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ノアへの怒り
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トントンとドアがノックされて、扉が開く。
「御歓談中失礼します。騎士団のユーリア・クリスフォードです。ユアン殿下いらっしゃいますでしょうか。」
入ってきたのは白銀の髪、無表情のユーリアだった。
私を見つけると表情も変えずにぺこりと頭を下げる。
最悪なタイミングで入ってきたなと、どこか諦めた表情で、兄のロシェルが彼を見つめる。
「ユーリア、頼んだ件は進んでる?」
「あ、はい。お話出来ることがあります。」
ノアへの憤りが達していた私は、ノアへの当てつけのようにユーリアに話しかけた。
本当はノアに一番に知られたくないことなのに、わざと目の前で彼との隠し事があることを示唆してしまう。
「ココ、私の知らない所でなぜ騎士と仲良くしているんだ?一体何を頼んでいるんだ?」
思った通りに釣れたノアに怒りをぶつける。
「私に何も言わないで遊んでいるあなたに聞く資格なんかありませんわ!」
ユーリアからしたらいきなり怒り出した私に驚きその肩がびくりと震える。
「もうほとんどあなたのせいで仮面婚約なのですよ!その立場をよくよく見返してみたらいかがですか?」
いつもの日々のストレスがひとつの決壊が崩れた拍子にどんどん溢れてくる。
こんなことを王子殿下に言うなんて不敬罪で捕まってもおかしくない。
「ココ…!」
「いい加減、自分の役目を見返して責任感を持って、ユアン殿下に協力なさってはどうですか?…いつまでもその立場に甘えていられると思わないでいただきたいわ!こんなの、こっちから、婚約破…」
そこまで言ったところで、後ろから袖をそっとひっぱられる。
ぱっと手で口を抑えて後ろを振り向くと、ユーリアがその無表情のまま、私の瞳を見て小さく首を横に振った。
やってしまった。最悪だ。
私からこの身分の低い人間から婚約破棄なんて言葉を言ってしまいそうになるなんて。
口を抑えたままノアを見ると、驚いた固まった表情で、こちらを見ていた。
ユアン殿下やロシェルの驚いた空気が伝わってくる。
もう無理だ。何を言ったって取り作れない。
どうしようもなくなって私は踵を返して、走って部屋を出た。
「ココ様!」
そう言ってユーリアが後ろからついてくる。
その言葉に振り向くことなく、私は城のはずれまで走った。
城の庭の離れまでやってきて、息を整える。
「はぁ…はぁ…」
後ろから来たユーリアは息がひとつも乱れておらずやはりさすが騎士だと感じた。
何を言えばいいのだろうかというユーリアの悩む気配がする。
気を使わせたくなくて自分から口を開いた。
「私ってとんでもない婚約者ね。」
涙が出そうで視界がぼやける。
零れないように顔を上げると、鮮やかな花々が目に入った。
いつもよりにじんだ世界でより色が溢れて見える。
見慣れてきたこの景色が急に遠く感じる。
「こんな綺麗な場所、ほんとは私に似合わないのにね。」
「ココ様?」
「ねぇ私、不敬罪で捕まるかしら。」
「それはないと思いますよ。婚約破棄なんて言葉をあなたから言い切ってしまっていたら分かりませんが。」
「止めてくれてありがとう…ユーリア。」
「いいえ。…ノア殿下の不貞には皆困っていたんです。注意すべきだったのはユアン殿下だったと思います。あなたは言うべきことを言っただけですよ。」
相変わらず無表情でそう言うユーリアを見上げる。
明らかに私が言いすぎているのにこの人は優しいな。
「本当は、ノア殿下がクズじゃないところも私は知っているのよ。」
「クズ?」
初めて聞く言葉にユーリアが首をかしげる。
「あの人は、私がどんなに彼を怒っても、自分の立場を傘に着ることはしないのよ。」
私が怒るとあまり言い返すことはなく、自分の方が身分が高いのだから自由にしていいだろう等の上からの発言をしたことがないのだ。
王族なら一番に言い訳として出てきてもおかしくない言葉だろうに。
彼のそういう気遣いにほんとは私は助けて貰っていたんだろうなと思う。
そういう所があるからこそ、主人公のレイアもきっと彼のことを好きになったのだ。
物語のなかの悪役令嬢ココ・レイルウェイズはどうしていたっけと思い出す。
彼女がノアに怒っていたところはあまり思い出せない。
もしかして私本当の悪役令嬢よりも心が狭い?
でもノアの行為にはさすがに怒っていいと思わない?
1人でもんもんと考えていると、ユーリアが口を開いた。
「ココ様、あの探している女性レイアについて、ノア殿下も関わっていたかもしれない怪しい情報があります。」
そのただならぬ真剣な表情に、驚いてユーリアの顔を見つめた。
「御歓談中失礼します。騎士団のユーリア・クリスフォードです。ユアン殿下いらっしゃいますでしょうか。」
入ってきたのは白銀の髪、無表情のユーリアだった。
私を見つけると表情も変えずにぺこりと頭を下げる。
最悪なタイミングで入ってきたなと、どこか諦めた表情で、兄のロシェルが彼を見つめる。
「ユーリア、頼んだ件は進んでる?」
「あ、はい。お話出来ることがあります。」
ノアへの憤りが達していた私は、ノアへの当てつけのようにユーリアに話しかけた。
本当はノアに一番に知られたくないことなのに、わざと目の前で彼との隠し事があることを示唆してしまう。
「ココ、私の知らない所でなぜ騎士と仲良くしているんだ?一体何を頼んでいるんだ?」
思った通りに釣れたノアに怒りをぶつける。
「私に何も言わないで遊んでいるあなたに聞く資格なんかありませんわ!」
ユーリアからしたらいきなり怒り出した私に驚きその肩がびくりと震える。
「もうほとんどあなたのせいで仮面婚約なのですよ!その立場をよくよく見返してみたらいかがですか?」
いつもの日々のストレスがひとつの決壊が崩れた拍子にどんどん溢れてくる。
こんなことを王子殿下に言うなんて不敬罪で捕まってもおかしくない。
「ココ…!」
「いい加減、自分の役目を見返して責任感を持って、ユアン殿下に協力なさってはどうですか?…いつまでもその立場に甘えていられると思わないでいただきたいわ!こんなの、こっちから、婚約破…」
そこまで言ったところで、後ろから袖をそっとひっぱられる。
ぱっと手で口を抑えて後ろを振り向くと、ユーリアがその無表情のまま、私の瞳を見て小さく首を横に振った。
やってしまった。最悪だ。
私からこの身分の低い人間から婚約破棄なんて言葉を言ってしまいそうになるなんて。
口を抑えたままノアを見ると、驚いた固まった表情で、こちらを見ていた。
ユアン殿下やロシェルの驚いた空気が伝わってくる。
もう無理だ。何を言ったって取り作れない。
どうしようもなくなって私は踵を返して、走って部屋を出た。
「ココ様!」
そう言ってユーリアが後ろからついてくる。
その言葉に振り向くことなく、私は城のはずれまで走った。
城の庭の離れまでやってきて、息を整える。
「はぁ…はぁ…」
後ろから来たユーリアは息がひとつも乱れておらずやはりさすが騎士だと感じた。
何を言えばいいのだろうかというユーリアの悩む気配がする。
気を使わせたくなくて自分から口を開いた。
「私ってとんでもない婚約者ね。」
涙が出そうで視界がぼやける。
零れないように顔を上げると、鮮やかな花々が目に入った。
いつもよりにじんだ世界でより色が溢れて見える。
見慣れてきたこの景色が急に遠く感じる。
「こんな綺麗な場所、ほんとは私に似合わないのにね。」
「ココ様?」
「ねぇ私、不敬罪で捕まるかしら。」
「それはないと思いますよ。婚約破棄なんて言葉をあなたから言い切ってしまっていたら分かりませんが。」
「止めてくれてありがとう…ユーリア。」
「いいえ。…ノア殿下の不貞には皆困っていたんです。注意すべきだったのはユアン殿下だったと思います。あなたは言うべきことを言っただけですよ。」
相変わらず無表情でそう言うユーリアを見上げる。
明らかに私が言いすぎているのにこの人は優しいな。
「本当は、ノア殿下がクズじゃないところも私は知っているのよ。」
「クズ?」
初めて聞く言葉にユーリアが首をかしげる。
「あの人は、私がどんなに彼を怒っても、自分の立場を傘に着ることはしないのよ。」
私が怒るとあまり言い返すことはなく、自分の方が身分が高いのだから自由にしていいだろう等の上からの発言をしたことがないのだ。
王族なら一番に言い訳として出てきてもおかしくない言葉だろうに。
彼のそういう気遣いにほんとは私は助けて貰っていたんだろうなと思う。
そういう所があるからこそ、主人公のレイアもきっと彼のことを好きになったのだ。
物語のなかの悪役令嬢ココ・レイルウェイズはどうしていたっけと思い出す。
彼女がノアに怒っていたところはあまり思い出せない。
もしかして私本当の悪役令嬢よりも心が狭い?
でもノアの行為にはさすがに怒っていいと思わない?
1人でもんもんと考えていると、ユーリアが口を開いた。
「ココ様、あの探している女性レイアについて、ノア殿下も関わっていたかもしれない怪しい情報があります。」
そのただならぬ真剣な表情に、驚いてユーリアの顔を見つめた。
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