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Vegetablesー1-
6日目 土曜日 1
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昨日の雨が嘘のように、台風の後の空は気持ちよく晴れていた。俺と美晴は手分けして溜まった家事を片づけていく。
「あ、美晴。明日は環と出かけるから、帰り買い出ししてくる」
松川環は小学校からの腐れ縁で、美晴もよく知っている相手だ。とりあえずカモフラージュに使わせてもらう。美晴も特に何も聞かず「ラッキー」と言って笑った。
昼食は軽くそうめんで済ませ、美晴は最近はまっているテニスに行くと出かけ、俺は部屋にこもる。双子なのに性格はけっこう正反対だ。
窓際のプラスチックケースを見ると、この間の青虫がさなぎになっていた。
とりあえず偽装工作はきちんとしておかないとマズイだろう。俺は携帯を出して環の番号を呼び出した。数回の呼び出し音のあと、環がでた。うしろは異様に盛り上がっている音がする。どうやらカラオケにでも行っているようだ。
田舎で娯楽も少ないため、いまだにカラオケボックスは若者の遊び場だ。以前なら俺も混じっていたのだけど、今はプーなうえ家事もあるということで友だちも遠慮して誘ってこない。
「千章? どうしたんだ?」
環は部屋の外へ移動したのだろう。カラオケの音量がふっと小さくなった。部屋から出る直前「環ぃ、誰からぁ?」とマイクでしゃべる声が入ってきた。これまた昔馴染みの間宮智だ。この分だともう一人戸川拓もいるのだろう。休日に仲間と騒ぐ幼馴染たちを少しだけうらやましく感じた。
「環、悪いんだけど明日さ、おまえと一緒にいることにしてくれね?」
「なんだ? なんの偽装工作だ?」
環は昔から四人の参謀的位置にいて、特に古い付き合いの俺に対しては兄目線で接してくる。冷静な環に助けられることも多かったが、同じ歳にもかかわらず子ども扱いされるのは少々おもしろくない。
「ちょっとね」
詳しいことはとてもじゃないが言えないので言葉を濁しておく。
「もしかして、女か?」
「だったらいいんだけどな……違うよ」
「面倒ごとか?」
「そんなとこ、じゃあ頼んどくな」
それ以上追求されると困るので、そういって電話を切った。これで明日は問題なしだ。いや、問題はあるのだけど――そっちはあまり考えたくない。
そもそも律はなんで俺に付き合えなんて言ったのだろう。女に興味がないとは言ってたから、ソッチ系なんだろうけど男なら誰でもいいってわけでもないだろうに。
かなりの男前だし、ああいうのがいいっていう男だって絶対いると思う。
とりあえず、母さんが復帰するまであと少し(多分)それまではこの身を守ることに専念しよう。自分で言ってて情けなくなってきた――。
「あ、美晴。明日は環と出かけるから、帰り買い出ししてくる」
松川環は小学校からの腐れ縁で、美晴もよく知っている相手だ。とりあえずカモフラージュに使わせてもらう。美晴も特に何も聞かず「ラッキー」と言って笑った。
昼食は軽くそうめんで済ませ、美晴は最近はまっているテニスに行くと出かけ、俺は部屋にこもる。双子なのに性格はけっこう正反対だ。
窓際のプラスチックケースを見ると、この間の青虫がさなぎになっていた。
とりあえず偽装工作はきちんとしておかないとマズイだろう。俺は携帯を出して環の番号を呼び出した。数回の呼び出し音のあと、環がでた。うしろは異様に盛り上がっている音がする。どうやらカラオケにでも行っているようだ。
田舎で娯楽も少ないため、いまだにカラオケボックスは若者の遊び場だ。以前なら俺も混じっていたのだけど、今はプーなうえ家事もあるということで友だちも遠慮して誘ってこない。
「千章? どうしたんだ?」
環は部屋の外へ移動したのだろう。カラオケの音量がふっと小さくなった。部屋から出る直前「環ぃ、誰からぁ?」とマイクでしゃべる声が入ってきた。これまた昔馴染みの間宮智だ。この分だともう一人戸川拓もいるのだろう。休日に仲間と騒ぐ幼馴染たちを少しだけうらやましく感じた。
「環、悪いんだけど明日さ、おまえと一緒にいることにしてくれね?」
「なんだ? なんの偽装工作だ?」
環は昔から四人の参謀的位置にいて、特に古い付き合いの俺に対しては兄目線で接してくる。冷静な環に助けられることも多かったが、同じ歳にもかかわらず子ども扱いされるのは少々おもしろくない。
「ちょっとね」
詳しいことはとてもじゃないが言えないので言葉を濁しておく。
「もしかして、女か?」
「だったらいいんだけどな……違うよ」
「面倒ごとか?」
「そんなとこ、じゃあ頼んどくな」
それ以上追求されると困るので、そういって電話を切った。これで明日は問題なしだ。いや、問題はあるのだけど――そっちはあまり考えたくない。
そもそも律はなんで俺に付き合えなんて言ったのだろう。女に興味がないとは言ってたから、ソッチ系なんだろうけど男なら誰でもいいってわけでもないだろうに。
かなりの男前だし、ああいうのがいいっていう男だって絶対いると思う。
とりあえず、母さんが復帰するまであと少し(多分)それまではこの身を守ることに専念しよう。自分で言ってて情けなくなってきた――。
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