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王子たちの関係性
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顔面蒼白のノア殿下を見る。
ことが起こったのはたった数分前だ。
「いつまでもその立場に甘えていられると思わないでいただきたいわ!こんなの、こっちから、婚約破…」
最大の爆弾を落とす前にギリギリで俺の弟、ユーリアが引き止める。
はっと自分の言葉に気がついたココ・レイルウェイズ様が身を翻して部屋を出ていく。
それをすぐにユーリアが追いかけて行った。
我が弟ながらナイスだ。後でおやつでも買ってあげよう。
それにしても、こっちはどうするべきか。
取り残されたのはノア殿下と、俺の仕えるユアン殿下だ。
ユアン殿下がなにかフォローしてくれるのだろうかと思い、彼を見るも、ほんの少しおかしそうな表情をしているだけで、何か言う雰囲気は組み取れない。
俺の視線に気づき、顔をこちらに向けて、にこっと微笑んでみせた。
この人はいつもそうだ。
綺麗な容姿で、何だってこなしてみせる典型的な王子様をやっていて、実際こういう時は寄り添ってくれない。
自分の弟をどう思っているのか分からない。
いざとなったら薄情で淡白だ。
そもそも、ユアン殿下は弟の所業に注意やアドバイスを伝えるためにこのお茶会をよく開くのだ。
結局はいつもココ様が、ノア殿下に注意をしているようだが。
兄弟というものはどこだって軋轢があるもの。
先程走っていった我が弟ユーリアを思い浮かべる。
小さい頃は俺についてまわってきた弟が、今は俺と並ぶくらいの騎士になりたくて、努力していることを知っている。
王太子兄弟のことは、昔から見てきたが、俺たちよりずっと不器用なのではないかと思う。
無表情で女性に慣れていない堅物な弟と比べ、器用に生きているノア殿下とはずっとコミュニケーションを取りやすいと思うのだけど。
「ノア殿下、大丈夫ですか?」
大丈夫であるわけがない白い顔に声をかける。
「あ、あぁ。すまない今はひとりにさせてくれ。」
そう言うととぼとぼと部屋を出ていく。
はぁ。と心の中だけでため息をついて、ユアン殿下に顔を向ける。
「ロシェル。ノアをよろしくね。」
当然のように俺に言う。
自分から弟に歩み寄ろうとしないこの人には、本当に困らされる。
「…分かりました。」
部屋を出て、ノア殿下の後を追う。
そう思ったのだが辺りに彼の姿がない。
近くの空いている部屋を一つ一つ覗き込んでいく。
すると部屋の奥で足を抱えて座り込んでいるノア殿下を見つけた。
「ノア殿下」
名前を呼んでも反応がない。
彼の目の前にしゃがみこむ。
「王太子殿下がそのようなところに座り込むなどお行儀が悪いですよ。」
「あぁ。」
そう答えるものの、立ち上がろうとしない。
落ち込んでいる表情が、普段無表情のくせに、不満そうな時だけ表情豊かな自分の弟と重なって、可愛く思えた。
項垂れるその頭を撫でたい欲求に駆られるもすんでのところで理性で止める。
「私たちだって、男兄弟ですから、ノア殿下とユアン殿下の微妙な距離感の難しさは分かりますよ。」
まわりが困るくらいの女癖の悪さだが、多分この人は結局子供なのだと思う。
それに気づいていて助言をくれないユアン殿下だって大人気ないと思うけれど。
ただノア殿下は器用だから、不器用に見せるのも上手いのだ。
本当はもう甘えては居られない立場なのに、わざと甘えてみせる、それに気づいていないように自分で振る舞っているのだ。
そんなことしていたらきっと自分のことも誤魔化してきっと分からなくなっていく。
それでもそうすることを望むくらい、彼の兄は、性格に問題ありなのだ。
「とにかく、今はあなたがあなたでいる時間が必要でしょうね。…どうしたいか、どうしていきたいか、一人きりで考えてみてください。」
王太子殿下に対して言うには、不敬な言葉だと思うけど、兄の1人としては、適切な言葉だとも思う。
弱々しく項垂れる彼に手を差し伸べて支えて上げたいけれど、彼らの軋轢に自分という存在はあまり入ってはいけないのだ。
そう思って弱々しい1人の男の子が自分で立ち上がるのを待った。
ことが起こったのはたった数分前だ。
「いつまでもその立場に甘えていられると思わないでいただきたいわ!こんなの、こっちから、婚約破…」
最大の爆弾を落とす前にギリギリで俺の弟、ユーリアが引き止める。
はっと自分の言葉に気がついたココ・レイルウェイズ様が身を翻して部屋を出ていく。
それをすぐにユーリアが追いかけて行った。
我が弟ながらナイスだ。後でおやつでも買ってあげよう。
それにしても、こっちはどうするべきか。
取り残されたのはノア殿下と、俺の仕えるユアン殿下だ。
ユアン殿下がなにかフォローしてくれるのだろうかと思い、彼を見るも、ほんの少しおかしそうな表情をしているだけで、何か言う雰囲気は組み取れない。
俺の視線に気づき、顔をこちらに向けて、にこっと微笑んでみせた。
この人はいつもそうだ。
綺麗な容姿で、何だってこなしてみせる典型的な王子様をやっていて、実際こういう時は寄り添ってくれない。
自分の弟をどう思っているのか分からない。
いざとなったら薄情で淡白だ。
そもそも、ユアン殿下は弟の所業に注意やアドバイスを伝えるためにこのお茶会をよく開くのだ。
結局はいつもココ様が、ノア殿下に注意をしているようだが。
兄弟というものはどこだって軋轢があるもの。
先程走っていった我が弟ユーリアを思い浮かべる。
小さい頃は俺についてまわってきた弟が、今は俺と並ぶくらいの騎士になりたくて、努力していることを知っている。
王太子兄弟のことは、昔から見てきたが、俺たちよりずっと不器用なのではないかと思う。
無表情で女性に慣れていない堅物な弟と比べ、器用に生きているノア殿下とはずっとコミュニケーションを取りやすいと思うのだけど。
「ノア殿下、大丈夫ですか?」
大丈夫であるわけがない白い顔に声をかける。
「あ、あぁ。すまない今はひとりにさせてくれ。」
そう言うととぼとぼと部屋を出ていく。
はぁ。と心の中だけでため息をついて、ユアン殿下に顔を向ける。
「ロシェル。ノアをよろしくね。」
当然のように俺に言う。
自分から弟に歩み寄ろうとしないこの人には、本当に困らされる。
「…分かりました。」
部屋を出て、ノア殿下の後を追う。
そう思ったのだが辺りに彼の姿がない。
近くの空いている部屋を一つ一つ覗き込んでいく。
すると部屋の奥で足を抱えて座り込んでいるノア殿下を見つけた。
「ノア殿下」
名前を呼んでも反応がない。
彼の目の前にしゃがみこむ。
「王太子殿下がそのようなところに座り込むなどお行儀が悪いですよ。」
「あぁ。」
そう答えるものの、立ち上がろうとしない。
落ち込んでいる表情が、普段無表情のくせに、不満そうな時だけ表情豊かな自分の弟と重なって、可愛く思えた。
項垂れるその頭を撫でたい欲求に駆られるもすんでのところで理性で止める。
「私たちだって、男兄弟ですから、ノア殿下とユアン殿下の微妙な距離感の難しさは分かりますよ。」
まわりが困るくらいの女癖の悪さだが、多分この人は結局子供なのだと思う。
それに気づいていて助言をくれないユアン殿下だって大人気ないと思うけれど。
ただノア殿下は器用だから、不器用に見せるのも上手いのだ。
本当はもう甘えては居られない立場なのに、わざと甘えてみせる、それに気づいていないように自分で振る舞っているのだ。
そんなことしていたらきっと自分のことも誤魔化してきっと分からなくなっていく。
それでもそうすることを望むくらい、彼の兄は、性格に問題ありなのだ。
「とにかく、今はあなたがあなたでいる時間が必要でしょうね。…どうしたいか、どうしていきたいか、一人きりで考えてみてください。」
王太子殿下に対して言うには、不敬な言葉だと思うけど、兄の1人としては、適切な言葉だとも思う。
弱々しく項垂れる彼に手を差し伸べて支えて上げたいけれど、彼らの軋轢に自分という存在はあまり入ってはいけないのだ。
そう思って弱々しい1人の男の子が自分で立ち上がるのを待った。
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