サ終直前のネトゲで推しに急接近されましたが、現実の自分がクソダサ陰キャのため最後の思い出だけ作って逃げようと思います

二一

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最後の思い出

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 ――明日はアンスターチェ山脈へ集合ニャ。

 事前に提示があったテストプレイをすべて完了した木曜の夜。ウィスコードのルームにミキニャからのメッセージが入った。
 それは問答無用の決定事項で、そんな強引さがどこかうれしい。もちろん、翼もカナタも異存なんかない。ユーリとのことももちろんだけど、ミキニャたちに黙って逃げたことも、ずっと心に引っかかっていたのだ。

 ――それ、俺も集合していいのか?

 コマが珍しく遠慮がちに尋ねている。本来そこにいるべきはウワバミだろうと思ってくれているのだ。
 もちろん、いいに決まっている。そんな返信メッセージが同時について、そんなあたりまえがどこか気恥ずかしい。まるで、ずっと昔からの友だち同士みたいだ。
 テストプレイを通じて、最初は迷っていたⅡが楽しみで仕方ない。

 ――みんな、セーブ位置からアンスターチェ山脈まで間に合いそう?

 今日のカナタはちょうど同じ大陸でセーブしているから、山脈を移動するだけで集合できる。Ⅰのような移動用システムが使えないテストでは、どこに行くのも自力で歩いていくしかないのだ。

 ――ミキニャはバーでセーブしてるから、1時間もかからないニャ。
 ――俺もハーミット城だし、ミキニャ一緒に移動しようぜ。
 ――……俺、カルムンド大陸や……。

 ――カルムンド大陸って行けたの!?

 基本、陸地移動しかできないと思っていた。ただし、そこにいるとなると、海を渡るだけで一気に時間が経ってしまう。

 ――今日、東海岸のほうブラブラしとったら船着き場あって、船に乗れてしもてん。

 そりゃ、乗れたなら海を渡る。翼だってそのシチュエーションで引き返すなんてしない。だけど、カンストレベルとはいえ、ひとりでの移動は戦闘だけでも結構な時間がかかってしまう。

 ――っ俺、東海岸まで迎えに行く!
   ふたりなら、ちょっとは移動も早くなるし。

 この数日で、操作はかなり慣れている。神官のカナタじゃ戦闘力はたかが知れているが、サポートならできる。

 ――カナタ、おおきに!
 ――つか、ちゃんとふたりとも来いよ!
 ――あたりまえやろ!

 含みのあるコマのメッセージに、噛みつくユーリにハラハラしてしまう。

 ――死ぬ気で走ったら間に合うニャ。特にカナタ、来なかったら分かってるよニャ?
 ――はい。

 無理かも知れないなんて言える雰囲気じゃない。そう、たとえ内心では間に合うかどうか五分五分だと思ってはいても。

 ――友好度マックス作戦を思い出すニャ。
 ――それはちょっと思い出したくないかも。
 ――ミキニャ、あれはもう二度と無理やって……。
 ――そんな大変だったのか?
 ――コマもやってみて欲しいよ。あれはなにもかも削られるから。
 ――ミキニャも無理ニャ……。
 ――カナタたちのメンバーでギリギリだったってことは、やっぱ俺の即席パーティじゃ間に合わなかったってことだよなぁ。

 悔しいなぁ。そんなコマの声が聞こえてきそうだ。
 やらずに後悔するのもツラい。
 やれなくて後悔するのもツラい。
 それなら、全力でやってみるしかない。

 ――絶対、行くよ。

 もう後悔なんかしたくない。

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