落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第23章 卒業

第148話 皆と共に

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 ハウル様にマリンタウンへ連れてきてもらい、そのままお城の王の間に向かった。

 入って前回同様「レックスー!」と叫びながらポピーが僕に抱き付いて来た。しかし僕は真面目な顔で「ごめんポピー。今日は君に会いに来たんじゃないんだ」と伝えた。

 そんな僕の様相を見てポピーも僕から離れ、「レックス?」と呟いた。

 その合間にハウル様が国王様らの下に近付き「今日はどうしたんだ?」と聞かれたので、「ちと、お主とで大事な話があるのじゃ」と真剣な鋭い眼差しで国王様を見た。

 その様子からただならぬ雰囲気を感じ、「分かった。こっちへ」と国王様が奥へ促し僕らは後に付いて行った。

 そのままある部屋に招き入れられ「ここなら誰にも聞かれないから大丈夫だ。それで、大事な話とは?」「うむ。レックスのに関わる事なのじゃ」「レックス君の、未来に?」そう聞き返し、僕とハウル様は同時に頷いた。

 そして僕とハウル様は、もうじき訪れる魔王軍との決戦の場で僕が味方の誰かに殺されてしまう事。それが神様も想定外の事だったので、僕を赤ん坊時代から人生をやり直す機会を与えてくれた事。そして、その出来事を回避するために3つの物が必要となり、その1つがあの青い玉だと伝えた。

「ま、まさか······そんな事態だったとは」「そういう事なのじゃ」「それで、レックス君のその運命を回避させるために、あの青い玉が必要となるのですね?」

「うむ。だからあの青い玉の事をなるべく早く調べ上げて欲しいのじゃ」「もちろんです! レックス君の命に関わる事なら当然何としてでも調べ上げます!」

「ありがとうございます、国王様」「いや、これまで君が我々にしてくれた事を考えれば当然の事だよ」とレックス達の会話を聞いていてジェシーは不思議に思っていた。

 一国の王様がヒト族の1人の人間であるレックスにここまでの事を言うなんて、と。

「では頼んじゃぞ。あと、今の話は暫く絶対に他の者には話さぬようにな」「分かりました!」と話を終えてお城を出た。


 そのまま僕達はエルフの王国に向かった。エルフの王国に着いてこちらもお城の王の間に直行した。

 王の間に着き「おおハウル、それにレックス君。そちらのお嬢さんは?」と尋ねられたのでジェシーは自己紹介をした。

「あなたがジェシー様でしたか。それでハウル、今日は何しに来たんだ?」「お主とで大事な話がしたくてな」「っ! 分かった、こっちに来てくれ」と言って今回も奥に案内されある部屋に入った。

「この部屋なら安心だ。それで話とは?」「レックスのに関する事じゃ」「っ! レックス君の、タイムリターナーに関する事?」

 そして僕達は海人族の国王様に話したのと同じ内容を話し、それを回避させるために世界樹の根元で拾ったあの白い枝が必要となると伝えた。

「そういう、事だったのか」「そうなのじゃ」「それで、その世界樹の根元で拾ったという枝とは?」「これです」と持ち続けていた枝をフィンラル様に渡した。

「これは······"世界樹の枝"ではないか!?」「世界樹の枝?」

「ああ。これを持っていると一度だけ死んでしまった時にこの枝が身代わりとなってくれると言い伝えられている物なんだ」「そんな凄い物だったんですか!?」

「ああ。しかし、世界樹の枝もそう易々と手に入る物では無いはずなのだが、それを成長してすぐの世界樹から与えてもらえるとは······やはりベアーズだけでなく君も世界樹に気に入られているのかもしれないな」「僕も、世界樹に?」

「とにかくこれで君に起こるかもしれない事態を回避させれるのなら、我々にとっても嬉しい限りだよ」「そんな」

「いや、君には我々エルフ族は本当に色々お世話になっているのだからな」「確かにそうじゃな」「ハウル様まで」「しかし事実じゃろうに」「その通りだよ」

 皆の会話を聞いてて今回もジェシーは不思議に思った。

 レックスに対してなぜエルフ族の国王様がこうまで言ってくれるのか、と。

「とにかく、今後も何かあれば我々も協力するから何でも相談に来てくれたまえ」「分かりました」

「あと、今回の話は暫くはまだ誰にも言うでないぞ」「分かった」と話を終えてお城を出た。

 帰る前に世界樹に寄る事にしたので世界樹の下まで来たら、ジェシーはもちろんハウル様もその成長ぶりにとても驚いていた。

 そしてジェシーに世界樹のお陰であの傷を治せた事を改めて話したところで、ジェシーも世界樹に手を当て(本当にありがとうございました、世界樹さん)とお礼を伝えたら、風が全く吹いてないのに世界樹の葉が大きく揺れだし、それを見たジェシーはとても驚いたのだった······。


 こうして僕達はお二人に協力を仰いでハウル様の家に戻って来た。

「取り敢えず2つの事はこれで安心じゃろう」「そうですね」「レックス、最後の1つの黒い短剣じゃが、儂が暫く預かって調べてみる事にしよう」「そうしてもらえると助かります」と黒い短剣をハウル様に渡した。

「とにかくこれで後は無事養成学校を卒業するだけじゃな?」「ハハッ、そうですね。それじゃあ僕らはこれで」と帰ろうとしたら、「レックス、ジェシー殿は儂が送るとしよう」とハウル様が仰られた。

「「えっ?」」「まだお互い話があるじゃろうからのぉ、ジェシー殿?」と言われジェシーも「先に帰ってて、レックス」「分かった」と言って僕だけ移動の羽で帰った。

 2人きりになったところで「さてジェシー殿。なぜあの2人がレックスに対してあそこまでしてくれるのか不思議に思われましたか?」「えっ! どうしてそれを!?」

「まぁ正直何も知らない者があ奴らのレックスへの対応を見ればそう思って当然ですから」「本当にその通りです。どうしてレックスはあの方々にああまでしてもらえるのか、不思議でなりませんでした」と伝えた。

 するとハウルは「ジェシー殿。レックスの彼女となられた貴女には全てお話し致しましょう。儂が知っているレックスに関する全ての事を」「レックスの、全てを?」「うむ」

 そう言ってハウルはジェシーにレックスから聞いた彼の前世での事と、今回自分がレックスと関わることになった彼の村などをトロルが襲撃した時から、先日のダークエルフ達との戦い後の時までの自分の知っている事をほぼ全てジェシーに話した。

 その話を聞いてレックスの壮絶な人生を知ったジェシーは、レックスに対して同情し哀れみの気持ちを抱いた。

 しかしその時、ふと3年になった時ベアーズのスペース前でレックスに言われた事を思い出した。その事でジェシーの心の中である決意を固めた。

「というわけなのじゃ。ジェシー殿、儂がそなたにこの話をしたのは」「分かっています、ハウル様」「ん?」そうジェシーから言われてハウルは不思議に思った。

「レックスの過去に色々な事情があって、その過程であの方々と知り合いになった事も今のお話で分かりました。そして、レックスにこれから起こるかもしれない事態も先日レックスから伺っています。ですが、過去がどうであれ、未来に何が起こるかは関係ありません。私は、今にいるレックスを好きになったのですから」とはっきり答えた。

 それを聞いてハウルはとても驚き、「ジェシー殿、そこまでレックスの事を」と言ったところでジェシーは「そう私もレックスに初めて会った時、似たような事を言ってもらいましたから」と答えた。

「似たような事を?」「はい」と言ってジェシーは3年になったばかりの時、ベアーズのスペース前でのレックスとの会話をハウルに話した。

「そういう事でしたか」「はい。あの時レックスにああ言われて本当に心がすっきりとしました。それに、過去や立場も大事かもしれませんが、本当に大切なのは目の前の姿なんだと教えてもらいましたから」それを聞いてハウルも安心した。

「では、そろそろ王都へお送り致しましょう」「はい。ハウル様、本当に色々教えて頂きましてありがとうございました」「うむ」そうしてハウルはジェシーを王都へ送った。

 そしてすぐ戻って来たところで、「レックスよ。どうやらお主も素晴らしい相手に巡り会えたようじゃのぉ」と呟いた。


 ハウルに送ってもらったジェシーは寄宿舎の前にいた。そこへタッタッタッタッとベアーズが走り寄って来るのに気付いた。突然の事だったがジェシーは飛び込んで来たベアーズを優しく受け止めた。

 そして「ベアーズ。ハウル様からあなたとレックスとの出会いの事なども聞いたわよ」と頭を撫でながら話し掛けた。

 そこにレックスも現れ「レックス。あれからハウル様にあなたの過去の事を色々教えてもらったわ」「そっか。ハウル様から色々聞いたんだ」

「でも、そんなのは関係ないんでしょ?」「えっ?」「過去や立場は何であれ、今目の前にいるのは、"養成学校の同級生"のレックスなんだから」と答えた。

「それって」「あなたが似たような事を私に言ってくれたでしょ?」と言われ、僕もベアーズのスペース前で言った事を思い出した。

「確かに、そうだったね」「うん。だから過去や未来の事は気にしないで、今のこの時間を大切にしましょ!」「······うん。そうだね!」

 そう語り合ってそのまま2人して孤児院へ向かった。そして、その道中で新学期は可能であれば2人でお互いのやりたいと見つけたクエストを協力して行うようにしようと話し合ったのだった······。
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