシアはロバートを見上げた。
それはとても馴れ馴れしくて、長年連れ添った夫婦かのような親しさと傲慢さが溢れる仕草だ。
「レーラには受け止めきれないかも」
「パトリシア、僕の想いは変わらない。今日のうちに正式に婚約を破棄し、君と結婚するよ」
幼馴染への怒りと婚約者への悲しみが、頭の中でぐちゃぐちゃになる。
さっき冷めたと思った頭がまた熱くなって、息が乱れて涙が溢れてくる。本当は泣きたいわけじゃないのに、泣いてもどうにもならないと頭の片隅でわかっているのに……わかっているから辛いのに。
「ロバート……!」
私が泣きながら呼んだのは婚約者の名前。
でも、その婚約者は、私ではなくパトリシアを抱き寄せる。
「レーラ、君に落ち度はない。だが謝りはしないよ。僕らの愛は、間違いや過ちではないから。僕らは愛のために戦う。君も早く立ち直るといい」
「勝手な事を言わないで……っ」
「これを乗り越えられるかどうか、それが君の試練だ」
尤もそうに言って、真顔でパトリシアを抱きしめるロバート。私は彼に求婚されて、彼に恋をし、彼を愛した。それがこんな結末を迎えるなんて、酷い。
「出てって……」
泣き崩れながら、私は言葉を絞り出す。
「私の部屋から出て行って……!」
二人はすぐに出て行った。戸口を塞いでいた私を避ける時なんて、塵を避けるみたいな足取りだった。
両親に、親戚、招いた親しい人たち。みんなが笑顔でお祝いしてくれた。私は幸せだった。
さっきまでは。
「今日、どういう気持ちで来たの?私の誕生日だけど」
「緊張したわ」
ああ、そういう事。
今日初めてキスをして、今日初めて愛しあったつもりになったわけじゃないのね。
「いつから?」
「どうして聞くの?」
「え?」
質問に質問で返され、私は混乱した。
パトリシアは気分を害したらしく、あからさまに眉を潜める。
「愛は個人的な事よ。それを大勢と話して楽しめる人もいるけれど、私は詮索されるのは嫌いなの」
「私から婚約者を奪ったくせに、なに言ってるの?」
幼馴染で親友だと思ってきた少女は、もう目の前には存在しない。
初めて会った性格の悪い令嬢が、なぜか私の部屋にいる。
その性格の悪い見知らぬ令嬢が、私を睨んだ。
「奪った?ロバートはあなたのものじゃないわ」
「私は婚約者よ?私が悪者なの?」
「そうは言わないけれど……あなたにはわからないわね」
そう諦めたように溜息を吐くと、パトリシアはロバートを見上げた。
それはとても馴れ馴れしくて、長年連れ添った夫婦かのような親しさと傲慢さが溢れる仕草だ。
「レーラには受け止めきれないかも」
「パトリシア、僕の想いは変わらない。今日のうちに正式に婚約を破棄し、君と結婚するよ」
幼馴染への怒りと婚約者への悲しみが、頭の中でぐちゃぐちゃになる。
さっき冷めたと思った頭がまた熱くなって、息が乱れて涙が溢れてくる。本当は泣きたいわけじゃないのに、泣いてもどうにもならないと頭の片隅でわかっているのに……わかっているから辛いのに。
「ロバート……!」
私が泣きながら呼んだのは婚約者の名前。
でも、その婚約者は、私ではなくパトリシアを抱き寄せる。
「レーラ、君に落ち度はない。だが謝りはしないよ。僕らの愛は、間違いや過ちではないから。僕らは愛のために戦う。君も早く立ち直るといい」
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