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十章.サロン・ルポゼで恋をして
十章 サロン・ルポゼで恋をして④
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その後、何とか立ち直ろうと会社に行っても、待っている仕事は一年目の頃と変わらない雑務ばかり。
反して、アカネはみなみが考えた企画が評価されて、企画営業としてバリバリに仕事をこなしていた。
その姿を見ていたら、怒りや恨みやらは通り越して、寂しいという感情に押し潰されてしまったのだ。
……これをきっかけに、みなみは憧れだった出版社を退職した。
死に物狂いで勉強して、自分をアピールするためにバイトもサークルも全力で取り組んで、やりたくもないゼミ長までこなしてようやく勝ち取った内定だったのに、全てが水の泡になってしまったのだ。
みなみは最後の出社を終え、薄暗くなった東京の街をダラダラ歩いていると、人気のない閑静な路地に迷い込んだ。
心を独占している寂しいという気持ちを解消するべく、あてもなく適当に歩いていたら、普段通らないような狭い道に入ってしまったのだ。
こんな道を歩いても寂しさは解消できないし、そもそもみなみは何のためにプラプラしていたのかもわかっていない。
結局家に帰りたくないだけ……観念して、不透明な現実を受け止めなければならない。
そう決意した瞬間、その路地には勿体ないくらいお洒落なサロンが現れて、みなみはつい目を奪われてしまった。
「サロン・ルポゼか……」
あまり見たことがない英国風の外観に見惚れていると、男の人が扉を開けて手招きをしてくれる。
「すぐ入れますよ」
「は、はい……じゃあお願いします」
男に呼ばれて、みなみは迷わず入店することを決めた。
ちょうど歩き疲れていたところだし、少し休みたかったから。
何よりも、この男性……ネームプレートに『首藤 水』と書かれたこの男性の施術を受けてみたいと、みなみは直感的に感じたのだった。
反して、アカネはみなみが考えた企画が評価されて、企画営業としてバリバリに仕事をこなしていた。
その姿を見ていたら、怒りや恨みやらは通り越して、寂しいという感情に押し潰されてしまったのだ。
……これをきっかけに、みなみは憧れだった出版社を退職した。
死に物狂いで勉強して、自分をアピールするためにバイトもサークルも全力で取り組んで、やりたくもないゼミ長までこなしてようやく勝ち取った内定だったのに、全てが水の泡になってしまったのだ。
みなみは最後の出社を終え、薄暗くなった東京の街をダラダラ歩いていると、人気のない閑静な路地に迷い込んだ。
心を独占している寂しいという気持ちを解消するべく、あてもなく適当に歩いていたら、普段通らないような狭い道に入ってしまったのだ。
こんな道を歩いても寂しさは解消できないし、そもそもみなみは何のためにプラプラしていたのかもわかっていない。
結局家に帰りたくないだけ……観念して、不透明な現実を受け止めなければならない。
そう決意した瞬間、その路地には勿体ないくらいお洒落なサロンが現れて、みなみはつい目を奪われてしまった。
「サロン・ルポゼか……」
あまり見たことがない英国風の外観に見惚れていると、男の人が扉を開けて手招きをしてくれる。
「すぐ入れますよ」
「は、はい……じゃあお願いします」
男に呼ばれて、みなみは迷わず入店することを決めた。
ちょうど歩き疲れていたところだし、少し休みたかったから。
何よりも、この男性……ネームプレートに『首藤 水』と書かれたこの男性の施術を受けてみたいと、みなみは直感的に感じたのだった。
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