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# 秋

文化祭⑧

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 お笑いライブが終わると、カッコイイ音楽と共にライトアップが始まった。
 曲のリズムに合わせ、ダンスサークルのメンバーが陣形を作っていく。
 その中心には車イスに座ったユウキがいて、ユウキを中心にダンスが作られているみたいだ。

「凄いね、車イスの人がセンターで踊ってるよ」

 戸部君が私の耳元でそう呟くと、私は大きく頷いて共感する。
 戸部君はあの車イスの男が、ユウキだとは気づいていないようだ。
 ユウキと会ったことがあるのは、小学校の時だけみたいだったから、当然のことではあるけど。

 ステージで演技をしているユウキは、この遠い距離からでもわかるように、活き活きとしていた。
 あんなに苦労していた車イスの操作を、アクロバティックにこなしている。
 リズミカルに車イスをターンさせると、歓声がひと際大きくなった。
 グループの中でも、岸井さんは特にユウキの近くで踊っていて、私なんかよりよっぽど濃い関係性のように感じる。
 やっぱり、どうしても……耐えられない。

「あれ、ナオちゃん?」

 戸部君の呼び声を無視して、早歩きでキャンパスを出る。
 人をかき分けて敷地内を出ると、今度は人目のない道を探した。
 一刻も早く、静かな空間に行きたい。
 誰も私を気にしないような、何もない空間に。
 とにかく、一人になりたかった。
 
 駅を通り過ぎて小道に入ると、人通りの少ない商店街に行きついた。
 立ち止まって深呼吸をすると、今まで耳に入らなかった周囲の声が頭に響く。

「ナオちゃん!」

 人も車も通らないような寂れた商店街まで、戸部君が一生懸命追いかけてきた。
 戸部君の声で我に返ると、せっかくの一日を台無しにしてしまった罪悪感がこみ上げてくる。
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