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その恋に進展はあるのか?
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地形はⅠに沿っているが、当然ながら建物なんかの位置は全然違う。コマが言っていたとおり、ファンタジー感いっぱいだった城は、近代的なビルのような建築になっている。市場もアーケードのようになっていて、これまで背景として売られていた農産物に加えて、加工食品のような商品が見えていた。
『あとは魔法街方面……うわぁ』
どこか暗く不思議な感じだった魔法街は、機械や電飾で溢れている。人々の会話に耳を澄ませると、どうやらⅡは魔法と科学が混ざったような進化を遂げた世界観らしい。
『ウワバミさんの魔法とかも、変わってるのかなぁ』
魔法街の外れにあった丘には見覚えのあるシルエットの廃墟が見えている。
『あそこ絶対イベントあるって。やば、もう時間だ』
30分なんかアッという間だ。全力で元城下町を走り回ったおかげで、いつのまにか操作も難なくできるようになっていた。軽く走る動作をすれば、しばらくして身体が暑くなる。
『ごめん、遅くなって』
『大丈夫ニャ。みんな今来たとこニャ』
見れば、みんな肩が軽く上下している。その表情はキラキラとしていて、楽しくて仕方がないと物語っていた。そういえば、表情もヘッドセットに組み込まれたセンサーが顔の筋肉の動きを感知して作り出すんだと言っていた。
『みんなの情報はあとにして、とにかくテスト優先でえぇかな?』
『もちろんニャ。2時間でログアウトになるなら、情報交換はそこでできるニャ』
4人で歩き出したフィールドは、石畳の道がアスファルトのような舗装路に変わっている。その中央にはくぼみがあって、しばらくすると路面電車のような乗り物がゆっくりと通り過ぎていった。
『実際のゲームだったら初期で乗れるようになりそうだよね』
『さっき泉見てきたんやけど、あそこは多分ただのセーブポイントになってる気ぃする』
『近代っぽくなってるから、新しい移動手段ができてるってことか』
『魔法街がさ、機械化されてたから、もしかしたら魔法を動力にしてる系の乗り物かも』
関所があった場所には、機械化されたゲートがあって、そこに紋章のマークが表示されている。胸元を見れば、Ⅰとはまた違うデザインの紋章が装備されていた。
『これって、紋章のレベル上がったら行動範囲広がる系かな』
『さっき武器屋見つけて入ってみたんやけど、あそこの武器は全部今の装備よりしょぼかったから、これもテスト用の装備なんやと思う』
『つまり、最高装備でプレイさせてくれてるかもってことかニャ』
『ゲームオーバーはないって言ってたからその可能性大でしょ』
『ということは、このゲートの先はカンストレベルで初期レベルの敵と戦闘する感じかな』
『そんな気ぃするな。気楽に行こ』
ゲートを通過して数歩で、BGMが切り替わる。その瞬間、一気に全員の悲鳴が響いた。
『誰だよ! 初期敵とか言ったヤツ!』
『俺だけど、みんなそう思ったよね!?』
慣れない操作で戦闘モーションに入る。カナタ以外の3人が次々に物理攻撃を繰り出した。
『ヤバいニャ! これリアルモードの2でも感知厳しいニャ! 1だとできる気がしないニャ』
『ホンマそれ! 適当に振り回してもダメージ弱っ!』
『つか、なんで魔法使いいねぇときにラウラの木が来るんだよ!?』
ここ初期フィールドだろ!? コマがダガーを投げながら叫ぶ。Ⅰで中盤以降のレオマの神殿付近で現れるモンスターは、それなりに厄介な特性を持っている。ラウラの木の触手は無数にあって、それは一定のダメージを与えるまで復元してしまう上に、一度捕らえられるとどんどん速さが低下してしまうのだ。
ラウラの木の触手がカナタの頭上に振り被さる。あれに捕まれば息ができなくなってそれから――。
『カナタ!』
動けなかったカナタは、どうしようもなく目を瞑っていた。予想していたダメージは感じなくて、恐る恐る目を開く。
そこには、大剣で触手を切り落としたユーリが、カナタを庇って立っていた。
『どうしたニャ!? 操作間に合わなかった!?』
ミキニャもまた暴れる触手を背負い投げに飛ばしている。
『ごめ……ちょっと、上手くいかなくて』
操作が上手くいかないというより、ダメージが怖くて動けなかった。これはtsukiさんの作ったゲームで、あのときのゲームじゃない。
『翼……ちゃうくて、カナタ。大丈夫や。とにかくみんなに効果解除の呪文かけて』
間近のユーリが、一瞬抱き締めるようにカナタに覆い被さるとそうささやいた。ユーリはカナタの不調の原因に気づいたのだ。
『カナタのことは俺が守るから』
その言葉に頷いて、呪文を声に出す。指先がほんのりと温かくなって、柔らかな光がユーリを覆った。次いで、ミキニャとコマの速度も元のスピードに戻る。
『炎系の呪文がありゃ、すぐなのにニャ』
このスキルメンバーでは、コツコツと物理で削るしかない。後方支援しかできないカナタは、ひたすら効果解除の呪文を唱えるしかできない。
操作が不慣れなのももちろんだが、ゲーム自体が久しぶりで勘が鈍っていたのもある。
『……ヒッ……』
ぬるりとしか感触がカナタの足にまとわりついた。視点を動かすと、細い触手がカナタの足にまきついている。手足がずしりと重たいような感覚が襲った。
『カナタ!』
振り向いたユーリが駆け寄ろうとするのを、最後のあがきだと触手が邪魔をしている。
でも、この前みたいに息苦しくはない。徐々に巻き付いてくる触手から逃げだそうと、手足に力をこめた。
『うぅ……気持ち悪……』
ぬるぬるした感触が強くなって、滑る触手を嫌々掴んだ。
これ、溶けてる!
そういえば、一定ダメージを受けたあとのラウラの木は、触手攻撃が毒効果に変わるんだった。触手を倒さない限り、徐々にヒットポイントが削られてしまう。
そっか、防具が溶けることでダメージを受けるって感じになるんだ。
『って、ダメじゃん! ミキニャ!』
女の子の防具が破損するのはダメだろう。そんな焦りで、慌ててミキニャに回復の呪文をかける。それをいちばんに察したのはユーリだった。
『あとちょっとで倒せるで! 全力攻撃!』
『おう!』
『任せろニャ!』
触手がカナタを捕まえている隙に、3人が一斉に本体を攻撃する。ややあって、カナタの身体が軽くなった。戦闘終了の効果音が流れ、視界が元に戻る。
『焦ったーーー……』
『マジ、想定外だって』
みんな、自然と座り込む姿勢になっている。ユーリを除いて。
『カナタ!』
ユーリが駆け寄ってきた。
『どうしたのニャ?』
『見たらあかん!』
ユーリがカナタを隠すように立ちはだかっている。
『あとは魔法街方面……うわぁ』
どこか暗く不思議な感じだった魔法街は、機械や電飾で溢れている。人々の会話に耳を澄ませると、どうやらⅡは魔法と科学が混ざったような進化を遂げた世界観らしい。
『ウワバミさんの魔法とかも、変わってるのかなぁ』
魔法街の外れにあった丘には見覚えのあるシルエットの廃墟が見えている。
『あそこ絶対イベントあるって。やば、もう時間だ』
30分なんかアッという間だ。全力で元城下町を走り回ったおかげで、いつのまにか操作も難なくできるようになっていた。軽く走る動作をすれば、しばらくして身体が暑くなる。
『ごめん、遅くなって』
『大丈夫ニャ。みんな今来たとこニャ』
見れば、みんな肩が軽く上下している。その表情はキラキラとしていて、楽しくて仕方がないと物語っていた。そういえば、表情もヘッドセットに組み込まれたセンサーが顔の筋肉の動きを感知して作り出すんだと言っていた。
『みんなの情報はあとにして、とにかくテスト優先でえぇかな?』
『もちろんニャ。2時間でログアウトになるなら、情報交換はそこでできるニャ』
4人で歩き出したフィールドは、石畳の道がアスファルトのような舗装路に変わっている。その中央にはくぼみがあって、しばらくすると路面電車のような乗り物がゆっくりと通り過ぎていった。
『実際のゲームだったら初期で乗れるようになりそうだよね』
『さっき泉見てきたんやけど、あそこは多分ただのセーブポイントになってる気ぃする』
『近代っぽくなってるから、新しい移動手段ができてるってことか』
『魔法街がさ、機械化されてたから、もしかしたら魔法を動力にしてる系の乗り物かも』
関所があった場所には、機械化されたゲートがあって、そこに紋章のマークが表示されている。胸元を見れば、Ⅰとはまた違うデザインの紋章が装備されていた。
『これって、紋章のレベル上がったら行動範囲広がる系かな』
『さっき武器屋見つけて入ってみたんやけど、あそこの武器は全部今の装備よりしょぼかったから、これもテスト用の装備なんやと思う』
『つまり、最高装備でプレイさせてくれてるかもってことかニャ』
『ゲームオーバーはないって言ってたからその可能性大でしょ』
『ということは、このゲートの先はカンストレベルで初期レベルの敵と戦闘する感じかな』
『そんな気ぃするな。気楽に行こ』
ゲートを通過して数歩で、BGMが切り替わる。その瞬間、一気に全員の悲鳴が響いた。
『誰だよ! 初期敵とか言ったヤツ!』
『俺だけど、みんなそう思ったよね!?』
慣れない操作で戦闘モーションに入る。カナタ以外の3人が次々に物理攻撃を繰り出した。
『ヤバいニャ! これリアルモードの2でも感知厳しいニャ! 1だとできる気がしないニャ』
『ホンマそれ! 適当に振り回してもダメージ弱っ!』
『つか、なんで魔法使いいねぇときにラウラの木が来るんだよ!?』
ここ初期フィールドだろ!? コマがダガーを投げながら叫ぶ。Ⅰで中盤以降のレオマの神殿付近で現れるモンスターは、それなりに厄介な特性を持っている。ラウラの木の触手は無数にあって、それは一定のダメージを与えるまで復元してしまう上に、一度捕らえられるとどんどん速さが低下してしまうのだ。
ラウラの木の触手がカナタの頭上に振り被さる。あれに捕まれば息ができなくなってそれから――。
『カナタ!』
動けなかったカナタは、どうしようもなく目を瞑っていた。予想していたダメージは感じなくて、恐る恐る目を開く。
そこには、大剣で触手を切り落としたユーリが、カナタを庇って立っていた。
『どうしたニャ!? 操作間に合わなかった!?』
ミキニャもまた暴れる触手を背負い投げに飛ばしている。
『ごめ……ちょっと、上手くいかなくて』
操作が上手くいかないというより、ダメージが怖くて動けなかった。これはtsukiさんの作ったゲームで、あのときのゲームじゃない。
『翼……ちゃうくて、カナタ。大丈夫や。とにかくみんなに効果解除の呪文かけて』
間近のユーリが、一瞬抱き締めるようにカナタに覆い被さるとそうささやいた。ユーリはカナタの不調の原因に気づいたのだ。
『カナタのことは俺が守るから』
その言葉に頷いて、呪文を声に出す。指先がほんのりと温かくなって、柔らかな光がユーリを覆った。次いで、ミキニャとコマの速度も元のスピードに戻る。
『炎系の呪文がありゃ、すぐなのにニャ』
このスキルメンバーでは、コツコツと物理で削るしかない。後方支援しかできないカナタは、ひたすら効果解除の呪文を唱えるしかできない。
操作が不慣れなのももちろんだが、ゲーム自体が久しぶりで勘が鈍っていたのもある。
『……ヒッ……』
ぬるりとしか感触がカナタの足にまとわりついた。視点を動かすと、細い触手がカナタの足にまきついている。手足がずしりと重たいような感覚が襲った。
『カナタ!』
振り向いたユーリが駆け寄ろうとするのを、最後のあがきだと触手が邪魔をしている。
でも、この前みたいに息苦しくはない。徐々に巻き付いてくる触手から逃げだそうと、手足に力をこめた。
『うぅ……気持ち悪……』
ぬるぬるした感触が強くなって、滑る触手を嫌々掴んだ。
これ、溶けてる!
そういえば、一定ダメージを受けたあとのラウラの木は、触手攻撃が毒効果に変わるんだった。触手を倒さない限り、徐々にヒットポイントが削られてしまう。
そっか、防具が溶けることでダメージを受けるって感じになるんだ。
『って、ダメじゃん! ミキニャ!』
女の子の防具が破損するのはダメだろう。そんな焦りで、慌ててミキニャに回復の呪文をかける。それをいちばんに察したのはユーリだった。
『あとちょっとで倒せるで! 全力攻撃!』
『おう!』
『任せろニャ!』
触手がカナタを捕まえている隙に、3人が一斉に本体を攻撃する。ややあって、カナタの身体が軽くなった。戦闘終了の効果音が流れ、視界が元に戻る。
『焦ったーーー……』
『マジ、想定外だって』
みんな、自然と座り込む姿勢になっている。ユーリを除いて。
『カナタ!』
ユーリが駆け寄ってきた。
『どうしたのニャ?』
『見たらあかん!』
ユーリがカナタを隠すように立ちはだかっている。
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