apocalypsis

さくら

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quaecunque sunt vera

tredecim

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 放課後、斎は指定された場所へと向かう。ハッキリと言って面倒くさい。今度の用事は何なのか、考えるのも嫌になってくる。
 思わず軽くため息を吐く。前回は、教材が重くて大変だから手伝って欲しいだった。その前は、プリントの確認を手伝って欲しいだった。
 足を止め、英語の教科室の前で再びため息を吐く。毎回、誰でも良さそうな事を手伝って欲しいと言われるのだが、とても迷惑だと思う。だが、わざわざ職場での関係や状況を悪くしたいわけではない為、結果的に引き受けてしまう事になってしまうのだ。
 意を決し、ドアを軽くノックする。すぐに中から若い女性の声で返事が返ってきて、ゆっくりとドアを開けた。
「失礼します」
 声をかけながら、室内へと足を踏み入れた。すぐに、室内にいた女性が近寄ってくる。
「すみません、お忙しいのに無理を言って」
 女性は斎に向かって笑顔を浮かべながら視線を向けた。まったくだ。そう斎は思いながら、笑顔を作り相手に返す。
「いえ、それで今回は何ですか?」
 多少の嫌味を込めて言ったのだが、相手には伝わっていないようだった。
「来週から来る留学生が、予定より早く来る事になってしまって、それで通訳をお願いしようと思ったんです」
 英語教師が数学教師に通訳を頼むというのは、どうなのかと思わず嫌味を言ってしまいそうになる。
「そうですか」
 心の中で大きなため息を吐き室内を見回す。ソファーに座っていた少年が立ち上がり、視線を向けてくる。その姿に、鼓動が高鳴った。
 窓から入る日の光を受けて輝く長い金髪、硬玉の翡翠をはめ込んだような翠の瞳をした、白人の少年の姿を確認する。
 少年に近寄りながら、昨夜の事を思い出す。暗がりではあったが、間近で見た昨夜の少年の顔と、目の前にあるのは同じものであった。
 目の前の少年は、白いワイシャツに黒いスラックスという制服姿に、首にかかっている携帯音楽プレイヤーと、ヘッドホンが目立っている。そして、そのハリウッド映画のスクリーンから抜け出したような容姿は、女子生徒たちが黙っていないと思われるものであった。
「もうかってまっか?」
「は?」
 思いもかけない言葉に、斎は思わず口を開く。
「あれ? 挨拶、間違っとる?」
 斎の様子に、少年は確認するように尋ねた。
「あー、いや……」
 昨夜の少年は英語を話していた。特に会話に困るわけではないが、日本語が分かるなら、最初からそれを使えと、少し苛立つ。
「さよか」
 少年は嬉しそうな表情で答えた。
「あ、俺、Cyrus Ewen Astorや。よろしうな、オカモト先生」
 まだ名乗ってもいないのに、サイラス ユーイン アスターと名乗った少年は、名字を呼んだ。
「よろしく」
 平静を装いながら、挨拶を返す。なぜ自分の事を知っているのかと考えるが、ここで問い詰める訳にもいかず、視線をすぐ傍にいる女教師へと向けた。
「通訳は必要ないみたいですので、これで失礼します」
 斎は即座にドアへ向かって歩き出した。
「あの」
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