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Vegetables―スピンオフ―
鬼の霍乱と甘い蜜 1
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「おい、律……まじで大丈夫か?」
昼間は半そでがちょうど良くなったけど、夜はまだ長袖が恋しい季節。
火曜日の晩、仕事から戻るとあからさまに様子がおかしい律がぐったりと寝転がっていた。蛍光灯に照らされた頬は明らかに赤く息遣いも心なしか荒くなっている。
普段使わない体温計を探し出しやっとのことで律に手渡すと――。
「39度!? 律おまえ病院……」
ってもう開いてないよな……。こいつでも病気になることがあるんだと、おれは大概失礼な感想を心に留めた。
「いい、寝てりゃ治る……」
めんどくさそうに呟く端から咳き込む律の背をさすりながら、どうしたものかと考えた。一人暮らしのこの家にはロクに薬も置いていない。そもそもこれだけの高熱では市販薬なんか絶対に役に立たないだろうし――。
とにもかくにもおれは律用の布団を敷き、半強制的に着替えさせて布団の中へと放り込んだ。着替えや布団があることは今さら突っ込まないで欲しい……。
そこまでするとおれは24時まで営業をしているドラッグストアへと急いだ。だってもうすぐ閉店してしまうような時間なんだから。
気休めの解熱剤に冷却シート、イオン飲料に……あとは何かいるだろうか。食欲がないかも知れないとノドごしのよさそうなものをいくつか見繕って急いで部屋に戻った。
「とりあえず、ほら」
解熱剤と水。それにイオン飲料のペットボトルを手渡す。
律はおれが言うがままにそれらを流し込んだんだ。――ってなんかカワイイ……いやいや、体調崩してるからだって。それでもいつになく大人しく素直な律が堪らなくかわいく感じてしまう。
内心ニヤニヤとしているおれには目もくれず(当然か)律はそのまま布団に潜り込んで目を閉じた。
明日は無理やりにでも病院に連れてかなきゃな……。
昼間は半そでがちょうど良くなったけど、夜はまだ長袖が恋しい季節。
火曜日の晩、仕事から戻るとあからさまに様子がおかしい律がぐったりと寝転がっていた。蛍光灯に照らされた頬は明らかに赤く息遣いも心なしか荒くなっている。
普段使わない体温計を探し出しやっとのことで律に手渡すと――。
「39度!? 律おまえ病院……」
ってもう開いてないよな……。こいつでも病気になることがあるんだと、おれは大概失礼な感想を心に留めた。
「いい、寝てりゃ治る……」
めんどくさそうに呟く端から咳き込む律の背をさすりながら、どうしたものかと考えた。一人暮らしのこの家にはロクに薬も置いていない。そもそもこれだけの高熱では市販薬なんか絶対に役に立たないだろうし――。
とにもかくにもおれは律用の布団を敷き、半強制的に着替えさせて布団の中へと放り込んだ。着替えや布団があることは今さら突っ込まないで欲しい……。
そこまでするとおれは24時まで営業をしているドラッグストアへと急いだ。だってもうすぐ閉店してしまうような時間なんだから。
気休めの解熱剤に冷却シート、イオン飲料に……あとは何かいるだろうか。食欲がないかも知れないとノドごしのよさそうなものをいくつか見繕って急いで部屋に戻った。
「とりあえず、ほら」
解熱剤と水。それにイオン飲料のペットボトルを手渡す。
律はおれが言うがままにそれらを流し込んだんだ。――ってなんかカワイイ……いやいや、体調崩してるからだって。それでもいつになく大人しく素直な律が堪らなくかわいく感じてしまう。
内心ニヤニヤとしているおれには目もくれず(当然か)律はそのまま布団に潜り込んで目を閉じた。
明日は無理やりにでも病院に連れてかなきゃな……。
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