落ちこぼれ一兵卒が転生してから大活躍

きこうダきこう

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第26章 決戦

第216話 火竜参戦

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 ジャックが放ったクロスボウの矢は······僕のすぐ近くに上空から迫っていた魔物の額に命中した。

(えっ?)そんな近くにまで魔物が迫っていたなんて知らなかったため、僕自身とても驚いた。

 そんな僕の側に駆け寄って来て「何ボケっと突っ立ってんだ!」とジャックが怒鳴ってきたので、「デビットを探してたんだよ!」と言い返した。

「デビット? そういやあいつどこに······いたっ!」ジャックが伝えてきた方を見て僕も少し離れたところで戦っていたデビットを発見した。

「デビット!」「ん? おお、2人とも」デビットが僕達の方に駆け寄って来て「どこまで行ってたんだよ!」「いやぁ、悪ぃ悪ぃ」「もう皆の所に戻るよ!」「了解!」そう伝え他の人達にも戻る旨を伝えて僕達は兄ちゃん達の所に向かった。

 その最中も僕は(良かった。······本当に良かった!)と誤った運命を回避させられた事に心の底から喜んでいたのだった······。


 元の場所では兄ちゃん達が目の前の魔物を相手にしていた。そこへ「兄ちゃーん!」僕らが戻った。

「海人族達は?」「何とか態勢を元に戻せたみたいだから戻って来たよ」「分かった。じゃあまた元の持ち場に戻ってくれ!」「「了解!」」ジャック達は散ったが、僕はまだその場に残った。

 そして、「兄ちゃん」「レックス! お前も早く······」「さっき、誤った運命を回避させる事が出来たみたいだよ」「······えっ?」流石にその言葉を聞いて兄ちゃんも固まってしまった。

「ほ、ほ、本当か!? 本当に回避させられたのか!?」と聞いてきたので、兄ちゃんの方をしっかり見てやって首を大きく縦に振った。そんな僕の様子を見て兄ちゃんはとても喜んだ顔になりだしたのが分かった。

 しかしそんなことはお構いなしと言わんばかりに「じゃあね!」と言って僕はその場を離れたが、兄ちゃんはそんな僕を暫くずっと見つめ続けていたのだ。

 そしてふと来る前に腕に巻いたミサンガを見たら半分切れている事にようやく気付いた。そして本当に願いが叶ったと分かり(よ、良かった。レックス······本当に、良かったな)と思いながら涙を流し出してしまった。

 しかしすぐ我に返り涙をぬぐい、再び自分も魔王軍に立ち向かったのだった······。

 それから暫く僕らは元の担当場所で善戦し、大分相手側の勢力が衰えてきたのを見て、誰もが(行ける!)(これなら、勝てる!)などと思いだした。

 
 しかし突然再び地面が揺れだした。そして数ヵ所の地面が割れたかと思ったら、そこから5、6体の巨大な魔物が出現したのだった。

 しかも、その魔物の姿を見て騎士団の何人かとエルフ族は全員驚愕したのだった。

「お、おい。あ、あいつって······」「ま、まさか!?」「ま、間違いない。ギ······「ギガントだ!!」」そう、目の前に現れた魔物の姿はダークエルフ達との戦いの時に奴らが魔王から借りたと思われた幹部の1人であるギガントにそっくりなのであった。

「な、何でギガントがここに!? しかも、あんなに何体も!」「あの時確かに俺が倒したはずなのに」「もしかして、あいつらはそのギガントを基に魔王が生みだした奴らなんじゃあ?」「「っ!?」」ジャックの推論に得心したのだった。

「ってことは、あいつらは言うなればギガント"もどき"のような奴らって事か?」「きっと、そうかも」目の前のギガントもどきの事で全員の認識が一致したところで、その内の一体が突然僕達のいる辺りに握り拳を作って振り下ろしてきたのだった。

「「っ! うわぁーーっ!」」間一髪全員避ける事が出来たが、他の場所では同じようにギガントもどきによる拳の振り下ろしや足での踏みつけ攻撃に多くの人が直撃を受けたりして負傷者が続出したのだった。

 僕達は最初の握り拳の振り下ろし攻撃を避けた後、僕と兄ちゃん、ジャックとデビットとに別れてそれぞれ近くの岩影に隠れ潜んだのだった。

「くそぅ。あんな奴らとどう戦えって言うんだ!」(確かに。あの時はヴァンパイアバット達にロックサイ、ベアーがいてくれて何とかなったようなものなのに。本当にどうすれば······)と考えていると、「(レックス。レックスよ)」不意に頭の中に声が響いてきた。


(こ、この声は!?)そう、聞こえてきた声はあの湖のほとりで対話したファイアードラゴンの声であった。

「(どうやら、見事にお主の誤った運命を回避させる事が出来たようだな)」(み、見てたの!?)「(ああ。今もお主達の様子を見ておる)」(っ!?)

 そう聞こえて僕は周りを見渡した。すると、司令部のある森よりやや後方の上空に何かがいるような気配があり、よくよく目を凝らして見たら、(いた!)ファイアードラゴンだと分かった。

「(約束通り、我もそなた達と共に戦ってやろう)」(っ!?)そ、それなら今の状況を打破出来るかも!?

 そう思いまた周りをキョロキョロ見だし、少し離れた所に丘のようになっている所を見つけたので、そちらを指した。ファイアードラゴンも理解したかの様にその丘の方に向きを変えた。

(よし!)そう思った後、「兄ちゃん」「何だ? レックス」「ギガントもどき達は僕達・・に任せて」「ぼ、僕達?」

「兄ちゃん達は他の魔物の相手を頼むねっ!」「あ、おいっ! レックス!」兄ちゃんの静止も聞かずに僕は岩影から飛び出し、丘を目指した。


 丘へ向かうまでに敵味方それぞれの者達に遭遇したが、特に自分を攻撃しようとしてこなければ相手にせず、また味方も殺されそうでなければ助ける事もせずひたすら先ほどの丘を目指して走り続けた。

 そして丘の上に着いたところでファイアードラゴンがいた方向を見た。すると徐々にファイアードラゴンがこちらに近付いて来ているのが分かった。

 またその少し前には司令部にいたパーシバル団長やポピー達が自分達の上空を巨大な物体が通り過ぎたのを認識しており、「っ!? い、今のは······」と一瞬気になったのだった······。

 さらに森の前に連なっている魔法部隊や最前線で戦っている武力部隊、相手の魔物達もそれぞれ「お、おい皆! あ、あれ!」「あ、あれは······」「ま、まさか!?」「「ファ、ファイアードラゴン!?」」「ッ!?」などとファイアードラゴンの姿を認識して動揺しだしたのだった。

 そのファイアードラゴンに僕が目で合図を送るとファイアードラゴンも理解した様に丘の近くを通るように飛行して来て、そのファイアードラゴンに僕が······スタッ! ドンッ! 丘から飛び上がり、ファイアードラゴンに飛び乗ったのだ。

「「なっ!?」」流石にその一連の様子を見て多くの人が驚いたのだった。しかしそんな事は気にせず「本当に助かるよ、ファイアードラゴン」「(フッ。どうやら、そのようだな)」とファイアードラゴンも少し先に見えているギガントもどき達を認識し、そう返してくれてそのまま奴らの下へと向かった。


 ここにきて魔物達はファイアードラゴンが自分達の敵だと認識しだし、飛行型の魔物達が僕らに向かって来た。

 そのためファイアードラゴンが大きく息を吸い込みだし、僕も「邪魔を······」と言いながらエアーブロウの発動準備をした。

 その後、ファイアードラゴンが炎のブレスを吐いた直後に僕が「するなーー!」と言いながらエアーブロウを放ち、2つが合わさって大爆発が起こり、近くにいた魔物達はもちろん、離れた所にいた飛行型の魔物達も巻き添えをくって滅んだのであった。そう、最初に導きの玉が見せた3つ目の予知夢の場面と同じように······。

 上空の大爆発が余りにも激しいものだったため、地上にいた連合軍も魔物も再び動きが止まってその大爆発を見続けてしまい、アッシュも「す、凄ぇ······」と呟いたのだった······。

 その大爆発は魔法部隊が配置されている場所からも、そして司令部や救護所がある森からも確認ができ、それぞれの場所にいた者達もそれを見て呆然としつつ、戦場で何が起きているのか不安に思う者もいた。

 
 その爆風にファイアードラゴンは突っ込み、ギガントもどき達目掛けて飛行を続けた。そして一体のギガントもどきに近付いたところでようやくそのギガントもどきも僕達に気付いて拳を振り下ろしてきた。

 しかしその拳攻撃もファイアードラゴンはヒラリと体を避けてかわしたのだった。

 その直後、······キラーン! 突然僕は目の前のギガントもどきの腕にケリーの両親を助ける際大木に見えたあの光の縦線が見えるようになったのだった。

(っ!)僕は驚きながらもその見えた光の線を信じ、聖なる短剣を構え、直後に光の線を感じたので「ええいっ!」短剣を振るった。

 振るった直後は特に何も起こらなかったが突然······スパッ! なんと先ほど見えた光の線の辺りで腕が切断され、切られた腕の先が地面に落下したのであった。

「っ!」「っ!」「「!?」」僕やファイアードラゴンはもちろん、地上にいた者達もその光景を見てとても驚いていた。そして腕を切り落とされた当のギガントもどきは大きな叫び声を上げて苦しんでいた。

 それを見て僕はファイアードラゴンに「あいつの頭上に向かって!」と言うやファイアードラゴンもその言葉に従ってくれて苦しんでいるギガントもどきの頭上に向かった。

 そして頭上に到着したところで僕はファイアードラゴンから飛び降りて聖なる短剣を両手で持ち、あの時のギガントと同じくギガントもどきの額に付いている第3の目らしき所を突き刺した。

 するとそれまで以上の叫び声を上げながらギガントもどきは地面に倒れていきそうになったので、すぐにファイアードラゴンに飛び戻り、その場を離れた。直後にそのギガントもどきは地面に倒れ、そのまま動かなくなった。


 その様子を見ていた連合軍の面々からは喝采が沸いたのだった。

 僕らも1体倒したところで安堵······しようとしたら別の奴の拳が迫っているのに気付き、間一髪で避ける事が出来た。

 そしてすぐにそいつの片腕にも光の線が見えたので、その線に合わせてまた短剣を振るったら再び腕が切断されて地面に落下したのだった。

 その光景を見てファイアードラゴンは驚いていたが、さらに驚くべき光景を目撃した。

 
 ちょうどレックスが短剣を振るった先の地上では、連合軍の誰かが魔物にやられそうになっていたのだが、スパッ! 何とその魔物が突然真っ二つに裂かれたのであった。

 恐らく先ほどレックスが短剣を振るった衝撃が地上にまで及んだのだろうとファイアードラゴンは認識したのだが、その魔物の真下にいたはずの連合軍の者は全くの無傷なのであった。

(なっ!?)その様子を見てファイアードラゴンはとても驚いていたのだが、「ファイアードラゴン!」僕に呼ばれたので考えるのをやめ、先ほど同様今腕を切り落としたギガントもどきの頭上に向かったのだった。

 そして再び僕が飛び降りて額の第3の目に短剣を突き刺してギガントもどきを倒した。

 その後また自分の背中に戻ってきたところでファイアードラゴンはレックスに先ほどの出来事を尋ねる事にした······。
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