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2話
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最初に、その艶やかな黒髪に目が奪われた。
長めの髪からのぞく金色の瞳に、心臓が跳ねる。
引きこもりというだけあって肌の色は心配になるくらい白く、体の線も細くて、みるからに病弱そうだ。
「はじめまして、クレア・リーリアと申します。」
「あぁ、よろしく。私はマーシェント王国第3王子、アストルだ。」
それだけ言うと興味が無さそうに、手元の本に視線を戻す。
人とまともに会話が出来ないのは自分もだということを棚において、クレアはその態度にイライラしていた。
リーリア家に仕える者たちは、気難しいクレアを最大限に気遣ってコミュニーケーションを取ってくれていたのだ。
だからこんな態度をとられるとどう接していいか分からなく困ってしまう。
これだから引きこもりは。
アストルを睨むも彼は何一つ気にしていないようだった。
綺麗で病弱な美青年。
そしてその立場からしてこの人も甘い汁を吸って生きてきたに違いない。
「…婚約のお話どうお考えですか?」
何も話さないアストルより先に、本題を突きつけた。
「…そうだな。そちらが了承するならばこちらも手続きを進めよう。」
「え?婚約を結ぶということでよろしいのですか?」
「あぁ。そちらは問題ないのか?」
思ったよりもスムーズに進んだ物事に拍子抜けする。
「ええ。もちろんですわ。…私には目的がありますもの。」
そう言うと彼が訝しげに私を見る。
ボッと手のひらの上に出した魔法の黒い炎で、花瓶に飾られていた花が萎れる。
「婚約者になったよしみで教えて差し上げますわ。…私はこの城にいるある人物を呪い殺すために黒魔法を身につけてきたの。」
長めの髪からのぞく金色の瞳に、心臓が跳ねる。
引きこもりというだけあって肌の色は心配になるくらい白く、体の線も細くて、みるからに病弱そうだ。
「はじめまして、クレア・リーリアと申します。」
「あぁ、よろしく。私はマーシェント王国第3王子、アストルだ。」
それだけ言うと興味が無さそうに、手元の本に視線を戻す。
人とまともに会話が出来ないのは自分もだということを棚において、クレアはその態度にイライラしていた。
リーリア家に仕える者たちは、気難しいクレアを最大限に気遣ってコミュニーケーションを取ってくれていたのだ。
だからこんな態度をとられるとどう接していいか分からなく困ってしまう。
これだから引きこもりは。
アストルを睨むも彼は何一つ気にしていないようだった。
綺麗で病弱な美青年。
そしてその立場からしてこの人も甘い汁を吸って生きてきたに違いない。
「…婚約のお話どうお考えですか?」
何も話さないアストルより先に、本題を突きつけた。
「…そうだな。そちらが了承するならばこちらも手続きを進めよう。」
「え?婚約を結ぶということでよろしいのですか?」
「あぁ。そちらは問題ないのか?」
思ったよりもスムーズに進んだ物事に拍子抜けする。
「ええ。もちろんですわ。…私には目的がありますもの。」
そう言うと彼が訝しげに私を見る。
ボッと手のひらの上に出した魔法の黒い炎で、花瓶に飾られていた花が萎れる。
「婚約者になったよしみで教えて差し上げますわ。…私はこの城にいるある人物を呪い殺すために黒魔法を身につけてきたの。」
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