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第24章 王国騎士団

第183話 玉の検証

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 ポピー王子の皇太子即位式から王都へ帰ってきてお姉ちゃんを送った後本部へ帰還し、パーシバル団長へ報告してその日も1日休息日にしてもらえた。

「休みとなったは良いが、どうする?」「やっぱり、この導きの玉の効果を確認してみようよ」「ああ、確かにそうだな。えーっと、確か玉を持ちながら所在を知りたい物や人等の姿をイメージすると、この玉に映し出されてその所在を光で導いてくれるんだっけ?」「そうみたい」

「で、何を探す事にするんだ?」「やっぱり一番イメージしやすい聖なる短剣で良いんじゃない?」「そうだな。真っ黒だからイメージしやすいか」

「うん! じゃあまず僕が隠してくるから」「俺がそれをコイツで探し当てるって訳か」「うん!」「分かった」「じゃあすぐ隠してくるから、休憩所で待ってて」「分かった」

 
 そうして兄ちゃんと別れて僕は真っ直ぐ馬小屋のウッディの飼育場所に向かい、その敷地内のわらの束の中に聖なる短剣を隠し、「後で取りに来るからそのままにしといてね」とウッディに声を掛けて休憩所に向かった。

 休憩所に着いて「隠してきたよ」と兄ちゃんに声を掛けて「よっしゃあ」兄ちゃんは導きの玉を持って目を瞑り、(ホーリーダガー、ホーリーダガー······)と聖なる短剣をイメージしだした。

 すると導きの玉が青白く光だし、表面に聖なる短剣が浮かび上がってきた。

 青白く光だしたのが分かり兄ちゃんもゆっくり目を開き出した。すると導きの玉から青白い光線がある方向へ一直線に伸びていた。

「こ、こりゃあ!?」「どうしたの? 兄ちゃん」「レックス、お前には見えてないのか? この青白い光の線が」

「青白い光の線? うん、導きの玉に聖なる短剣が浮かび上がっているのは見えているけど」「じゃあ、導きの玉を持った人にしか見えないのかもな」と言って兄ちゃんは立ち上がり、恐らく光の線が伸びている方向へ歩きだした。

 そして暫く歩いて辿り着いたのが······馬小屋であり、僕が聖なる短剣を隠したウッディの飼育場所だった。その敷地内のわらの束をあさりだし、「あった!」と聖なる短剣を見つけたのだった。

「凄い。本当に探し当てた」「あぁ。こりゃあ本物だ」「じゃあ、次は兄ちゃんが隠して僕が探し当てるよ」「よっしゃあ!」と僕は兄ちゃんから導きの玉を引き取って休憩所に向かい、兄ちゃんはどこかへ隠しに行った······。
 

 休憩所に着いたところで(次に探しに行く時には色々と試してみよう)と兄ちゃんを待ちながら試す事を考えていた。

 暫くして「お待たせ!」兄ちゃんが戻ってきた。早速僕も導きの玉を持って聖なる短剣をイメージしだした。

 すると先ほどと同様青白く光だし表面に聖なる短剣が浮かび上がってきた。そして兄ちゃんが見たのと同じであろう青白い光の線が見えていた。

 そこで、「兄ちゃん、今青白い光の線って見えてる?」「いや、見えてないが」「やっぱり、玉を持ってる人にしか見えないみたいだね」「そっかぁ」

(それじゃあ次は······)そう思うと僕は導きの玉から手を離した。「えっ!?」流石に兄ちゃんは驚きの声を上げた。その直後、青白い光は消え、聖なる短剣のイメージも消えた。

「やっぱり、一度玉から手を離すとイメージも消えちゃうんだ」「あー。そういう実験ね?」「うん。じゃあ次は·····」

 そう言って再び導きの玉を持って聖なる短剣をイメージして浮かび上がらせ、「兄ちゃん。兄ちゃんも聖なる短剣をイメージしてみて」「えっ? あー。なるほど」

 僕に言われて兄ちゃんも目を閉じ、聖なる短剣をイメージしだした。「イメージ出来たら導きの玉を渡すから、手を出して」「おう」と暫くしてから手が出されたので導きの玉を渡した。

 すると聖なる短剣が浮かび上がったままの状態が保たれていた。「兄ちゃん、青白い光の線って今見えてる?」と聞くと兄ちゃんは目を開けて確認し「あぁ、見えてるぜ」「つまり、同じものをイメージしてもらって玉を渡すと捜索が継続出来るという事か」「そうなるな」

「じゃあ」と聖なる短剣をイメージせず兄ちゃんから玉を取り上げるとやっぱりイメージも光も消えた。「こうなるというわけね」「だな」と分かったところで「それじゃあ探しに行きますか」再び聖なる短剣をイメージしだして青白い光の線に従い歩き出した。

 そうして辿り着いたのが······僕達の部屋だった。そして部屋の中に入り光が指していたのは······ジャックが利用しているベッドの枕元だった。

(······)取り敢えずジャックのベッドを調べたら見つけたので兄ちゃんをジト目で見た。兄ちゃんは「ハハハハハッ! お前のベッドに置いたら当たり前になっちまうだろ!」と笑っていた(全く)。

 
 という事で、休憩所に戻ったところで今回の実験の結果を確認し合った。それによって······。

 1.玉を持って探したい物や人をイメージすると玉にイメージしたものが浮かび上がり、玉を持った人にだけ青白い光の線が見えるようになる。

 2.同じものをイメージして玉を受け渡しするとイメージが継続され、光の線が見える人が代わる。

 3.イメージした人が玉を手放すと光もイメージも消える。という事が判明した。

「取り敢えずこんなところか」「だね」「つまり、浮かび上がったイメージを見て覚えておけば、他の人でも継続して探し続けれるって事か」

「うん。逆に探しているものが知られたくなければ、一瞬でも一度玉から手を離せば大丈夫だって事だね」「そうなるな」

「けど、この効果がどう必要となるのかはまだ分からないけどね」「まぁでも知っておいて損はないだろ?」「だね!」

 などと2人で話していると、「何やら随分面白そうな事を今度はやっているな? 2人で」パーシバル団長が休憩所の前に立っていた。

 
「「パ、パーシバル団長っ!?」」「それで、今度のは一体どうしたんだ?」「あ、これは······」と導きの玉の説明をした。

「なるほど、これも去年手に入れていた物か」「はい。それで手に入れた場所が海人族領内の海底洞窟でしたので、国王様に何であるのか調べてもらっていたんです」

「それならその短剣同様報告の必要は無いだろうが、しかし海人族に伝わる秘宝の1つ何だろ、これは?」「はい。そう国王様からは聞いています」

「だったら、扱いには十分気を付けたまえ」「「はい!」」「では」とパーシバル団長は休憩所を出て行った。

「······あーびっくりした」「いきなり団長が現れるんだもんね?」「あー」などと話して僕達も別れ、その後僕は部屋でゆっくりとした。

 大分経ってからジャック達が帰って来たのでお互いの事を伝え合ったりしてその日は過ぎていった······。


 その日の夜中、突然導きの玉が青白く光だし、僕は夢を見だした。

 まず1つ目の場面が、恐らくこの部屋でジャックと何か言い争いをしていて、突然ジャックが胸ぐらを掴み僕を殴りかかってきた場面。

 2つ目の場面が、お城のジェシーの部屋にいるようで、部屋から出て行こうとしたら「レックス」とジェシーが呼び止め、振り返った時ジェシーが何かを言って僕が頷き、部屋を出てドアを閉めた場面。

 3つ目の場面が、竜······恐らく、あのファイアードラゴンの背中に乗っていて、ファイアードラゴンが空中に浮遊している魔物達に炎のブレスを吐いた直後に僕がエアーブロウを放ち、2つが合わさって大爆発が起こってその中に突っ込もうとしていて、そこで流石に目が覚めてしまった。

(い、今の夢は······)と思っていたら、導きの玉を閉まっておいた鞄が青白く光っているのに気が付いた。その直後に光が消えたので一応鞄から取り出してみた。

 調べてみたが特に変わったところもなかったが、(ひょっとして、今のが予知夢······なのか?)と思いながらも再び眠る事にした。




 しかしこの時、各地の町や村ではとんでもない事が起こっていたのだった······。
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