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2.始まり
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私、カレドニア・カーネリアン(愛称:ニア)は、王都と他領を挟んで北にあるカーネリアン辺境伯領、その辺境伯家の三女に生まれた。
(兄→姉→姉→私→妹→弟の順で生まれた。)
寝ぐせのようなクセ毛の茶髪(毛先があちこちハネる)、明るい茶色の瞳というあまりパッとしない容姿で、幼い頃から辺境伯家に生まれた者の義務として剣術や体術といった武術を学ばされ、他家の令嬢達と比べて筋肉質で、肌の色も日に焼けて色白ではなく、背も高い私は恋愛事とはあまり縁の無さそうな見た目だった。
(実際モテた事は無いのであまり縁がないと思う。)
そんな私でも、戦闘になればいつ命を落とすかわからないからという理由で(辺境伯家だけかもしれないが)幼い内に婚約者が決められていた。
とはいえ、カーネリアン辺境伯家では遅い、六歳になる直前のぎりぎり五歳での婚約だった。
(大体は三歳ぐらいで、早い者は生まれた時から婚約者がいる。)
相手は他領と王都を挟んだ王国南部にある辺境伯領、ガーネット辺境伯家の長男(嫡男)ライアン・ガーネット卿で、私よりも七歳上の十二歳である。
そして、婚約者として初顔合わせの時に私は彼に一目惚れした。
烏の濡れ羽色のツヤツヤとした黒髪、ガーネットのような瞳。
日に焼けた健康そうな肌の色、細くもなくマッチョでもない程よい筋肉のついた逞しい体型。
爽やかで優しげな笑顔の眉目秀麗な方だった。
『こんな素敵な人に惚れない女なんていないよね!
なのに、こんな優良物件と婚約できるなんて私ってラッキー!!』
などと浮かれまくっていた私。
この時に、何故この様な優良物件なのに婚約者が決まっていなかったか、疑問に感じるだけの脳ミソが私にあれば良かったのだが、如何せんラッキーとしか思えない脳ミソだったのが現在の状況に繋がっているとしか思えてならない。
後日、海より深く後悔する事になるのだがこの時の私は幸せいっぱいで浮かれまくっていた為その事に気付く事はなかった。
顔合わせ以降は、ライアン様が学園に入園される準備等で忙しく、(それでも)二月に一度はお茶会をして会う機会を作ってくれた。
そして、ライアン様は学園に入園すると同時に学生寮に住まわれたので頻繁に会える筈もなく、長期休暇中に辺境伯領に戻られた時にお会いする程度だった。
それでも幸せだったのだ私は。
ライアン様がどう思っていたかなんて知らなかったし気付けなかった。
私への異性としての好意は無くても、たとえ政略結婚で跡継ぎを設けないといけない事を承知で婚約したのだとしても…いつかは夫婦として寄り添っていけたら…と、私は彼の事を好きだったから、そういった相手と結婚できるなんて幸運な事だと…そう思っていたのだ。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
五年後、ライアン様が十八歳で学園を卒業してガーネット辺境伯領に戻って来られた。
けれど、私も十三歳になり、貴族の子息令嬢達が通う学園に入園する事になる。
それまでの一年間、ライアン様が学園に在学中にあまり会えなかったからと、お父上の補佐をしながら跡継ぎの勉強でお忙しい中、月に一度は交流の為のお茶会をしてくれた。
見た目も中身も優れている上に気遣いもできる婚約者。
そんな彼を益々好きになってしまった。
だから、学園入園後三年経った現在、十六歳になった私は、あと二年経てば十八歳で学園を卒業し結婚できると、その日を夢見て指折り数えていた。
なのにライアン様とある男爵令嬢に関する噂話で頭を悩ませる事になるなどこの時の私は思ってもみなかった。
いや、頭を悩ませる等という生易しいものではなかった。
恋愛等、二度としたくなくなるほどの思いをする事になるなんて…。
(兄→姉→姉→私→妹→弟の順で生まれた。)
寝ぐせのようなクセ毛の茶髪(毛先があちこちハネる)、明るい茶色の瞳というあまりパッとしない容姿で、幼い頃から辺境伯家に生まれた者の義務として剣術や体術といった武術を学ばされ、他家の令嬢達と比べて筋肉質で、肌の色も日に焼けて色白ではなく、背も高い私は恋愛事とはあまり縁の無さそうな見た目だった。
(実際モテた事は無いのであまり縁がないと思う。)
そんな私でも、戦闘になればいつ命を落とすかわからないからという理由で(辺境伯家だけかもしれないが)幼い内に婚約者が決められていた。
とはいえ、カーネリアン辺境伯家では遅い、六歳になる直前のぎりぎり五歳での婚約だった。
(大体は三歳ぐらいで、早い者は生まれた時から婚約者がいる。)
相手は他領と王都を挟んだ王国南部にある辺境伯領、ガーネット辺境伯家の長男(嫡男)ライアン・ガーネット卿で、私よりも七歳上の十二歳である。
そして、婚約者として初顔合わせの時に私は彼に一目惚れした。
烏の濡れ羽色のツヤツヤとした黒髪、ガーネットのような瞳。
日に焼けた健康そうな肌の色、細くもなくマッチョでもない程よい筋肉のついた逞しい体型。
爽やかで優しげな笑顔の眉目秀麗な方だった。
『こんな素敵な人に惚れない女なんていないよね!
なのに、こんな優良物件と婚約できるなんて私ってラッキー!!』
などと浮かれまくっていた私。
この時に、何故この様な優良物件なのに婚約者が決まっていなかったか、疑問に感じるだけの脳ミソが私にあれば良かったのだが、如何せんラッキーとしか思えない脳ミソだったのが現在の状況に繋がっているとしか思えてならない。
後日、海より深く後悔する事になるのだがこの時の私は幸せいっぱいで浮かれまくっていた為その事に気付く事はなかった。
顔合わせ以降は、ライアン様が学園に入園される準備等で忙しく、(それでも)二月に一度はお茶会をして会う機会を作ってくれた。
そして、ライアン様は学園に入園すると同時に学生寮に住まわれたので頻繁に会える筈もなく、長期休暇中に辺境伯領に戻られた時にお会いする程度だった。
それでも幸せだったのだ私は。
ライアン様がどう思っていたかなんて知らなかったし気付けなかった。
私への異性としての好意は無くても、たとえ政略結婚で跡継ぎを設けないといけない事を承知で婚約したのだとしても…いつかは夫婦として寄り添っていけたら…と、私は彼の事を好きだったから、そういった相手と結婚できるなんて幸運な事だと…そう思っていたのだ。
△▽△▽△▽△▽△▽△▽△
五年後、ライアン様が十八歳で学園を卒業してガーネット辺境伯領に戻って来られた。
けれど、私も十三歳になり、貴族の子息令嬢達が通う学園に入園する事になる。
それまでの一年間、ライアン様が学園に在学中にあまり会えなかったからと、お父上の補佐をしながら跡継ぎの勉強でお忙しい中、月に一度は交流の為のお茶会をしてくれた。
見た目も中身も優れている上に気遣いもできる婚約者。
そんな彼を益々好きになってしまった。
だから、学園入園後三年経った現在、十六歳になった私は、あと二年経てば十八歳で学園を卒業し結婚できると、その日を夢見て指折り数えていた。
なのにライアン様とある男爵令嬢に関する噂話で頭を悩ませる事になるなどこの時の私は思ってもみなかった。
いや、頭を悩ませる等という生易しいものではなかった。
恋愛等、二度としたくなくなるほどの思いをする事になるなんて…。
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