ラプソディ 黒と白の恋慕

維織

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死神憑依

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僕はいつの間にか人間の少女のシロと打ち解けクロという名前まで貰った
シロには説明の出来ない力のようなものがあった
比喩するならば何もかも浄化してしまう程の輝き とでも言うべきだろうか
それ程彼女は美しくて艶やかで輝いているのだ
 
しかし本当にいいものなのだろうか、彼女を死神にしてしまって
死神になる時ある一つの懸念がある
それは少しでも心に闇を持ち併せていると死神になる前に暴走してしまうという事だ

簡単に言うと彼女の様に明るく振る舞ってる人間の方が闇堕ちしやすいという事なのだ
僕はそもそも善も悪もわからなかったから悪に染まることは無かったが果たして善だけで生きてる様な彼女は大丈夫だろうか?
僕はそれが心配でならない
  
「さあ、ここだ」
 
「わー!建物がいっぱいあって素敵ですね!」  
 
「ここは多くの死神が暮らし仕事をしているところだよ」
 
「私が住んでいるところと似ていて賑やかですね」
 
「ああ、死神が暮らしているということ以外変わりはないさ」
 
「おう後輩 そのお嬢さんは誰だい?」
 
「はい、死神志望の人間です」
 
「ほう、女性とは珍しいな」
 
「あの、こちらの方は?」
 
「僕の先輩のブライトさんさ」
 
「ブライトだ よろしく」
 
「私はシロです よろしくお願いします」  
 
「シロか…とてもいい名前だな」
 
「はい、クロが付けてくれたんです!」
 
「ははは…」
 
「クロ…?そうか…」
 
「どうかしたんですか?」
 
「いや、運命には抗えないなと思ってだな」
 
「はあ…」
ブライトさんはとてもいい人だ
実力もあるし死神からの信頼も厚い
だが今回のように偶に謎めいた事を言ってくる時がある
一体ブライトさんは何が言いたいのだろう
「じゃあブライトさんお願いしたいのですが」
 
「おう、任せろ!」
そう言うとブライトさんは何やら呪文を唱えシロに魔法をかけた
どうやらシロは死神になれたらしい
「すごい!体がとても軽いです!」
 
「そうかそうかそれは良かった」
 
「でもなんか不思議な感覚です…何が不純物が入ってくるような…」
 
「!! き、気のせいさ 」
ブライトさんは酷くバツが悪い感じに話す
それを僕が見逃すはずが無かった
「ブライトさんどうしたんですか?驚いたような素振りを見せて」
 
「…あの子は暴走しなかった」
 
「死神にさせる時の事ですか?もう終わったからいいじゃないですか」
 
「それが妙なんだ…あの子は確実に闇を抱えている」
 
「…えっ?!」
 
「気をつけろよ後輩 あの子ら俺たちの敵になるかもしれない」
 
「…心得ておきます」
 
「どうしたんですかー?行きましょうよ、クロ!」
 
「あ、ああ…」
この時僕が気づいていればよかったんだ
シロの中の闇を、シロの本心を
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