apocalypsis

さくら

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date et dabitur vobis

septendecim

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 放課後、早々に学校を後にし、斎は車を走らせていた。目指す場所はそう遠くはないが、いつも渋滞している高速道のことを考え、少しでも早く移動をしたかったのだ。カーブが多いのは好きであるが、両側に高くそびえる壁は閉塞感を訴え、あまり感じが良いものではない。
 助手席に座る天弥はオープン状態で走る車に喜び、機嫌よく移り変わっていく空を眺めている。少し走り地下のトンネルを抜けると、轟音と共に空を飛んでいく飛行機がすぐ近くに見えた。あまりにも近くに見える飛行機に、天弥の胸が躍る。
「先生、飛行機、凄いですね!」
 隣で運転をしている斎に向かい声をかけるが、オープンにしているために風の音と飛行機の騒音で、天弥の声はかき消されてしまった。仕方がなく、また外の景色を眺め始める。
 再び地下のトンネルを抜け、少し走ると今度は長い地下トンネルに入った。景色が何も見えなくなり、天弥は少し気落ちしながら前方を見つめる。長いトンネルだと天弥が変わらない風景に厭き始めた頃、視線の先に出口を知らせる小さな光が見えた。天弥の胸に再び期待が満ち溢れる。
 前方に見える光は次第に大きさを増していき、出口の形をハッキリと現した。すぐに出口を抜け、天弥は期待を込めて辺りを見回した。だがそこは、車が数台駐車されているだけで特にこれといったものは無く、少し落ち込む。
 天弥の落ち込みを余所に、斎は空いているスペースに駐車をし始める。車が完全に停まり、続いてエンジンも止まった。
「着いたぞ」
 突然かけられた言葉に、天弥は顔を上げて斎を見る。
「ここ、海なんですか?」
 天弥の質問に斎は、親指で後ろを指した。促され、天弥は振り返る。柵の向こうに広がる海が、すぐに視界に飛び込んできた。
「海! 先生、海です!」
 斎の腕を掴み、天弥は全身に喜びを表しながら海を指す。斎は喜びはしゃぐ天弥の様子を見ながら、煙草を取り出した。すぐに天弥は車から降り、もっと近くで海を見ようと柵へと近付いていく。斎は取り出した煙草を咥え火を点ける。
 沈みゆく太陽と共に様相を変えていく空が海に映り、天弥は静かにそれを見つめた。
「上の方が見晴らしいいぞ」
 一服終えた斎がいつのまにか横に居り、海に夢中になっている天弥を、柵に凭れ掛かりながら見つめていた。
「上?」
 不思議そうに天弥が聞き返す。
「展望デッキがあるから、海を見るならそこの方がいいだろ」
 少し離れたところにあるエスカレーターに向かって歩き出した。慌てて、天弥も後を追うように歩き出す。
「先生、ここどこなんですか?」
 辺りを見回しながら尋ねる。
「高速道のパーキングエリアだ」
 斎の言葉に、天弥は納得したようなしていないような、複雑な表情をする。パーキングエリアというのは知っている。週末に遠出をした時に行ったことがある。だがここは、今まで行ったところとはまるで雰囲気が違っていた。
 エスカレーターで上の階へ行くと、天弥はまるで大きな客船の中にいるような錯覚を覚えた。両サイドに展開されている店に後ろ髪を引かれながら、斎の後に続きさらに上の階へと進む。
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