Vegetables

二一

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Vegetablesー3ー

happy end 6

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「っ律……イカせてくれよ」

 耐え切れず口に乗せた言葉に、羞恥のあまり脳が沸騰しそうな錯覚がおきる。

「どうやって?」

「……っ!」

 サイテーだ。完全に遊ばれていることに気づいて腹が立つものの、どうにも反撃できず身悶える。

「千章が言ったとおりにしてやるよ」

 律はそういってわざとらしく俺の腰を撫で上げる。

 そのまま唇を重ねて深いキス――。律の手は、俺が触れて欲しい中心から微妙にずれた位置をなぞっている。

「んっ……やめっ……」

 中途半端な波に耐え切れず涙がにじむ。

「ん? やめるのか?」

 わざとらしく耳元で囁かれ、律の手が離れた。腕は相変わらず拘束されたままで自分ではなにもできない。放置された身体に、更に熱が集まる。

「やだっ……やめんな…っ」

 薄く笑った律が俺の首元を舌でなぞり、脇腹をさすり上げる。

「っもぅ……頼むっ…から」

 耐え切れない。

 すでに律が欲しくて疼いていることくらい気づいているだろうに――。

「律……れ・て……」

「ん?」

 気が狂いそうだ。

「律が欲しいんだ! 入れてくれよっ……むちゃくちゃに掻き回して欲しいっ……!」

 全身が火傷しそうなほど熱い。

「いい子だ――」

 律が耳元で囁き、次の瞬間一気に貫かれる……!

「……ゃあぁあっ――」

 待ち望んだ刺激に浸る間もなく、願いどおりに律が俺の中を掻き回す。

 気が狂いそうなほどの快楽に何も考えることができない。

「……り・つっ……もぉっ」

「許してやるよ……」

「っあぁ――っん……はぁ」

 あえなく果ててしまった俺に、律は容赦なく唇を重ねた。酸素を求めて喘ぐ息すら吸い上げられ、苦しくて律にしがみつく。

「……サイテー……」

 やっとのことで解放され、思わず恨みがましく呟いてしまった。

「なんか言ったか?」

「っなにも言ってねぇよっ!」

 これ以上は俺の身体がもたない。必死で答える俺に律が低く笑う。

 律は腕の中に俺を捕らえたまま、優しく髪をなでていた。

 疲れた身体に律の体温が、かなり気持ちイイ……。

 あ、やばい限界かも――。

「千章? ……おい、まだ寝るなよ」

「――も、無理……」

 意識がだんだん遠のいていく。

 呆れたような律の声が聞こえて、そのまま俺は律の腕に沈み込んだ。




 だってさ、本当に疲れたんだ。

 それに、これから先――明日も明後日も――その次も――ずっと一緒にいるんだろ……?



<本編 完>

番外編に続きます。
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