Vegetables

Vegetablesー３ー

正月休み １日目 ３

　律は帰ってくるなりスーツを脱ぎ捨てて普段着になった。よっぽど落ち着かなかったんだろう。

「律、朝のうち店に金髪の人きてたけど」

　多分あのあと金髪の男も葬式に行ったようだし、向こうで会ったのだろうけど一応報告しておく。

「あら、悠理（ゆうり）くんが寄ってくれたの？」

　幸子さんが懐かしそうにしている。あれ、葬式で会ってないのかな？

「すっごい男前だったでしょう？　律の高校のときの同級生なのよぉ。やっぱりおじいちゃんのお葬式だから帰ってきてたのね」

　どうやら朝の男は、今日葬式だったじいさんの孫で、かつ律の同級生だったということか。

　律はというと多分空腹だったんだろう、無言でお膳を平らげていっている。俺もツルさんの食事を手伝いながらご相伴に預かった。

　幸子さんは「また寄ってくれるかしら」なんてウキウキとしている。確かに芸能人って言われても、あっさり信じられそうな雰囲気だったもんな。幸子さんはああいう美形に弱いのか。

「おつかれさまです」

　俺はレジの幸子さんにあいさつして、店をでた。休日の今日は家の買い出しも頼まれている。母は研修でいないから俺と美晴の二人分だけだけど、料理関係については美晴はまったくの戦力外だし仕方がない。

　徒歩での買い物はちょっとしんどいけど、まぁ、あと少しだ。なぜなら、俺もついに車を買うことになったんだ。もちろん新車とかは無理だから、今拓のところでいい感じの中古車を探してもらっている。

　この田舎で車がないというのは、本当に肩身が狭いんだ。

　祝、ペーパー脱却。まだだけど――。