Vegetables

Vegetablesー２ー

嫉妬と葛藤 ８

「よくあそこまで白々しく言えるな」

　三人組が戻っていくと、呆れたような声がかけられる。そうなんだ。今日も三人組と律が鉢合わせしている。

　律はそんなに頻繁に来ているわけじゃないのに、どうしてこう気まずい場面に遭遇するのかなぁ。

「別に嘘はついてないじゃん」

「聞いてるほうは笑える」

「うるせぇ」

　平日の一時を過ぎると客はぐっと少なくなる。今もカウンターは律だけだし、テーブルのほうも二組いるだけだ。

「いらっしゃいませ」

　そう思っていると表の扉が開き、すかさず奥さんが笑顔で出迎えた。

「智、珍しい、ひとりか？」

「珍しいってなんだよ。今日休み」

　そう言って智はカウンターに座った。律とは座席をひとつ飛ばした位置。智が休みに一人ってのが珍しいんだけどな。悩みは継続中ってとこか。

「あ、律。こいつが極楽リゾートのときに連絡先教えてくれたやつ」

　とにかく世話になったのは確かなので紹介しておく。

「その節は、どうも」

　律があいさつをする。とはいっても、相変わらず無愛想だし、威圧感バリバリだ。智はというと、やっぱりちょっとびびってる。

　慌てて「いえ、こちらこそ」とか言ってるけど、あれは一方的にこっちが世話になったんだから、全く以って意味不明だ。

「智、今日の日替わり魚メニュー。他のなんかする？」

　智は魚が苦手なんだ。智は「ざんねん」と言ってメニューを眺め、しょうが焼き定食を注文した。

　しょうが焼きは社長の担当なので、奥へとオーダーを通す。