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13(ハリエット)
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「ねえ、マシュー。あと二週間で結婚式のはずだったでしょう?私のドレス間に合うわよね?」
「え?」
優しい笑顔を浮かべたまま何故かマシューが凍り付いた。
胸騒ぎがする。
でも、私の為に婚約を破棄してくれたんだから、そういうことよね?
「マシュー」
もし違うとしても、私はもう絶対にマシューを離さない。
だって私にはもうマシューしかいないんだもの。
愛してくれるなら、私だけを愛してくれなくちゃ。
領地も戦争も名誉もしきたりも私の前には無意味なの。
私だけを見て、私が愛するものだけを愛してくれればいいの。
私を愛して。
マシュー。
「あなたは私と結婚したらいいわ。私の事、愛しているでしょう?」
「ハリエット……」
「何をそんなに驚いているの?私の為にこんなに尽くしてくれたんだもの。私、あなたにお返ししなくちゃ」
「……」
「幸せになりましょう?それとも、一度誰かと結婚した女じゃ嫌?」
違うよ。
そんなことあるわけない。
マシュー。
さあ、そう言って。
いつもみたいに私の全てを受け入れて。
「ぬいぐるみを買いに行きましょう?付添い人と同じドレスを着せてあげたいわ」
「ぬいぐるみ……?」
「そうよ。それでね、小さなブーケを持たせてあげるの」
「ハリエット、君、さっきから何を言っているんだい……?」
マシューが愕然としながら私に乾いた声を浴びせる。
じれったいけれど、気づかないふり。でも関係ない。
「婚約を後悔していたのでしょう?それから私が結婚して、あなたも迷いなく結婚しようとしていた。だけど私の結婚は終わったの。間違った相手と結婚したせいよ」
「待ってくれ」
「やっと正しい結婚ができるわ」
「ハリエット」
「私たちやっと幸せになれる」
いつものように抱きしめて貰おうとして身を寄せると、初めてマシューが私のことを押し退けた。
そんなこと、今までならあり得ないはずなのに。
酷い。
「君のことは大切だよ」
マシューが言った。
かなりはっきりした口調だけれど、今までに聞いたことのない硬い声。
そんなの嬉しくない。
優しく甘やかしていてくれてこそのマシューなのに。
「愛してる。でもそれは恋愛じゃない。君は僕の妹みたいな存在なんだ」
「そう思い込んでいるだけよ!だって私たち一滴も血の繋がりはないのよ?」
「そうだけど幼馴染だ!君は僕にとって血の繋がらない妹だよ。家族として愛してるんだ」
「でも結婚しましょうよ!マシューと結婚したいの!私のためにそうしてよ!」
マシューは天井を仰いでから首を振った。
「君はまだ混乱しているんだよ。僕たちは幼馴染だ。僕たちは結婚しない」
「幼馴染は結婚できるわ」
「ハリエット。僕は、レイチェルを愛している」
「嘘よ。私の為に彼女と婚約破棄したくせに」
「君が傷ついていたからだ。僕を必要としていた」
「必要よ!あなたの愛が必要なの!」
「ここにいるじゃないか!」
埒が明かない、と頭で思うより早く唇を重ねていた。
キスよ、マシュー。
あなたの天使ハリエットの甘いキス。
これで目が覚めるでしょう?
「……!」
マシューが私を押し返した。
さっきより強い力で。こんなに可憐な私には突き飛ばされたも同然なのに。
酷い。
「……マシュー?」
酷い!
「どうして……?私よ?あなたのハリエット……」
涙が零れた。
愛するマシューの心には、まだ、あいつがいるんだわ……。
私の人生に立ちはだかる、私の愛を邪魔する、ダウエル伯爵家の令嬢、レイチェルとかいう女が。
許せない。
「マシュー……っ」
こんなに傷ついたのに。
誰よりも愛くるしい私が、泣いているのに。
マシューは忌まわしい汚れを拭い取ろうとするように、力を込めて口元を擦った。
「……君には、まだ、休養が必要みたいだ」
「私、立ち直ったの。あなたのおかげ。好きよ、マシュー。愛してる」
後ずさる。
マシューが私から距離を取る。
「ねえ、マシュー」
いつもみたいに甘えて手を伸ばしても、マシューは掴んでくれなかった。微笑んでもくれない。
まるで私を恐がるように、一歩、また一歩、後ずさっていく。
「マシュー!」
世界でいちばん私を愛してくれる、たった一人の存在。
それがマシュー、あなただったはずよ。
私の人生から立ち去らせたりしない。
そんなの二人とも不幸だもの。もう迷ったりしない。今度こそ幸せを掴んでみせる。私は幸せになるべきだもの。
「愛してるって言って!求婚してよ!!」
「できないよ……」
力無く項垂れるマシューがもどかしくて私は力いっぱい彼の胸を叩いた。
マシューは、今度は私を振り払わなかった。でも全く抵抗しないのは、相手にしていないからだと今の私ならわかる。
オーブリーもそうだったから。
私がお願いしても愛してくれない。
私が泣いてもほったらかし。うんざりしたような溜息をついて何処かへ行ってしまう。
私を愛してとお願いしても、悪魔のような残酷さで離婚を突き付けた。
「……マシュー」
でもマシューはオーブリーじゃないってことも私はよくわかっている。
私は彼を叩くのをやめて、そっと身を寄せ広い胸に顔を埋めた。可愛い私を愛してくれるように。
「私を愛して、マシュー」
「……僕が……」
もうレイチェルの話はうんざり!
でも我慢。
そんないじらしい私をマシューはまた拒絶した。
私の肩に手を置いて、ゆっくり、重く力をかけて押し退けた。
「僕が自分の結婚より君の傍にいることを選んだのは、絶望のあまりに君が死んでしまうと思ったからだ。切迫した状況だった」
「ありがとう」
「でも、それは……君と結婚したかったからではないんだよ。誤解させてすまない」
誤解?
「私、間違っていないわ。これは私たちの人生なのよ」
「僕は誰かと結婚したいとも、誰かの愛がほしいとも思わない。レイチェルの愛が欲しかった」
「彼女はあなたを捨てた」
「僕が裏切ってしまったんだ。僕は……」
ついにマシューが私に厳しい眼差しを向ける。
突き刺してくる。
そして、聞いていられないつまらないお説教を垂れ流し始めた。
「覚悟を決めて君を選んだ。それは誰とも結婚しないという決意だよ、ハリエット。君の幸せを祈ってる。君と同じくらい君を愛してくれる人が現れたら、今みたいに真剣に想いを伝えるといい。だけど忘れないで。『愛してほしい』は相手への愛の証明にはならないこともある。君は今、君だけを愛しているんだ」
幻滅して私は呆然とマシューを見つめた。
婚約中その相手に影響されすぎて、私より大切な何かを見つけてしまったみたいだった。そんな幻は、この私が打ち砕いてあげられる。
幼い頃からずっと知ってる。
本当のマシューは私を世界でいちばん愛しているってこと。
私たちは解放された。本当の愛にやっと気づいた。
だから今度は私の番。
私が、マシューを導いてあげるのだ。
私の元へ。
「え?」
優しい笑顔を浮かべたまま何故かマシューが凍り付いた。
胸騒ぎがする。
でも、私の為に婚約を破棄してくれたんだから、そういうことよね?
「マシュー」
もし違うとしても、私はもう絶対にマシューを離さない。
だって私にはもうマシューしかいないんだもの。
愛してくれるなら、私だけを愛してくれなくちゃ。
領地も戦争も名誉もしきたりも私の前には無意味なの。
私だけを見て、私が愛するものだけを愛してくれればいいの。
私を愛して。
マシュー。
「あなたは私と結婚したらいいわ。私の事、愛しているでしょう?」
「ハリエット……」
「何をそんなに驚いているの?私の為にこんなに尽くしてくれたんだもの。私、あなたにお返ししなくちゃ」
「……」
「幸せになりましょう?それとも、一度誰かと結婚した女じゃ嫌?」
違うよ。
そんなことあるわけない。
マシュー。
さあ、そう言って。
いつもみたいに私の全てを受け入れて。
「ぬいぐるみを買いに行きましょう?付添い人と同じドレスを着せてあげたいわ」
「ぬいぐるみ……?」
「そうよ。それでね、小さなブーケを持たせてあげるの」
「ハリエット、君、さっきから何を言っているんだい……?」
マシューが愕然としながら私に乾いた声を浴びせる。
じれったいけれど、気づかないふり。でも関係ない。
「婚約を後悔していたのでしょう?それから私が結婚して、あなたも迷いなく結婚しようとしていた。だけど私の結婚は終わったの。間違った相手と結婚したせいよ」
「待ってくれ」
「やっと正しい結婚ができるわ」
「ハリエット」
「私たちやっと幸せになれる」
いつものように抱きしめて貰おうとして身を寄せると、初めてマシューが私のことを押し退けた。
そんなこと、今までならあり得ないはずなのに。
酷い。
「君のことは大切だよ」
マシューが言った。
かなりはっきりした口調だけれど、今までに聞いたことのない硬い声。
そんなの嬉しくない。
優しく甘やかしていてくれてこそのマシューなのに。
「愛してる。でもそれは恋愛じゃない。君は僕の妹みたいな存在なんだ」
「そう思い込んでいるだけよ!だって私たち一滴も血の繋がりはないのよ?」
「そうだけど幼馴染だ!君は僕にとって血の繋がらない妹だよ。家族として愛してるんだ」
「でも結婚しましょうよ!マシューと結婚したいの!私のためにそうしてよ!」
マシューは天井を仰いでから首を振った。
「君はまだ混乱しているんだよ。僕たちは幼馴染だ。僕たちは結婚しない」
「幼馴染は結婚できるわ」
「ハリエット。僕は、レイチェルを愛している」
「嘘よ。私の為に彼女と婚約破棄したくせに」
「君が傷ついていたからだ。僕を必要としていた」
「必要よ!あなたの愛が必要なの!」
「ここにいるじゃないか!」
埒が明かない、と頭で思うより早く唇を重ねていた。
キスよ、マシュー。
あなたの天使ハリエットの甘いキス。
これで目が覚めるでしょう?
「……!」
マシューが私を押し返した。
さっきより強い力で。こんなに可憐な私には突き飛ばされたも同然なのに。
酷い。
「……マシュー?」
酷い!
「どうして……?私よ?あなたのハリエット……」
涙が零れた。
愛するマシューの心には、まだ、あいつがいるんだわ……。
私の人生に立ちはだかる、私の愛を邪魔する、ダウエル伯爵家の令嬢、レイチェルとかいう女が。
許せない。
「マシュー……っ」
こんなに傷ついたのに。
誰よりも愛くるしい私が、泣いているのに。
マシューは忌まわしい汚れを拭い取ろうとするように、力を込めて口元を擦った。
「……君には、まだ、休養が必要みたいだ」
「私、立ち直ったの。あなたのおかげ。好きよ、マシュー。愛してる」
後ずさる。
マシューが私から距離を取る。
「ねえ、マシュー」
いつもみたいに甘えて手を伸ばしても、マシューは掴んでくれなかった。微笑んでもくれない。
まるで私を恐がるように、一歩、また一歩、後ずさっていく。
「マシュー!」
世界でいちばん私を愛してくれる、たった一人の存在。
それがマシュー、あなただったはずよ。
私の人生から立ち去らせたりしない。
そんなの二人とも不幸だもの。もう迷ったりしない。今度こそ幸せを掴んでみせる。私は幸せになるべきだもの。
「愛してるって言って!求婚してよ!!」
「できないよ……」
力無く項垂れるマシューがもどかしくて私は力いっぱい彼の胸を叩いた。
マシューは、今度は私を振り払わなかった。でも全く抵抗しないのは、相手にしていないからだと今の私ならわかる。
オーブリーもそうだったから。
私がお願いしても愛してくれない。
私が泣いてもほったらかし。うんざりしたような溜息をついて何処かへ行ってしまう。
私を愛してとお願いしても、悪魔のような残酷さで離婚を突き付けた。
「……マシュー」
でもマシューはオーブリーじゃないってことも私はよくわかっている。
私は彼を叩くのをやめて、そっと身を寄せ広い胸に顔を埋めた。可愛い私を愛してくれるように。
「私を愛して、マシュー」
「……僕が……」
もうレイチェルの話はうんざり!
でも我慢。
そんないじらしい私をマシューはまた拒絶した。
私の肩に手を置いて、ゆっくり、重く力をかけて押し退けた。
「僕が自分の結婚より君の傍にいることを選んだのは、絶望のあまりに君が死んでしまうと思ったからだ。切迫した状況だった」
「ありがとう」
「でも、それは……君と結婚したかったからではないんだよ。誤解させてすまない」
誤解?
「私、間違っていないわ。これは私たちの人生なのよ」
「僕は誰かと結婚したいとも、誰かの愛がほしいとも思わない。レイチェルの愛が欲しかった」
「彼女はあなたを捨てた」
「僕が裏切ってしまったんだ。僕は……」
ついにマシューが私に厳しい眼差しを向ける。
突き刺してくる。
そして、聞いていられないつまらないお説教を垂れ流し始めた。
「覚悟を決めて君を選んだ。それは誰とも結婚しないという決意だよ、ハリエット。君の幸せを祈ってる。君と同じくらい君を愛してくれる人が現れたら、今みたいに真剣に想いを伝えるといい。だけど忘れないで。『愛してほしい』は相手への愛の証明にはならないこともある。君は今、君だけを愛しているんだ」
幻滅して私は呆然とマシューを見つめた。
婚約中その相手に影響されすぎて、私より大切な何かを見つけてしまったみたいだった。そんな幻は、この私が打ち砕いてあげられる。
幼い頃からずっと知ってる。
本当のマシューは私を世界でいちばん愛しているってこと。
私たちは解放された。本当の愛にやっと気づいた。
だから今度は私の番。
私が、マシューを導いてあげるのだ。
私の元へ。
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