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第16話 「魔族の闘技場」
しおりを挟む闘技場で行われる腕自慢の大会。
拳と拳、剣と剣、魔術と魔術で熾烈を極める戦いを繰り広げる会場で俺も、エントリーをしていた。
トーナメント型のこの大会は単純だ。
勝てば次の試合に進める。
賞金は3000万ギルカ(日本円で3000万)。
これほどの大金を勝ち取れば数年間は普通に暮らしていけるだろうが、使い道は後で考えよう。
控室には武器が並べられていた。
荒くれ者や浮浪者も参加するので武器を持っていないというパターンもあるため主催側が用意してくれている。
無論、勝手に持ち出したり試合でもないのに他の選手への殺傷行為は厳禁とされていた。
俺は、とりあえず剣を持っておこう。
魔術師だったのだが魔の大陸は魔力が濃すぎる。
足を運んだことのある経験者として、魔術の調整がものすごく難しい領域だった。
あくまで賞金を手にすることが目的だ。
人を殺すために来たのではない。
「アルフィ様、こちらに」
出番がやってきたのか主催者の一人に呼ばれた。
返事をしてから試合をする闘技台へと案内される。
ちなみに『アルフィ』という偽名で参加していた。
———
初めの対戦相手は四本もの手を生やした巨人族。
俺の身長よりも三倍はデカイ。
筋肉隆々で歴戦の猛者だ。
「ヒョロガリが最初の相手だぁ? おいおい興醒めだな、おい」
完全に見た目で舐められていた。
観客らもつまんなそうな反応だ。
仕方ない、と割り切ろう。
確かに筋肉塊の前でこんな栄養失調のような身体を見せつけたら呆れられるのは無理もない。
「何か言えよ、つまんねぇな」
挑発は得意ではない。
それに戦いは常に集中が大切だ。
たとえ敵がどれだけ経験の浅いルーキーだろうと油断は禁物である。
剣を構える。
相手は手ぶら。
俺のような小物相手に武器なんて必要ないと言わんばかりだ。
「ま、死なない程度に半殺しに———」
それと試合はとっくに開始している。
剣をふり絞るように構え直し、眼前の巨人族の反応速度を凌駕するであろう速さで背後に回り込む。
そして切る。
のではなく刃を向けず、ふり絞った剣の表面を巨人族の後頭部へと叩きつけた。
それはあまりにも強力で、相手の意識を落とすのには十分すぎる威力だった。
試合は一瞬で終幕だ。
観客らも何が起こったのかも分からない様子で騒ついていた。
なにかの演出なのか。
それとも現実なのかも区別がついていない感じだ。
俺はというと戦いも終わったので即退散だ。
前世と比べたら動きが鈍っている方だ。
生まれ変わったばかりだし環境に順応しきれていないのだろう。
なるべく早く慣れるよう、ちょっぴり身体を動かすか。
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