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森での出来事

第5話 ムラへ

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 ケガを治してくれたヒト達の言ってる言葉が理解出来るようになり、治してくれたヒトがレックスだと分かってからというもの、ボクとレックス達との付き合いはますます親しくなっていった。

 今日もレックス達が来たのが(匂いを感じて)分かったので、いつもの川に向かったらやっぱり来ていた。

 ボクが傍に寄って来たのが分かるとレックスが「あ、また来たな」(うん! きたよー)と言葉を掛けてきた。

「本当にお前に懐いてるなぁソイツは」(まぁね)レックスの隣にいたレックスの父ちゃんもそう言ってきた。

 暫くしてから「待たせたな······お、また来てたのかソイツ」「あぁ。まるで俺達、というかレックスが来るのが分かっていたみたいでな」(わかったよ、においで)ボクのケガの手当てをしてくれたもう1人のヒトであるアッシュの父ちゃんとレックスの父ちゃんが会話を交わし、その間ボクはレックスやアッシュとじゃれあっていた。

 その後「それじゃあ帰るか」「「はーい! じゃあねぇ」」レックスの父ちゃんの合図でレックス達は帰って行った。

 そんなレックス達を見送りながらボクは(こんどはいつくるんだろう?)と思っていた。

 レックス達は今までも毎日森に来ていたわけではなく、1日おきや2日おき、長い時には3、4日来なかった時もあった。その時には流石に今度はいつ来るんだろうと待ちわびていたほどだった······。

 そんな中今日はふと、(そういえば、レックスたちのすみかはどこにあるんだろう?)とレックス達がどこからやって来ているのか興味を持ちだした。

 そして、(······よし!)ある事を思い付き、その事は次にレックス達が来た時に実行した。


「じゃあまたね」レックス達がいつものように帰り、ボクがそれを見届け······ずにレックス達の後をこっそりと付いて行く事にしたのだった。

(バレないように、バレないように)レックス達にバレないように距離を取りつつ、それでいてレックス達を見失わないぐらいの距離を保って後を付いて行った。

 大分歩いたところで目の前に何かが見えてきた。それは多くの長くて太い木の枝で作られた囲いのようなものだった。

 そんな囲いの中で一部大きく間が開かれている部分があり、そこをレックス達が通って行ったのを見掛けたため、(きっとここがレックスたちのすみかで、たぶんあそこがいりぐちだな)と理解してボクも誰にもバレないようにその入口を通りレックス達の住み処の中に入って行った。

 中に入ったら(っ!?)周りを見渡してとても驚いた。そこにはこれまで見たこともない自分の体より遥かに大きな造りモノが連なっていたのだった。

(ひょっとして、このつくりモノのなかにレックスたちがそれぞれすんでいるのかなぁ?)と思いつつ、クンクン、クンクン(とにかくレックスをさがさなきゃ)レックスの匂いを嗅ぎ出し始めた。

(っ! こっちか!)レックスの匂いを嗅ぎ分ける事ができ、その匂いを辿るように、また(ヤバイ!)住み処の中にはレックス達やレックスの父ちゃん達と同じぐらいの大きさのヒトが多くいて、そいつらに見つからないように進んだ。

 暫く匂いを辿りながら歩いたところで、クンクン、クン······(っ!)レックスの匂いが漂ってきたある造りモノの前で止まった。

(ひょっとして、ここが······)レックスの住み処だろうと思い、その目の前の造りモノの傍に寄りだした。そしてその造りモノの周りを歩き、(レックスはどこにいるんだろう?)と考えていると目の前に少し大きく開かれている囲みを見付けた。

(あそこはなんだろう?)そう思ってその囲みに近付き、中を覗く事が出来たので覗いてみたら······(いたっ!)中にレックスを見つけたのだった。


 レックスを見つけられた事に興奮し、「ガアガア、ガアガア(レックス! レックス!)」中にいるレックスに叫んだ。

 するとレックスが何かに気付いたようでボクのいる方を見て······とても驚いた顔をした。そしてボクのいる方に寄って来て「お、お前村まで付いて来たのか!?」って聞いてきたから、(ふーん。ここムラって言うんだ)「ガウ!(うん! そうだよ!)」と力強く答えるように吠えた。

「全く。お前って奴は······」(えへへ)とレックスも呆れたのだった······。
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