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森での出来事

第6話 ナマエ

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 ムラと言うレックス達の住み処に入りレックスを運良く見つけて(見つかって)、レックスが呆れ返っているところに「レックスー!」誰かがレックスを呼んだ(だれだろう?)。

 ボクとレックスが声のした方を見たら、今まで一度も見た事がないヒトが近付いてきた。

「やぁアリス」「って、その子グマって?」「ほら、前に話したケガを手当てしてやった子グマだよ」「あー、この子がそうだったのね?」「うん。僕達の後を付けて来て村まで来ちゃったみたいなんだ」(そう、そう)「へぇ、本当にレックスの事が気に入ってるのね」(うん、うん)

「で、何て呼んでるの?」「何てって?」(うん?)「名前よ、名前」「······あっ」(ナ、マ、エ?)

「ひょっとして、付けてあげてないの?」「そう言えば、たまにしか会わないからいつも"コイツ"だとか"お前"ってしか呼んでないような······」(そういえば、たしかにそうそう)「ひっどーい! 知り合ってもう大分経つはずでしょ?」「う、うん」「ならもう名前ぐらい付けてあげても良いはずでしょ?」「まぁ」

 レックスがアリスって呼んだヒトに色々言われていたら「どうしたんだ? 2人して騒いで」「あ、「アッシュ(お)兄ちゃん!」」(アッシュ!)アッシュがやって来た。

「って、どうしたんだソイツ?」とやっぱりボクの事を最初に聞いてきた。

「どうやら僕達の後を付いて来ちゃったみたいで」「そうだったんだ」(うん、そう)

 そんな会話を終えたところで「ところで兄ちゃん」「ん、何だ?」「コイツにそろそろ名前を付けて呼んでも良いんじゃないかなぁ?」「あー、そういやぁそうだなぁ」「じゃあ決まりねっ!」と話がまとまったみたいだけど、とりあえずさっきの会話から(ボクがレックスやアッシュ。とうちゃんのことをとうちゃんとよんでるようなそのよびかたをかんがえてくれるんだな)と理解した。

「それで、どんな名前にするの?」「そうだなぁ」「うーん」レックスとアッシュが考え始めた。

 少しして「······ベ、アー」「「えっ?」」(えっ?)突然レックスが何かを呟いた。

「いやぁ、何処かでか何かでクマの事をベアーって呼んでるって見聞きした事があった気がして」(ベアー?)

 そうレックスが話したら、「ベアーか。······良いんじゃねぇか、それ」「うん! 素敵な呼び方じゃない」アッシュとアリスも受け入れた(ベアーかぁ)。

「ねっ。ただしベアーは親グマの方を呼ぶ時に使うとして、こっちは子グマだから······」(だから?)「······ベアー、ズ。ベアーズ何てどぉ?」とアッシュ達に尋ねた。

「ベアーズかぁ。······うん! それも良いんじゃねぇか」「ホントホント! 素敵じゃない!」「決まりだね。それじゃあ今日からコイツの事を"ベアーズ"って呼ぶ事にしよう」「「うん!!」」(ベアーズ······うん!)ボクもベアーズという呼び方を気に入ったのだった。

「それじゃあベアーズ、帰ったら親グマにもこれからはベアーって呼ぶからって伝えておいてくれ」とレックスから伝えられたので「ガウ(わかった!)」と吠えた。

「分かってくれたみたいだな」「みたいだね。それじゃあ······」そう言ってレックス達はボクをムラの入口まで連れて行ってくれた。

 そのままボクは住み処に帰り「とうちゃん! とうちゃん!」「どうした?」「あのね······」レックス達がボクと父ちゃんに"ナマエ"を付けてくれた事を伝えた。

 それを聞いて父ちゃんも「そうか······ベアーにベアーズかぁ」「うん!」「······まぁ、それも、良い事か」「うん!」

 正直親グマはあまりヒトと仲良くなりすぎるのもどうかと思っていたが、息子が彼らと親しくなってからかなり元気になっている様子を見ていて、(コイツにはその方が良いのかもしれないな)と最近思いだしたのだった。

 そうしてレックス達にナマエを付けてもらってから、より一層レックス達との関係が深まった。


 レックス達が森に来た時はもちろん、来ない時にはボクの方からムラへ遊びに行ってレックス達と遊んだり、レックス達がやっている事を見たりして過ごし、ムラの中にいる他のヒト達もレックスがボクを"ペット(仲良くなった事と後から教えてもらった)"にしたんだとして特に追い出そうとはしてこなかった。

 また父ちゃんも森の中で以前レックスやレックスの父ちゃんといるのを見掛けたヒト(後からアリスの父ちゃんだと教えてもらった)が草などを取りに来た時、一緒に行動して他に生えている場所に案内して上げたりしていると話してくれた。

 こうしてボクや父ちゃんの毎日の生活は、レックス達と関わる事が日常で当たり前となっていったのであった······。


 そんなある時、ボク達 (とりわけ今回は父ちゃん)とレックス達の身に大きな出来事が起こったのだった······。
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