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1章 金輪際人を見た目で判断しません

威嚇

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「やあ、君がルミネに近づこうとした、イヴァン君だね?」

 私はリオ様の物になった覚えはありませんわよ・・・・。ってそれよりも、いつまで抱えておられるんですの!そろそろ筋肉ピクピクしてきたでしょう、下ろしてくださいませ!

「初めまして。あんたがルミネさんの婚約者か。納得した。俺からはもう、近づかないと約束する。」

 え、一体どこに納得する要素が。このポーズは違いますわよ、脱出時に致し方なくこのままなのよ。それに、イヴァンの顔を拝められなくなるのは嫌ですわよ。

「あんた、名は?」
「僕から名乗ることは止めておこう。色々厄介なことになりそうだからね。それよりも、ルミネ。」

 げっ。さっきから総スカンしてた癖に、いきなり話を振らないで欲しいわ。

「な、なんですの。」
「この男と君が一緒にいた。これはつまり、どういうことか分かるかな?」
「・・・・浮気だなんだと言いたいのかしら。」
「そう、つまりこれはお互い様だ。よって、今までのアレコレはお互い綺麗さっぱり帳消しにしようじゃないか。」

 何かしら、このしてやられた感は。リオ様はよっぽどお姉様とのアレコレを無かったことにしたいみたいね。

 って私の場合浮気ではありませんわよ!まあ、イケメンにはよく飛び付いてしまいますけれど、恋仲になることなんてそうそうないんですからね。

「断ったらどうしますの。」
「この態勢から下ろさない。」

 断れないじゃありませんの!
 この態勢をいつまでも維持できるとは思いませんけれど。でもこの沢山の視線をずっと浴びてるのも嫌ですし。はあ、しょうがないわ。交渉成立ね。

「分かりましたわ、綺麗さっぱり帳消しに致します。」
「ありがとうルミネ。そう言ってくれると思ったよ。」

 言わせましたわよね。

 こうして姫抱っこから解放され、私達はようやく城に戻ることになった。



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