108 / 173
# 秋
文化祭⑧
しおりを挟む
お笑いライブが終わると、カッコイイ音楽と共にライトアップが始まった。
曲のリズムに合わせ、ダンスサークルのメンバーが陣形を作っていく。
その中心には車イスに座ったユウキがいて、ユウキを中心にダンスが作られているみたいだ。
「凄いね、車イスの人がセンターで踊ってるよ」
戸部君が私の耳元でそう呟くと、私は大きく頷いて共感する。
戸部君はあの車イスの男が、ユウキだとは気づいていないようだ。
ユウキと会ったことがあるのは、小学校の時だけみたいだったから、当然のことではあるけど。
ステージで演技をしているユウキは、この遠い距離からでもわかるように、活き活きとしていた。
あんなに苦労していた車イスの操作を、アクロバティックにこなしている。
リズミカルに車イスをターンさせると、歓声がひと際大きくなった。
グループの中でも、岸井さんは特にユウキの近くで踊っていて、私なんかよりよっぽど濃い関係性のように感じる。
やっぱり、どうしても……耐えられない。
「あれ、ナオちゃん?」
戸部君の呼び声を無視して、早歩きでキャンパスを出る。
人をかき分けて敷地内を出ると、今度は人目のない道を探した。
一刻も早く、静かな空間に行きたい。
誰も私を気にしないような、何もない空間に。
とにかく、一人になりたかった。
駅を通り過ぎて小道に入ると、人通りの少ない商店街に行きついた。
立ち止まって深呼吸をすると、今まで耳に入らなかった周囲の声が頭に響く。
「ナオちゃん!」
人も車も通らないような寂れた商店街まで、戸部君が一生懸命追いかけてきた。
戸部君の声で我に返ると、せっかくの一日を台無しにしてしまった罪悪感がこみ上げてくる。
曲のリズムに合わせ、ダンスサークルのメンバーが陣形を作っていく。
その中心には車イスに座ったユウキがいて、ユウキを中心にダンスが作られているみたいだ。
「凄いね、車イスの人がセンターで踊ってるよ」
戸部君が私の耳元でそう呟くと、私は大きく頷いて共感する。
戸部君はあの車イスの男が、ユウキだとは気づいていないようだ。
ユウキと会ったことがあるのは、小学校の時だけみたいだったから、当然のことではあるけど。
ステージで演技をしているユウキは、この遠い距離からでもわかるように、活き活きとしていた。
あんなに苦労していた車イスの操作を、アクロバティックにこなしている。
リズミカルに車イスをターンさせると、歓声がひと際大きくなった。
グループの中でも、岸井さんは特にユウキの近くで踊っていて、私なんかよりよっぽど濃い関係性のように感じる。
やっぱり、どうしても……耐えられない。
「あれ、ナオちゃん?」
戸部君の呼び声を無視して、早歩きでキャンパスを出る。
人をかき分けて敷地内を出ると、今度は人目のない道を探した。
一刻も早く、静かな空間に行きたい。
誰も私を気にしないような、何もない空間に。
とにかく、一人になりたかった。
駅を通り過ぎて小道に入ると、人通りの少ない商店街に行きついた。
立ち止まって深呼吸をすると、今まで耳に入らなかった周囲の声が頭に響く。
「ナオちゃん!」
人も車も通らないような寂れた商店街まで、戸部君が一生懸命追いかけてきた。
戸部君の声で我に返ると、せっかくの一日を台無しにしてしまった罪悪感がこみ上げてくる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる