落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

文字の大きさ
188 / 224
第25章 大奮闘

第188話 説得

しおりを挟む
 ジャックは夜中にこっそり本部を抜け出しお城の近くへ向かった。城の近くに着いて辺りを見回していたら「(ジャック!)」と呼ばれた方を振り向いたら、ジェシーがベアーズと立っていた。

「ジェシー」「ごめんなさい。こんな時間に」「良いんだよ。それより、レックスの聞きたい事ってあいつの雰囲気が変わった事だろ?」「う、うん。そうだけど······」

「やっぱり」「どうして分かったの?」「あいつの雰囲気が変わった事は騎士団内でも騒がれているからね」「そうだったんだ」

「ああ。それであいつがそうなった原因なんだけど」「うん」

 そこでジャックはジェシーにある村にオークとトロルの集団が襲ってきた時、アッシュを庇ってレックスの親父さんが怪我を負った事。その事をアッシュや親しい人から教えてもらえなかった事。後々その事をレックスが知り、アッシュと言い争った後に雰囲気が変わった事を説明した。

 
「じゃあ」「ああ。レックスの奴きっとその事でアッシュ副隊長や皆に不信感を募らせて誰も信じられなくなっちまったんだろう」「そんな。レックス······」ジェシーは悲しい表情を浮かべた。

 そんなジェシーを見てふとジャックは過去のの事を思い出していた。

 そして、「ジェシー」「何? ジャック」「レックスの事は俺やライアンで何とかするよ。絶対に!」

「本当?」「ああ。明日までにあいつを元の状態に戻して、君の所に行かせるようにするよ」「ジャック」

「俺も以前あいつに救われた事があるからな。今度は俺があいつを救ってやる番だよ」「レックスに救われた?」「君の”顔のキズ“の一件だよ」「あっ!」

「あの時、ずっと部屋に閉じ籠っていた俺を出させてくれたのがレックスだったから、今度は俺があいつの心を開かせてやる番だよ」「うん、そうね。ジャック、お願いね」「ああ!」そうジェシーと約束してジャックは本部に戻った。

 
 本部に戻り部屋に向かうと、「よぉ」部屋の前でライアンが待っていた。

 そして部屋から少し離れた場所でライアンにジェシーとのやり取りを説明し、「やはりそうだったか」「ああ。だから今度は俺があいつを何とかしてやる番だとジェシーとも約束したんだ」「そうだな。何とかしないとな」と言ってライアンは手のひらに拳を当てた。

「いやライアン。そういう意味じゃ無いから」「冗談だ」(ホントかよ?)と思いながら部屋に戻って眠ったのだった。

 
 翌朝、偶然ジャック達はレックスより早く起きたため、いつもはレックスが先に起きてそのまま部屋を出て行っていたため、レックスが部屋を出る前に話すことにした。

 暫くして僕が起き、身支度をして部屋を出て行こうとしたら、「······待てよ、レックス」ジャックが声を掛けてきた。

「何? ジャック。急ぐんだけど?」「レックス、養成学校の卒業パーティーの会場でお前に言ったよな。『ジェシーの事、これからも頼むな』ってよ」「そういえば、そんなこと言ってたね。それが?」

「そのジェシーが昨日の夜中、俺に相談事を持ち掛けてきたんだよ」「え?」「しかも、その内容がお前に関する事だ」「······は?」

「まだ分かってねぇみたいだな。お前、いつまでアッシュ副隊長との事を引きずってやがるんだ!」(っ!)

「その事で、お前の態度や雰囲気が変わった事は騎士団の中の皆はもちろん、それ以外の人も気付いてるんだよ!」(っ!)

「その事でジェシーが心配になって、お前に何があったのか俺に聞いてきたんだ」「······」「それで、お前の雰囲気が変わった理由はあの事しかないと思って、お前の親父さんと副隊長との事をジェシーに話したんだ」

「······何だよ、それ」「レックス?」「何で昨日お城で会った時に直接聞かないでジャックに相談してるんだよ」

「そりゃあ、お前の······」「恋人同士なら何でも言い合うもんだろ! それを他人から聞くなんて」「レックス、お前」「そんなの、恋人でいる意味がないじゃないか」

「レックス、てめぇ······」そこまで聞いていたジャックが突然「いい加減にしやがれぇーっ!」と言いながら僕の顔を思い切り殴った。

 そして吹っ飛ばした僕の胸ぐらを掴み、「本気でそんな事言ってるのか! ジェシーがどんな気持ちで俺に相談してきたか分かってるのか! 聞きたくても、聞いたらお前を傷つけてしまうんじゃないかって心配して聞かなかったんだろうが! あいつはそういう奴だって、お前も知ってるはずだろ!」と矢継ぎ早に言ってきた。

(確かに、養成学校時代も自分の事より他人の心配ばかりしていたよなぁ······でも)「······確かにそうだったけど、ジェシーにも君にも分からないだろうね。兄弟同然の関係だと思ってた人に、身内が不幸に見舞われた事を内緒にされてた者の気持ちなんて」「うっ」

「しかも、それを幼馴染みや友人、仲間だと思っていた人達からも内緒にされ、僕だけ除け者にされた気持ちなんて、分かるわけないよねぇ!」と最後は力強く反論してしまった。

「レッ、クス」「······もう僕の事は放っといてよ。今は誰とも付き合いたくないんだから」と本気で今心に思っている事を漏らした。

「レックス、貴様ぁ!」それまでずっと黙って聞き続けていたライアンが叫んだ直後「い、いい加減に······」と言いながらジャックはレックスの胸ぐらを掴んでいる手と握っている手の両方に力を入れた。そして、「しやがれぇーーっ!」と先ほど以上の力で僕の顔を殴り付けた。

「うっ!」その殴られた拍子に僕はベッドの角に頭をぶつけ、そのまま意識がなくなってしまった。

 
 その時、頭の中にいくつかの光景が浮かんできた。

「······!」(······)最初に浮かんできたのは、目の前のアッシュ副隊長の胸ぐらを掴んで何かを矢継ぎ早に言い続けているような場面で、言いたいことを一通り言い終わったところで手を離して後ろを振り返ろうとしたところで映像が途切れた。

 次に浮かんできたのはこの騎士団本部内の医務室のベッドに寝ているアリスを見下ろしている場面で、それまで何かを言い合っていたようで不意に僕がこれまた後ろを振り返ったところで、「君の顔なんて二度と見たくないし、もう話し掛けてこないでくれ!」(っ!)そう言い放って部屋を出た。

 そして医務室前を離れていった······僕の姿を、反対側の廊下の物影からじっと見続けていた人物がいた。(あいつは······)その人物が誰なのか姿を確認する前に再び映像が途切れた。

 そして······グサッ!(っ!?)次に浮かんできたのは、あの決戦の場でちょうど腹を刺された場面であった。あの時と同じく倒れながら後ろを振り返り、刺した人物を確認してようやく(っ!)誰であったのか判明したのだった。

 それらの映像から(そうか、そうだったんだ!!)ようやく前世の全ての真相が分かったのだった······。
 

 その直後、「······クス」「レックス」「おい! レックス!」ジャックが僕を呼ぶ声が聞こえてきてようやく意識をハッキリ戻せたのだった。

「う······ん」「気が付いたか?」「ジャッ、ク?」「良かったぁ」

「僕は······」「俺と言い合ってて、俺が殴った拍子にベッドに頭をぶつけて気を失ったんだよ」「あぁ。そういえば、そうだったっけ」「大丈夫か?」

「うん、大丈夫だよ。······全部」「ぜ、全部?」流石になんの事か分からなかったので、ジャックは聞き返した。

「うん。2人にも色々迷惑かけたけど、本当にもう全部大丈夫だし心配要らないから」「「あ、あぁ」」と答えるしかなかった。

「それじゃあ」と僕が部屋を出ようとしたので「お、おいレックス。どこ行くんだ?」とジャックが尋ねた。

「兄ちゃんとジェシーの所に寄ってから、団長に頼まれた所を見回ってくるよ」「っ!?」そう答えて部屋を出た。

 
 後に残された2人はというと、「ほ、本当に大丈夫なのか? あいつ」「······きっと大丈夫だと思うよ」

「何でだ?」「さっきあいつ、『兄ちゃんとジェシー』って言っただろ?」

「ああ。ん? 兄ちゃん?」「アッシュ副隊長の事だよ。あいつ養成学校にいた頃はアッシュさんの事を"アッシュ兄ちゃん"や"兄ちゃん"って呼んでたんだ」「へぇー。ん? と、いうことは······」

「きっとアッシュさんの事を許したんだと思うよ」「だから大丈夫だと?」「うん」そんな会話をして(良かったなレックス。元に戻れて······)とジャックは思ったのだ。

 まさにジャックの言ったように、通路を歩いているレックスの姿は以前の状態に戻っていたのだった······。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

SE転職。~妹よ。兄さん、しばらく、出張先(異世界)から帰れそうにない~

しばたろう
ファンタジー
ブラック企業で倒れたSEが、 目を覚ますと――そこは異世界だった。 賑やかなギルド、個性豊かな仲間たち、 そして「魔法」という名のシステム。 元エンジニアの知識と根性で、男は再び“仕事”を始める。 一方、現実世界では、 兄の意識が戻らぬまま、妹が孤独と絶望の中で抗っていた。 それでも彼女は、心ある人々に支えられながら、 科学と祈りを武器に、兄を救う道を探し続ける。 二つの世界を隔てる“システム”の謎が、やがて兄妹を結びつける。 異世界と現実が交錯するとき、物語は再起動する――。 《「小説家になろう」にも投稿しています》

おばちゃんダイバーは浅い層で頑張ります

きむらきむこ
ファンタジー
ダンジョンができて十年。年金の足しにダンジョンに通ってます。田中優子61歳

スローライフ 転生したら竜騎士に?

梨香
ファンタジー
『田舎でスローライフをしたい』バカップルの死神に前世の記憶を消去ミスされて赤ちゃんとして転生したユーリは竜を見て異世界だと知る。農家の娘としての生活に不満は無かったが、両親には秘密がありそうだ。魔法が存在する世界だが、普通の農民は狼と話したりしないし、農家の女将さんは植物に働きかけない。ユーリは両親から魔力を受け継いでいた。竜のイリスと絆を結んだユーリは竜騎士を目指す。竜騎士修行や前世の知識を生かして物を売り出したり、忙しいユーリは恋には奥手。スローライフとはかけ離れた人生をおくります。   

転生したら、伯爵家の嫡子で勝ち組!だけど脳内に神様ぽいのが囁いて、色々依頼する。これって異世界ブラック企業?それとも社畜?誰か助けて

ゆうた
ファンタジー
森の国編 ヴェルトゥール王国戦記  大学2年生の誠一は、大学生活をまったりと過ごしていた。 それが何の因果か、異世界に突然、転生してしまった。  生まれも育ちも恵まれた環境の伯爵家の嫡男に転生したから、 まったりのんびりライフを楽しもうとしていた。  しかし、なぜか脳に直接、神様ぽいのから、四六時中、依頼がくる。 無視すると、身体中がキリキリと痛むし、うるさいしで、依頼をこなす。 これって異世界ブラック企業?神様の社畜的な感じ?  依頼をこなしてると、いつの間か英雄扱いで、 いろんな所から依頼がひっきりなし舞い込む。 誰かこの悪循環、何とかして! まったりどころか、ヘロヘロな毎日!誰か助けて

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

処理中です...