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# 冬
揺れるクリスマス⑦
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「じゃあ、おやすみ」
唇が離れた後の言葉は、その短い一言だけだった。
戸部君の耳が赤くなっているのを、見逃しはしない。
相当恥ずかしい思いをしながら、キスをしてくれたみたいだ。
戸部君が地下鉄の駅に消えていくのを最後まで見送ると、疲労感とドキドキ感で体が重くなっていることに気がつく。
帰りの電車内は、よく暖房が効いていたせいで、ぐっすりと眠ってしまった。
”ガッシャーン”
マンションに着く数メートル手前で、何かが倒れた音がした。
それと同時に、男と女が言い争いをしている声も聞こえる。
寝起きのせいで、上手く頭が反応しない状態だったけど、その騒がしさで意識が働いてきた。
あまり巻き込まれたくない私は、忍び足でエントランスに入り込む。
その音の方は、入り口横にある駐車場から聞こえてきたようだ。
チラッとだけ目を向けると、そこには車イスから落ちたユウキと、取り乱した様子の岸井さんの姿があった。
「ユウキ! やめて!」
地べたを這いつくばりながら、自力で車イスに戻ろうとしているユウキを、岸井さんが必死に止めている。
ただ事ではない雰囲気に、私の足は勝手に二人のもとに向かっていた。
「ユウキ何してるの!? 岸井さん何があったんですか?」
「ナオさん! ユウキがパニックを起こして急に暴れ始めたの! こんなユウキ見たことなくて、どうしたらいいか」
「パニックに? わかりました、任せてください」
唇が離れた後の言葉は、その短い一言だけだった。
戸部君の耳が赤くなっているのを、見逃しはしない。
相当恥ずかしい思いをしながら、キスをしてくれたみたいだ。
戸部君が地下鉄の駅に消えていくのを最後まで見送ると、疲労感とドキドキ感で体が重くなっていることに気がつく。
帰りの電車内は、よく暖房が効いていたせいで、ぐっすりと眠ってしまった。
”ガッシャーン”
マンションに着く数メートル手前で、何かが倒れた音がした。
それと同時に、男と女が言い争いをしている声も聞こえる。
寝起きのせいで、上手く頭が反応しない状態だったけど、その騒がしさで意識が働いてきた。
あまり巻き込まれたくない私は、忍び足でエントランスに入り込む。
その音の方は、入り口横にある駐車場から聞こえてきたようだ。
チラッとだけ目を向けると、そこには車イスから落ちたユウキと、取り乱した様子の岸井さんの姿があった。
「ユウキ! やめて!」
地べたを這いつくばりながら、自力で車イスに戻ろうとしているユウキを、岸井さんが必死に止めている。
ただ事ではない雰囲気に、私の足は勝手に二人のもとに向かっていた。
「ユウキ何してるの!? 岸井さん何があったんですか?」
「ナオさん! ユウキがパニックを起こして急に暴れ始めたの! こんなユウキ見たことなくて、どうしたらいいか」
「パニックに? わかりました、任せてください」
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