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ZERO Season - 輝く前途を目指して
マイナス九話 Origin-天宮月乃「天に輝く唯一無二」
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初めて”そう”思ったのは、いつだっただろうか。
あるいは、最初から決めていたのかも知れない。
これは、私が歩み始めた、天へと続く階段の、最初の一歩の話―――
高校一年の夏、暑い日が続く中での帰り道。都会の大通りを歩いていた時のことだった。
突然声をかけてきたのは、シャツの袖を捲り上げた優男風の男性。それが何かのスカウトであることは、一目でわかった。
元々、自分が容姿で優れた方にいるらしいことは理解しているつもりだった。珍しいとは言え、スカウトを受けた経験も二、三度ではない。
ただひとつ、意外だったことは、それがアイドルという今までにない勧誘だったことだ。
「アイドル、ですか」
「そう。興味……なさそうだけど、どうかな」
男性の差し出した名刺には、ジュエリーガーデンプロモーション・プロデューサーの左枝と書かれていた。
もし、普段受けている雑誌モデルの勧誘であれば、名刺を受け取ることなく断っていただろう。
それでも、この時だけは。なぜ自分をアイドルにしたいと思ったのか、その好奇心が勝り、話を聞く気になっていた。
なんでも、左枝のいるジュエリーガーデンプロモーションは、まだ一人も所属タレントのいない新設の事務所だという。アイドル事務所としての第一歩を踏み出すため、オーディションが始まるまでに一人はアイドルを所属させておきたく、こうしてスカウトに駆り出されているということだった。
相手の事情がわかったところで、なぜ自分を選んだのか問う。左枝は、恥じらうように笑いながら答えた。
「はは、なんて言うかな……君のその眼光、顔つきがさ。完璧主義者って感じがしたんだ」
「……それで?」
「アイドルは歌って踊るだけじゃない。写真撮影も、バラエティも、演技もこなさなきゃならない時がある。君、そういうでっかい壁……好きなんじゃないか?」
正直、初対面の人間に対して、ここまで言い切るのは失礼ではないかとも思った。
しかし、それ以上に。自分の中にある何かを見抜かれたことに驚いていた。
もしかしたら、この人の言う通り、自分には素質が―――逆境や挑戦を楽しむ心が、あるのかも知れない。
「なるほど。失礼します」
「あ、やっぱりダメだっ」
「天宮」
立ち上がった自分に慌てる左枝に、静かに言葉を突きつける。
「天宮月乃です。返事……少し待って頂けますか?」
「え、ほ、ほんと!? いいの!?」
「ですから待ってください……自分の目で、見て決めます」
☆
「アイドルぅ~!? そりゃまたびっくりだ」
「私もそうよ。モデルかと思ってた」
「違うわよ! 月乃がそんな誘いを保留にして帰ってきたのにびっくり!」
大通りから少し外れた都内の一角。少し広めの個人経営の喫茶店がある。厨房と事務室を通った先が天宮家の住宅だ。
月乃の帰宅から、客が入りだすまでの少しの時間、ここで過ごすのが彼女のルーティンとなっている。
カウンターでコーヒーを呑みながら話す月乃に、叔母の麻季は大声を上げて返す。
「ねぇ聡乃、どうすんのよあんた」
「どうって……月乃が決めることでしょ。私や姉さんが口出すのも野暮よ」
テーブルを拭きながら、月乃の母親である聡乃は答える。
「月乃」
「なに?」
「あなたがやりたいと思ったなら、私は止めないからね」
目を合わせて、一語一句を噛み締めるように伝えてくる。決断するなら本気で、というサインだ。
決めるのは自由でも、一度決めたことはやり通せ。もちろん、月乃もそれは理解しているつもりだ。
アイドルをやるとなれば、それは間違いなく人生の長期間を捧げる転換点だ。どんなに人気が出なくても、その仕事のために費やす時間は自分のほぼ全てと言っても過言ではないはずだ。
聡乃も、それを理解しているからこそ、その覚悟を今一度問いただしてきたのだろう。
空になったカップを置いて、隣の席に置いていた鞄を持ち上げる。
「ご馳走様」
「はいはい。ま、アイドルやるんなら、店挙げて応援するよ。ゆっくり考えな」
カウンターの奥、厨房を通り、店の事務室を超えて自宅に入る。
足を進めながらふと、アイドルになったら店から帰らない方がいいのだろうか、などと考えた。
二階にある自室へ入り、鞄をベッドの脇に置く。机の上にあるノートパソコンを開き、ニュースサイトと動画サイトにアクセスした。
どう検索をかければいいのか、わからなかったため手当たり次第にアイドルに関する情報を収集する。
ニュースサイトの方で出てきたのは、CDのリリース情報や映画への出演といった仕事の話から、番組トークの発言が取り上げられた記事、そこに時たま不祥事や炎上が挟まるといった具合だった。
おおかた予想通りの結果を見てこんなものか、とニュースサイトの見出しから適当なグループの名前をコピーし、動画サイトの検索欄にペーストする。
検索結果には、公式から配信されているミュージックビデオやコンサートの映像が表示された。
アイドルというからには、メインの仕事はこれだろうと思い、最新のミュージックビデオを再生する。短い広告のあとに、草原で歌うアイドルたちが少し彩度を落とした映像で流れ始めた。
無表情のまま、聞きなれないイントロからどこかで聞いたサビに変わっていく曲を聴き、画面の中で歌うアイドルたちを見つめる。
やがて一番が終わったところで動画を中断し、今度はコンサート映像の方をクリックした。
どうやら一曲だけを切り抜いたものらしく、画面に映るアイドルたちは既に汗だくになっている。
それでも笑顔でファンに手を振り、曲名を叫ぶ。それと同時にイントロが流れ出し、散り散りになってファンサービスしていたアイドルたちが、一斉にダンスパフォーマンスを始めた。
ああ、広いドームの中でも、誰かしらのメンバーが近くで見えるように工夫されているのか。などと考えながらパフォーマンスを見ているうちに、ふと月乃は強い感情に襲われた。
―――同じことを私がしたら、どれだけの人が喜ぶのだろう。
自分自身、浅はかで邪な考えだとはわかっていた。それでも、そう思わずにはいられないほどに、彼女の体は疼いていた。
もし私がアイドルになって、レッスンをこなし、完璧なパフォーマンスを披露することができれば……どれだけの人を虜にできるのだろう。
それが、強さの証明なのか、はたまた画面の向こうで踊るアイドルたちへの対抗心なのかはわからない。
ただ、生まれて初めて。天宮月乃は―――”他者を魅了したい”と強く思った。
ノートパソコンを閉じ、深く息をする。それから窓の外を見て、少し冷静になった。
なるほど左枝の言っていたことは正しかったらしい。思い返すと少し恥ずかしくなるほどに、自分が燃えていた事実に気が付く。
しかし、左枝のどこか冴えない顔を思い出すと、その日のうちにあなたの言うとおりでしたと連絡を取るのが些か癪に思えてきた。
「……いいわ。やろうじゃない、アイドル」
少し日を空けてから連絡する。そう決めて、シンプルなデザインの名刺を睨みつけた。
☆
二日後。月乃は何事もなかったかのように過ごしながら、一人の時間を使って少しずつアイドルに関する情報を集めていた。
そろそろ潮時だろうか、と考えていた夜のこと。聡乃から電話で呼び出される。
『姉さんが買い出しに行くから、その間店にいてくれる?』
「……? 母さんがいるんでしょ?」
真意の掴めない要求を、ひとまず呑む形で身なりを整え、店に出る。すると客はおらず、聡乃はカウンターでグラスを拭いていた。
ますます意味がわからないといった表情をしていると、カウンターに座るよう促される。
「なに? さっきから……」
「いいから」
促されるまま、いつも座る椅子に腰を下ろすと、聡乃は一杯のコーヒーを差し出してくる。
どうにも腑に落ちず、月乃はそのコーヒーに手をつけないまま母の顔を睨んだ。
「アイドル、やるんじゃないの」
「……何よ急に、まだ決めたなんて」
「嘘。ほんとはやりたくてうずうずしてる癖に」
あまりに断定的な物言いに面食らっているうちに、聡乃は言葉を続ける。
「大方、スカウトの人にすぐ連絡するのが恥ずかしくて時間置いてるんでしょ」
「な……」
「わかるのよ、あなたプライド高いもの」
つい反応を見せてしまったことと、視線をグラスに落としたまま訳知り顔で笑う聡乃を見たことで、屈辱的な羞恥心に支配される。
羞恥と怒りをぶつける場がなく、仕方なくまだ暑いコーヒーを喉に流し込む。
「月乃。やるって決めたなら、すぐに、ちゃんと、やり通しなさい」
「……わかってるわ、そんなこと」
ほろ苦いコーヒーのお陰か、急速に脳が冷却されていく。考えてみれば、これから芸能界に入ろうというのに、お高く止まっている場合ではない。
大人を相手に慣れないことをしようとして空回りした、という事実がいやに恥ずかしくなり、溜め息をついた。
「落ち着いた?」
「おかげさまで」
「それは良かった。せっかくデビューするんだもの、早く晴れ姿、見せてちょうだい」
……いくつになっても、この人にだけは敵わない。
まだ残る悔しさを噛み締めながら、空になったカップを置いて部屋に戻る。そして、椅子に座ると名刺の番号に電話をかけた。
片手で数えられる回数のコールで、すぐに男性の声が出迎える。
「はい、ジュエリーガーデンプロモーション左枝です」
「夜分に失礼します。先日スカウトしていただいた天宮です」
―――もし、私がその世界で”完璧”になれるなら。
何万、何十万の人を魅了するパフォーマンスができるなら。その時私は、どんな気持ちになれるだろう。
一度きりの人生、試してみる価値はあるはずだ。
誰よりも、完璧なアイドルになってやる―――
「ジュエリーガーデンプロモーション、ゼロ期生。天宮月乃、十六歳です。よろしくお願いします」
あるいは、最初から決めていたのかも知れない。
これは、私が歩み始めた、天へと続く階段の、最初の一歩の話―――
高校一年の夏、暑い日が続く中での帰り道。都会の大通りを歩いていた時のことだった。
突然声をかけてきたのは、シャツの袖を捲り上げた優男風の男性。それが何かのスカウトであることは、一目でわかった。
元々、自分が容姿で優れた方にいるらしいことは理解しているつもりだった。珍しいとは言え、スカウトを受けた経験も二、三度ではない。
ただひとつ、意外だったことは、それがアイドルという今までにない勧誘だったことだ。
「アイドル、ですか」
「そう。興味……なさそうだけど、どうかな」
男性の差し出した名刺には、ジュエリーガーデンプロモーション・プロデューサーの左枝と書かれていた。
もし、普段受けている雑誌モデルの勧誘であれば、名刺を受け取ることなく断っていただろう。
それでも、この時だけは。なぜ自分をアイドルにしたいと思ったのか、その好奇心が勝り、話を聞く気になっていた。
なんでも、左枝のいるジュエリーガーデンプロモーションは、まだ一人も所属タレントのいない新設の事務所だという。アイドル事務所としての第一歩を踏み出すため、オーディションが始まるまでに一人はアイドルを所属させておきたく、こうしてスカウトに駆り出されているということだった。
相手の事情がわかったところで、なぜ自分を選んだのか問う。左枝は、恥じらうように笑いながら答えた。
「はは、なんて言うかな……君のその眼光、顔つきがさ。完璧主義者って感じがしたんだ」
「……それで?」
「アイドルは歌って踊るだけじゃない。写真撮影も、バラエティも、演技もこなさなきゃならない時がある。君、そういうでっかい壁……好きなんじゃないか?」
正直、初対面の人間に対して、ここまで言い切るのは失礼ではないかとも思った。
しかし、それ以上に。自分の中にある何かを見抜かれたことに驚いていた。
もしかしたら、この人の言う通り、自分には素質が―――逆境や挑戦を楽しむ心が、あるのかも知れない。
「なるほど。失礼します」
「あ、やっぱりダメだっ」
「天宮」
立ち上がった自分に慌てる左枝に、静かに言葉を突きつける。
「天宮月乃です。返事……少し待って頂けますか?」
「え、ほ、ほんと!? いいの!?」
「ですから待ってください……自分の目で、見て決めます」
☆
「アイドルぅ~!? そりゃまたびっくりだ」
「私もそうよ。モデルかと思ってた」
「違うわよ! 月乃がそんな誘いを保留にして帰ってきたのにびっくり!」
大通りから少し外れた都内の一角。少し広めの個人経営の喫茶店がある。厨房と事務室を通った先が天宮家の住宅だ。
月乃の帰宅から、客が入りだすまでの少しの時間、ここで過ごすのが彼女のルーティンとなっている。
カウンターでコーヒーを呑みながら話す月乃に、叔母の麻季は大声を上げて返す。
「ねぇ聡乃、どうすんのよあんた」
「どうって……月乃が決めることでしょ。私や姉さんが口出すのも野暮よ」
テーブルを拭きながら、月乃の母親である聡乃は答える。
「月乃」
「なに?」
「あなたがやりたいと思ったなら、私は止めないからね」
目を合わせて、一語一句を噛み締めるように伝えてくる。決断するなら本気で、というサインだ。
決めるのは自由でも、一度決めたことはやり通せ。もちろん、月乃もそれは理解しているつもりだ。
アイドルをやるとなれば、それは間違いなく人生の長期間を捧げる転換点だ。どんなに人気が出なくても、その仕事のために費やす時間は自分のほぼ全てと言っても過言ではないはずだ。
聡乃も、それを理解しているからこそ、その覚悟を今一度問いただしてきたのだろう。
空になったカップを置いて、隣の席に置いていた鞄を持ち上げる。
「ご馳走様」
「はいはい。ま、アイドルやるんなら、店挙げて応援するよ。ゆっくり考えな」
カウンターの奥、厨房を通り、店の事務室を超えて自宅に入る。
足を進めながらふと、アイドルになったら店から帰らない方がいいのだろうか、などと考えた。
二階にある自室へ入り、鞄をベッドの脇に置く。机の上にあるノートパソコンを開き、ニュースサイトと動画サイトにアクセスした。
どう検索をかければいいのか、わからなかったため手当たり次第にアイドルに関する情報を収集する。
ニュースサイトの方で出てきたのは、CDのリリース情報や映画への出演といった仕事の話から、番組トークの発言が取り上げられた記事、そこに時たま不祥事や炎上が挟まるといった具合だった。
おおかた予想通りの結果を見てこんなものか、とニュースサイトの見出しから適当なグループの名前をコピーし、動画サイトの検索欄にペーストする。
検索結果には、公式から配信されているミュージックビデオやコンサートの映像が表示された。
アイドルというからには、メインの仕事はこれだろうと思い、最新のミュージックビデオを再生する。短い広告のあとに、草原で歌うアイドルたちが少し彩度を落とした映像で流れ始めた。
無表情のまま、聞きなれないイントロからどこかで聞いたサビに変わっていく曲を聴き、画面の中で歌うアイドルたちを見つめる。
やがて一番が終わったところで動画を中断し、今度はコンサート映像の方をクリックした。
どうやら一曲だけを切り抜いたものらしく、画面に映るアイドルたちは既に汗だくになっている。
それでも笑顔でファンに手を振り、曲名を叫ぶ。それと同時にイントロが流れ出し、散り散りになってファンサービスしていたアイドルたちが、一斉にダンスパフォーマンスを始めた。
ああ、広いドームの中でも、誰かしらのメンバーが近くで見えるように工夫されているのか。などと考えながらパフォーマンスを見ているうちに、ふと月乃は強い感情に襲われた。
―――同じことを私がしたら、どれだけの人が喜ぶのだろう。
自分自身、浅はかで邪な考えだとはわかっていた。それでも、そう思わずにはいられないほどに、彼女の体は疼いていた。
もし私がアイドルになって、レッスンをこなし、完璧なパフォーマンスを披露することができれば……どれだけの人を虜にできるのだろう。
それが、強さの証明なのか、はたまた画面の向こうで踊るアイドルたちへの対抗心なのかはわからない。
ただ、生まれて初めて。天宮月乃は―――”他者を魅了したい”と強く思った。
ノートパソコンを閉じ、深く息をする。それから窓の外を見て、少し冷静になった。
なるほど左枝の言っていたことは正しかったらしい。思い返すと少し恥ずかしくなるほどに、自分が燃えていた事実に気が付く。
しかし、左枝のどこか冴えない顔を思い出すと、その日のうちにあなたの言うとおりでしたと連絡を取るのが些か癪に思えてきた。
「……いいわ。やろうじゃない、アイドル」
少し日を空けてから連絡する。そう決めて、シンプルなデザインの名刺を睨みつけた。
☆
二日後。月乃は何事もなかったかのように過ごしながら、一人の時間を使って少しずつアイドルに関する情報を集めていた。
そろそろ潮時だろうか、と考えていた夜のこと。聡乃から電話で呼び出される。
『姉さんが買い出しに行くから、その間店にいてくれる?』
「……? 母さんがいるんでしょ?」
真意の掴めない要求を、ひとまず呑む形で身なりを整え、店に出る。すると客はおらず、聡乃はカウンターでグラスを拭いていた。
ますます意味がわからないといった表情をしていると、カウンターに座るよう促される。
「なに? さっきから……」
「いいから」
促されるまま、いつも座る椅子に腰を下ろすと、聡乃は一杯のコーヒーを差し出してくる。
どうにも腑に落ちず、月乃はそのコーヒーに手をつけないまま母の顔を睨んだ。
「アイドル、やるんじゃないの」
「……何よ急に、まだ決めたなんて」
「嘘。ほんとはやりたくてうずうずしてる癖に」
あまりに断定的な物言いに面食らっているうちに、聡乃は言葉を続ける。
「大方、スカウトの人にすぐ連絡するのが恥ずかしくて時間置いてるんでしょ」
「な……」
「わかるのよ、あなたプライド高いもの」
つい反応を見せてしまったことと、視線をグラスに落としたまま訳知り顔で笑う聡乃を見たことで、屈辱的な羞恥心に支配される。
羞恥と怒りをぶつける場がなく、仕方なくまだ暑いコーヒーを喉に流し込む。
「月乃。やるって決めたなら、すぐに、ちゃんと、やり通しなさい」
「……わかってるわ、そんなこと」
ほろ苦いコーヒーのお陰か、急速に脳が冷却されていく。考えてみれば、これから芸能界に入ろうというのに、お高く止まっている場合ではない。
大人を相手に慣れないことをしようとして空回りした、という事実がいやに恥ずかしくなり、溜め息をついた。
「落ち着いた?」
「おかげさまで」
「それは良かった。せっかくデビューするんだもの、早く晴れ姿、見せてちょうだい」
……いくつになっても、この人にだけは敵わない。
まだ残る悔しさを噛み締めながら、空になったカップを置いて部屋に戻る。そして、椅子に座ると名刺の番号に電話をかけた。
片手で数えられる回数のコールで、すぐに男性の声が出迎える。
「はい、ジュエリーガーデンプロモーション左枝です」
「夜分に失礼します。先日スカウトしていただいた天宮です」
―――もし、私がその世界で”完璧”になれるなら。
何万、何十万の人を魅了するパフォーマンスができるなら。その時私は、どんな気持ちになれるだろう。
一度きりの人生、試してみる価値はあるはずだ。
誰よりも、完璧なアイドルになってやる―――
「ジュエリーガーデンプロモーション、ゼロ期生。天宮月乃、十六歳です。よろしくお願いします」
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