Vegetables

二一

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Vegetablesー2ー

絶体絶命 4

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「お待たせ~」

 美晴がにこやかにメンバーらしきグループに手を振っている。今、来ているのは女の子が三人に俺たちを合わせて五人。全員見るからに気合の入ったいでたちだ。一流企業の男とは、かくも魅力のあるものなのだろうか。

「その子が美晴の双子ちゃん? すごいそっくり」

「ちあきって言うの。ちょっと人見知り入ってるけど気にしないでね」

 それはフォローのつもりか。

 店内に入ると、すでに小塚製薬チームの男たちは来ていて、座敷からこちらに向かってにこやかに手を振った。まぁ、女から見たら「当たり」の部類かも知れないと、頭の中で採点してみる。

 席順はふつうにテーブル挟んで、女対男の配列だったのでまずは一安心。店員から飲み物を聞かれて、とりあえずビールを注文する。

 乾杯をして、まずは自己紹介……定番だよな。まさか女として合コンに参加する羽目になるとは。
俺の分の自己紹介は美晴が一緒にしてくれた。

「ちあきちゃん、だよね? 隣いい?」

 一時間ほどが過ぎたころ、小塚製薬チームの幹事っぽいやつが隣に座ってきた。名前なんか覚えていない。
とりあえず嫌というわけにもいかないので、あいまいに頷いておいた。座る位置、随分と近くないか?

「ちあきちゃんって、おとなしいね。楽しくない?」

「あ、いえ……あんまり慣れてなくて」

 楽しくねぇよ! って言えたらスッキリするだろうなぁ……。美晴が怖いからできないけど。

「ね、ちあきちゃんの携帯教えて?」

 うわっ――きたよ。

 本音は断りたい。でも合コンでの携番交換ってもう当然みたいな感じで、後日かける気がなくてもとりあえず聞くみたいなとこがあるし、断りにくい、よな。俺だってその場のノリで興味のない子の番号でも聞いたりしてたし。

 まぁ、着拒するからいいか。

 しかたなく、番号を出して、相手からのワンコールを受ける。男がうれしそうに登録しているとき、入り口のほうで団体客がきた気配がした。

 そういえば、隣の座敷がいつの間にか片付いて「予約席」のプレートが乗っている。机をくっつけて二十人ほどが座れるようになっていた。

 何気なく横目で見て――。

 瞬間、背筋が凍った。

 慌てて背を向けたけど、座敷は隣同士だしごまかせそうにない。

 団体客のなかでもひときわ背の高い、そう一ヶ月前から付き合っている――。

 なんで律がこんなところに……!!

 なるべく隣の座敷から見えないように身体を斜めにした。必然的に隣の男のほうに向いてしまう。

 ――ってか背中に触るな! 俺は別におまえと仲良くしたくてそっち向いたわけじゃないっ。

「ちあきちゃん、聞いてる?」

「えっ? あ、ごめん」

 背後が気になって全く聞いていなかった。小塚製薬の男が俺の顔を覗き込んでいる。
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