裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……

希猫 ゆうみ

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ロバートはしつこかった。
けれど父は私がまた思い詰めて行動に移してしまう事を恐れたようで、ロバートを追い返した。

「わかった。レーラ、次の相手を探そう。ワージントン伯爵家は屈辱には屈しない」
「……ええ、よろしくお願いします」

父は私がどれだけ傷ついたかなんてわからないと思う。それでも私の意のままに動くのだから、ある程度、償ってもらえる。

ロバートは違う。
彼には私に償う術さえ与えたくない。

「先に申し上げておきますけれど、お父様」
「今度はなんだ?」
「パトリシアがどうしているか気掛りです。それは、私に直接謝る気があるのかどうか、よくわからないという意味です」
「ブルック伯爵夫人は反省している」
「パトリシア本人の話をしています」
「ブルック伯爵夫人が言うには、外出を禁じている。必要であれば修道院に入れる覚悟はあるそうだ」

呆れてしまう。
私は忘れない。パトリシアはあの日、母親に庇われながら去った。自分の娘を一番の被害者だと思っていたブルック伯爵夫人だって、私にとっては敵だ。

「そもそも、本当にメイドなんですか?」
「どういう意味だ」
「パトリシアが偽造した手紙を、メイドに書かせたなんて嘘なのでは?」
「そんな嘘をついてどうする」

ああ、父に言っても駄目。
この人には話が通じない。

「忘れてください」
「パトリシアに会いたいのか?」
「会ってどうしろと仰るの?」
「話し合えば、また以前のようになれるかもしれないだろう。あんなに仲がよかったじゃないか」

私は父に笑顔を向けた。

「私がパトリシアと仲直りすれば、気兼ねなくブルック伯爵夫人に会えますものね」
「な……!」

図星だったかしら。
だからロバートの肩を持ったの?

「浮気を疑われる気持ちがわかりましたか?」
「……」
「さあ、お父様。新しいドレスを誂えてください。社交界で惨めな姿を晒していては、いつまで経っても求婚なんてしてもらえませんもの」
「……わかった」

父はただ、亡くなった友人への友情から、遺された妻と娘を気にかけている。何か特別な気持ちがあればとっくに手を出しているだろうから、さすがに母も気づくはずだ。

母の性格では、夫の浮気を我慢してまで娘たちの仲良しこよしを見ていられない。

「お父様。次は、心移りしない方を私が選びます。お父様はどうも男の浮気に寛容なようですから」
「したいようにすればいい。だから詰るのはやめろ。お前が嫌いになりそうだ」
「まあ、最初から好きもないでしょうに」

私が笑うと、父は苦しそうに眉を潜めた。
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