Vegetables

Vegetablesー２ー

嫉妬と葛藤 ７

「千章くーん。今日の日替わりなにー？」

　いつものＯＬ三人組がやってきた。

「今日は太刀魚の塩焼きですよ」

「お魚かぁ。ヘルシーよね。あたしそれにする」

　続いて残り二人も同じものを注文する。女ってやたらカロリーとか気にするよな。

「千章くんさぁ。もし彼女が付き合いで合コンとか行ってたらどうする？」

「どうしたんですか？　いきなり」

　合コンの単語にやっぱりギクッとなってしまう。最近この単語多くないか？　しかも答えにくい質問を――。

「人数合わせで頼まれて、ちゃんと先に彼氏に言ったのにむっちゃ怒ってさ。そんなにあたしのこと信用してないの！？　ってケンカになったの」

「やましいことがあったらわざわざ言わないのにね」

「ねぇ？」

　これが女の感覚なのか。

「でも、もし彼氏が「いいよー行っといで」とか軽く言ったらそれも嫌じゃないですか？」

　ごめん、これは過去の俺が言った台詞だ。これで怒らせたから間違いない。

「あ……そうかも」

「あっさり言われたら「自分のこと好きじゃないんだ」って思っちゃう」

「いいよーって言いながらもちょっと妬いてくれるくらいがベターよね」

　うわぁ、難しい。この辺、智とかは器用にこなしそうだよな。

「怒ったってことはそれだけ彼女のことが好きなんですよ」

「そうなのかなぁ……あたしちょっと悪かった？」

「悪くはないと思うけど、一言謝ってあげると男のほうは助かると思いますよ」

「そっか。そうする」

「千章くんってしっかりしてるよね～。千章くんの彼女がどんな子かむっちゃ気になる」

「だよね～？」

「別に普通ですって。はい、できましたよ」

　料理をだして、話は一旦中断する。心臓に悪い会話だよな……。食事を始めると三人組の話題はクリスマスの予定に変わっていた。