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15.ライアン・ガーネット①
バーデンウッド王国、この世界で一番大きな大陸の西海岸にある俺が生まれた国。
その国の南部辺境領の領主セドリック・ガーネットの長男(嫡男)として生を受けた。
父は騎士道精神を体現したような真面目な男だった。
そして、そんな父が妻に乞うたのは控え目な夫の三歩後ろを歩くような淑女と呼ぶに相応しい女性で、何処から見てもお似合いの夫婦だ。
だから俺の婚約者を選ぶ時、両親のような夫婦になれる相手を選ぼうと思っていた。
辺境ではいつ戦場に立つ事になるかわからない為、幼い内に婚約者を決める者が殆どだった。
そして毎年春になると婚約者を決める為の大規模なお茶会が領邸で開かれる。
俺が三才の時のお茶会は、熱を出した所為で欠席した。
だから、同い年の貴族子女は殆どの者が婚約済みになっていたので仕方が無いから、初めて参加した四才のお茶会で婚約者を探す事になったのだ。
だが、中々婚約者が決まらなかった。
と言うのも、ヒステリックに口喧嘩を始める令嬢達がいたり、必要以上に纏わり付いてきたり、ゴテゴテ、ギラギラと着飾っている令嬢ばかりで、お茶会に行くのが嫌になる程だった。
余談ではあるが、王太子の側近や婚約者候補を決める為のお茶会の時が一番ひど…ゲへ、ガハ、ゴホッ。
王都や他家で開かれるお茶会にも出席しても、ほぼ似たような状況にウンザリしていた。
そして、九歳の時に出席した寄子である子爵家のお茶会に出席した。
そこで、人集りの中に一際目を引く令嬢がいた。
ぱっちりとした大きな目、蒼色の瞳、色白で儚げな腕の中で守ってあげたくなるお人形のような美しい少女だった。
何より、キラキラつやつやした金髪は黄金のようで日の光を反射してとても綺麗だった。
是非、婚約者になって欲しいと思った俺は彼女に話しかけようとした。
しかし、沢山の令息達に囲まれ近付く事もできず、離れた場所から見ている事しかできなかった。
お茶会が終わった後、落ち込んでいる俺に気付いた両親に聞かれ、是非婚約者になって欲しい令嬢がいた事を話した。
「きっとカーバイト男爵の所のラフレシア嬢の事ね。まだ幼いのにあんなに美しい子を見たのは私も初めてよ。」
そう言ってニコニコ笑う母。
自分が褒められたみたいで嬉しかった。その上、彼女の名前が分かった事でもっと嬉しくなった。
「だが、そんなに美しい令嬢なら、早々に婚約者が決まってしまうのではないか?」
父の一言で不安になる。
そんな俺の顔を見た両親は、明日の朝一番に婚約を申し込みに行こう。と言ってくれた。
△▽△▽△▽△▽△▽△
翌日の朝一番に先触れを出し、男爵家に訪問した俺と両親を目にした男爵は、私達の訪問目的が婚約の申し込みだと知ると、物凄く申し訳無さそうに何度も頭を下げた。
既に子爵家令息との間で婚約か結ばれた後だったのだ。
酷く落ち込んだ俺を両親は慰めてくれたが、暫くはお茶会にも行きたくなかった。が、嫡男であるからそういう訳にも行かず、渋々行ったのだが婚約したいと思うような相手はいなかった。
だから学園に入園してからそこで婚約相手が見つかればいいと思っていた。
そんな時に父が俺に縁談を持ってきた。
聞けば北部辺境の領主カーネリアン辺境伯家の令嬢だと言う。
“ カーネリアン一族 ”
そう聞いた俺は、顔合わせをすると即答した。
カーネリアン一族は男も女も美男美女揃い、外見だけでなく優秀な人物ばかりだと有名だったからだ。
だが、釣書を見た俺はがっかりした。
俺の見合い相手は、地味な容姿と“ 優秀な上下に挟まれた谷間 ”とか“ じゃない感満載 ”等と逆の意味で有名な令嬢だったからだ。
顔合わせの日、俺は朝から憂鬱で何とか相手側から断ってくれないものかと考えていた。
だが、実際に会った彼女は地味な容姿と言われているらしいが、彼女の姿だけが俺の目に飛び込んでくると言うか、彼女しか目に入らないといった感じだった。
おまけに小さくて可愛い。
何なんだこの可愛いい生き物は。
(断じて俺はロリコンではない!)
膝に乗せて頭を撫でたり、お菓子を食べさせてあげたい!
のを、グッと堪えた。
何の苦行だ。何かの罰ゲームなのか。
けど、とにかく可愛いい。
そして、今度こそ誰にも渡すものかと、その日の内に俺と彼女の婚約を決めた。
俺が学園に入園して会える機会が少なくなっても、彼女に手紙をせっせと出し続け、誕生日のプレゼントも忙しい中、無理してでも自分で選んだ物を彼女に送った。
喩え会う機会が少なくても彼女が学園を卒業したら結婚できるのだと、指折り数えてその日が来るのを待ち望んでいたんだ。
思えば幸せいっぱいだったのは学園を卒業して一年経つぐらいまでだった。
あの日、子供の頃に婚約を申し込んだが断られた相手と…ラフレシアと偶然出会わなければ…。
正直、その時までラフレシアの事などすっかり忘れていた。
なのに…。
後悔でしかない…。
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*お気に入り登録やしおり、エールを送って下さった方々本当にありがとうございます!
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