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# 冬
温もり④
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結局、試験前日の夜も、テキストをパラパラと見返しただけで終わった。
これまで頑張ってきた自分に賭けることにして、早めに眠りにつく。
寝落ちする前に、自然と今日の反省をしていた。
ユウキに対して、露骨に素っ気ない態度を取ってしまったことが、脳裏に浮かぶ。
後悔を抱いたまま目を瞑ると、すぐさま記憶を失った……。
「ナオー! 今日試験の日でしょ! 遅刻したら一生の恥よ!」
ちゃんと布団をかけているのに、外気が部屋の温度を下げて、起き上がることを自由にさせない。
普段なら、もう少し母の呼び声と格闘するけど、今日はそうはいかなかった。
一発でベッドを飛び出し、テンションを上げて朝の準備をする。
「行ってらっしゃい、気楽に頑張ってくるのよ」
「行ってきます!」
母に背中を後押ししてもらうと、力が漲ってくる。
滑らかな足取りで電車に乗り込むと、かれこれ一年近くこの電車で通学していることを、しみじみと感じた。
学校生活も、いよいよ終わりに近づいている。
悔いのないように、とにかく今日の試験だけは合格しないといけない。
強い覚悟を胸に、行き先の駅に着いた。
「ナオー!」
電車の中で開いていたテキストをしまいながら歩いていると、私を呼ぶ声が構内に響く。
驚いてその声の方に目を向けると、いるはずのない姿がそこにはあった。
「嘘……どうして」
これまで頑張ってきた自分に賭けることにして、早めに眠りにつく。
寝落ちする前に、自然と今日の反省をしていた。
ユウキに対して、露骨に素っ気ない態度を取ってしまったことが、脳裏に浮かぶ。
後悔を抱いたまま目を瞑ると、すぐさま記憶を失った……。
「ナオー! 今日試験の日でしょ! 遅刻したら一生の恥よ!」
ちゃんと布団をかけているのに、外気が部屋の温度を下げて、起き上がることを自由にさせない。
普段なら、もう少し母の呼び声と格闘するけど、今日はそうはいかなかった。
一発でベッドを飛び出し、テンションを上げて朝の準備をする。
「行ってらっしゃい、気楽に頑張ってくるのよ」
「行ってきます!」
母に背中を後押ししてもらうと、力が漲ってくる。
滑らかな足取りで電車に乗り込むと、かれこれ一年近くこの電車で通学していることを、しみじみと感じた。
学校生活も、いよいよ終わりに近づいている。
悔いのないように、とにかく今日の試験だけは合格しないといけない。
強い覚悟を胸に、行き先の駅に着いた。
「ナオー!」
電車の中で開いていたテキストをしまいながら歩いていると、私を呼ぶ声が構内に響く。
驚いてその声の方に目を向けると、いるはずのない姿がそこにはあった。
「嘘……どうして」
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