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酒田の奉仕・R18

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*今回、6000字あるのでいつもより長いです。お時間があるときにどうぞ。
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 カフェサロンから帰って慶介は酒田に「秘密はもう嫌だ」と言った。

 酒田と景明が話してくれた。
 景明の調査で、永井は8月の末ごろから薬を始め、今もずっと飲み続けているとわかった。酒田はその話を12月の始め頃に聞かされたそうだ。それは無表情を返せるようになった頃でもある。
 慶介に黙っていたのは罪の意識から、自分も薬を飲むと言い出す可能性があったからだ。と言われてズバリ図星だった。

「でもーー」
「永井の薬を止めるには慶介が番になるしか無い。でも、それは拒否すると決めたんやろう。永井がどうなるか、どうするかは、永井の家族が考える事だ。ウチはもう酒田という薬を見つけた。永井は、ほっとけ。」

 慶介の声に、景明が被せるように強めの口調で断言し、それ以上の話し合いは受け付けない。というように席を離れてしまった。

 ショックを隠せない慶介に酒田が更にショッキングな話をした。次のヒート入院の『お相手』で良い結果にならなかった場合、酒田は身を引く。と言う話だ。

 永井が薬を服用していると分かってから、皆で話し合いを重ねていたらしい。結論は『20歳までは何らかの方法がないか模索するがそれ以降は、信隆の意向により永井と番わせる』と決まったそうだ。
 ヒートのお相手も20歳まで挑戦してもいいが、決断が長引けば、慶介はその分、薬を飲むことになる。酒田はそれが嫌なのだと言う。
 ただ、慶介が永井と番になった時、酒田は「自分がどうするか分からない」と言った。
 景明は迷う酒田にこう言ったそうだ。

「警護を続けても良いし、永井の番となった慶介を見るのが辛いなら去っても良い。なんなら他のオメガと番えるように見合いをセッティングしてやろう。・・・まぁ、慶介の子どもの警護をするってのも、補佐アルファなりの人生の楽しみ方だぞ。爺や~と呼ばれて親よりも頼りにされる補佐になるのも豊かな人生だ。と、俺は思う。」

 それを聞いて、酒田はそのような人生を歩む人物が2人思い浮かんだ。酒田の本家にいる家令と呼ばれる爺やと、酒田の母親の「左腕」と呼ばれる補佐アルファだ。親の反対を振り切って酒田の父のもとに嫁に来た母をサポートし続けた「左腕」は酒田にとってはもうひとりの父親のような存在だった。

 酒田は「下手すると『左腕』が亡くなる時のほうが、父親よりも泣くかもしれない」なんて、笑いながら話す。
 慶介は振り返れば必ずそこに酒田がいる光景を想像した。それは、少し前の姿の延長線で想像するのに苦労もないけど、あの頃に感じていた寂しさが胸の隙間を通り抜けていった。

「そんな人生も悪くないかもって一瞬思ったけど、俺は、慶介の後ろじゃなく横に並びたいと思うし、子どもを抱くなら自分たちの子どもだったら、なお嬉しいと思う。だから、慶介・・・、今は永井のことじゃなくて、俺のことを想ってくれないか?」

 この日、慶介は酒田の腕に抱かれて夜を過ごした。性的なことは無い。ただ一緒のベットで寝ただけだ。あんなに安心できる匂いの酒田といても夜が明け空が白むまで慶介は眠れなかった。



 冬休みが明けて、酒田が永井に服を返す。
 2人はいつも通りの何食わぬ顔で、眉を下げているのは慶介だけ。
 命を縮める薬を飲んでいるのに。と思うけど、隠していた時は慶介も何食わぬ顔をしていたのを思い出した。


 一週間、学校に通ったら慶介はまたヒートで休みに入る。
 永井が直前の2日間を休む事もない。あれは、薬を飲んでいることを知られないためのカモフラージュのつもりだった、と永井は言った。

「酒田から聞いた。今回のヒートで実験するんだろ?上手くいったら、入院しなくてよくなるって。上手くいくと良いな。」
「・・・うん・・・。」
「なぁ、俺のことは気にすんなって。そんなんじゃ、精神不安から上手くいかなくなるぞ。ヒート時の症状は精神状態に影響されやすいんだから。」



 入院して、2日目の昼過ぎにヒートの症状、発熱発汗が始まる。そこからジワジワと始まる腹痛。
 夕方頃、本格的に腹痛で苦悶する前に酒田が到着した。

 酒田は強い抑制剤を飲んで、慶介は腹に測定器を付けて、まずはキスだけでどの程度、痛みを緩和出来ているのか?などの計測をする。他にも、誘引フェロモンの有無による変化や、射精後の痛みが鎮まる時間を計測し、医師から「酒田にまかせても大丈夫そうだ」と判断された。

 やっと2人きりに慣れた安心感を測定器のなくなった体を密着させて抱き締めることで実感する。
 触るのを避けていた尻を揉むように柔く握り込む酒田、冬でも夏用の薄いインナーを好む慶介のパンツは水着のようにグチョと濡れている。服の上から触られると流石に不快感がある。

「脱がせてくんねぇの?」

 色香のある誘い文句ではなく、ただ、濡れた服が脱ぎたいだけということが伝わってしまったのだろうか?酒田は苦笑しながら慶介の額にキスをした。
 不快感の原因が取り去られるとスッキリするが、隠すものがなくなったそこはたった一枚の防具が無いだけでなんとも心細い気持ちになる。

「見てもいいか?」

 酒田はいつもの黒のスポーツインナーとジャージを着たまま、慶介は3Lの半袖Tシャツにノーパンでベッドにコロンと転がり、いわゆるM字開脚で晒された秘部に酒田は「鼻血が出そう」という顔をした。
 茹でタコみたいな真っ赤な顔で鼻息を荒くしながら、性的興奮を制御しようとする酒田から、誘引フェロモンが放出され部屋中に広がった。

 青臭い葉っぱの匂い、あまり良い例えじゃないけど雑草の草刈り後のような匂いだ。
 暑い夏に公園の草刈りに行かされて、生い茂る雑草を無心でせっせと毟りとって、終了を告げられたて我に返るとドッと襲ってくる疲労。見栄えが良くなった公園の姿に達成感と爽快感を感じる中、飲む参加賞の渋いお茶と集められた雑草の山の匂いを思い出す。
 いい匂いとはあまり言えないと思う。でも、慶介はこの匂いに安心感を覚え、とても好きな匂いだ。

 酒田は慶介の膝に頬や額をこすりつけ、太ももを撫でくりまわす。襲いかかりそうな衝動を必死に耐える姿は、ご飯を前にした犬が「待て」を命ぜられた可愛そうなようで可愛い姿に似ている。
 冷静さを取り戻した酒田が内ももにチュとキスをした。

「触るぞ。」

 中にズボっとされるかもと身構えていた慶介の想像を裏切り、酒田の指は穴の入り口をぬるぬる、ぬるぬると撫でるだけ。だが、そのせいで慶介のソコがどれほど濡れているかを知らされる。

「はーー、脳みそ沸騰しそうなくらいグラグラする。でも、抑制剤の吐き気もすごい。気抜いたらゲーゲーいきそう。はぁ、でも興奮する。俺、慶介のアナル、触ってるんだ。ああ、ぬるぬるして、気持ちよさそう・・・。腹、痛くならないように、感じさせないと。・・・慶介、気持ちよくなろうな・・・。」


 酒田の奉仕は半端ない。


「もう、イきたい、酒田。イく、イくのっ、あ、あぁ、酒田ぁ~、もっと、ちゃんと触って、ね、ね、・・・あう、ちがう、そっちじゃない、」
「イキすぎると疲れるだろ?だから、甘イキだけな。腹痛くないだろ?」

 穴の中感じる部分、前立腺をクックッと押されながら前を扱かれていたのに、イキそうになったところで手を離されてしまう。自分でやろうとした両手が恋人繋ぎで縫い留められて、酒田は胸をペロっと舐めて冷たい風を送る。そうすると慶介の絶頂へ至る快感はそらされてしまうのだ。

 最初、酒田は性感帯が多いほうが良いからと、感度が悪かった慶介の乳首をこね回し、他の性感帯の感覚とリンクさせて、立派な性感帯に育てた。
 なのに、乳首だけでイクのは覚えさせないようにと、最後はフェラだけでいかされた。
 そこから慶介はずっとイかせてもらえないままだ。

 計測結果から、射精またはイったあとの腹痛が引く時間より、前戯時間のほうが長く痛みを緩和できている。と、わかったので、イクよりイク手前にとどめるほうが腹痛を起こさずに済むのではないか?と酒田は言うのだ。

ーーそれは、つまり『寸止め地獄』なのでは?

 胸の先の片方は指で捏ねられ、もう片方は舌で舐められ時折チュゥと吸われる。残った手は絶えず慶介の穴をクチュクチュと撫でイジられている。
 内ももに力がこもりガクガク震え、最後の一押しが欲しくて男の性感帯を酒田の体に擦りつけようとすると、酒田は体をフイと浮かせて、胸への刺激も後ろの穴からも指が抜かれて、イキそうな快感の波が途切れてしまう。快感の名残を味わおうと腰を振ると、そっと押し留められ、酒田の体に押し付けようとしていた部分をなでられた。先端から垂れるヌメリを広げるように先っぽだけを撫でられて、ビリビリと快感に腰が痺れるが、それだけではイけない。慶介は叫ぶ。

「もう挿れてッ!挿れていいから、イかせてっ!あ、あ、さかた、さかたぁ、あああっ、いっぅぅぅ・・・、はぁ、はぁ・・・、なんで、イきたいのに・・・、酒田、なんで挿れないの?一緒にシたい。酒田のでイきたいっ。」
「ごめんな、俺だって挿れたいよ。慶介ん中入りたい。でも、ヤッたら殺すって信隆さんに言われたんだ。だから、今回、俺は奉仕だけだ。でも、大丈夫、絶対、腹痛起こさせないから。気持ちよく、させるから。」
「あんのクソ親父ぃ~~!」


 中からグリグリと持ち上げられるように責められて目の中に星がチカチカと光る。つままれた乳首がまた気持ち良くて、全身で感じ入るのだが、もうイきそうと思ったら、脇腹をコショコショとくすぐられて意識がそれてしまった。グリグリと責め立てていた指も気持ち良いところに触れないように避けられて、慶介が「続きをして」と乳首に酒田の手を押し付けるが、手のひらで覆われて逆に刺激がもらえなくなり、切なさで腰が揺らしたら足で押さえつけられてしまって身動きも取れなくなる。

「もう、ヤダッ、気持ち良いのいやだッ!イいけないの辛い~、あっあっ、ん~~!やぁああっ!イきたいぃぃいッ!」

 ヒクヒクと収縮する波が落ち着くと、ゆーっくりと酒田の指が出し入れされて、それだけでゾクゾクと肌が粟立った。
 快感しか与えてくれない魔の手から逃れようとずり上がる慶介を酒田が追いかけ、また、絶頂へおいたてられる。



「・・・はぁ、はぁ、」

 息も絶え絶えな慶介は口移しで薬を飲まされた。
 睡眠薬と抑制剤だ。

「いけないの辛かったよな。頑張ったな。次のでイいったら、一旦寝ような。」

 前立腺をトントンと一定のリズムで叩かれる。刺激としてはかなり優しい部類。でも、それがいい。
 ちょっとずつ高まる快感の波がイキそうなラインを越えるたびに、神経を焼くような熱さが絶頂の近さを教えてくれる。

「あー・・・、それ、あ、あ、いい、あ、きもち、もっとして、イク、イきたい、イク、イク、イっていい?いい?」

 絶頂という極みの直前で失速し快感の熱だけがくすぶる焦らしを受け続けた慶介は間違いないという確信が欲しくて許可を求めた。
 慶介の意をよく分かっている酒田は恍惚の表情に頬を緩ませ「いいよ」と甘い声で許可をだした。
 手の動きは冷静にリズムを崩さず、ちょっとずつ慶介を絶頂へと高めていく。

「あ、きた、きたよ、あ、あ、イク、イク、きもち、さかた、きもちいの、イっちゃう、イっちゃう、イクイクイクッ、ーーーんあああッ!!」

 慶介は時計を見る余裕も無いので分かっていなかったが、酒田の愛撫が始まってから6時間、1度フェラされて出した射精から4時間ぶりの絶頂だった。

 酒田は、快感の余韻に震える慶介の額や瞼にキスを落とし「疲れたろ?寝て良いぞ」と囁き、慶介はその言葉に従って意識を手放した。


 翌朝、慶介は腹の鈍い痛みで目が覚めた。いや、痛みというほどではない違和感だが、のちのち痛みになる予感のあるそういう波が等間隔でやって来る。
 慶介を抱き込むように眠っている酒田を起こさないように、離れようとそっと体を起こしたら、気づかれた。眠そうな半開きの目が慶介を捉えて、まるで寝坊に気づいたかのように飛び跳ねるように起きた。
 焦った顔の酒田に「俺もいま起きたとこ」と言うと安堵の息をついて、スマホを見た。
 画面はストップウォッチだ。

「ああ、良かった。6時間寝れてる。これで全部『クリア』だ。」

 酒田は慶介を、ぎゅうっと抱きしめた。
 その手と体の震え、強すぎる抱擁は酒田の不安を表している。
 慶介は終始、快感に翻弄されぱなしだったが、酒田は自身の進退を決する大事な試練の一日だったのだ。と、初めて理解した。もっと協力的になれば良かったか?とちょっと後悔したけど、そもそも酒田も教えておいてくれれば良かったのに。と思わなくもない。


 絶頂間近からの寸止めという快楽責めはやり過ぎ、と医師から指導された酒田の奉仕はかなり緩やかになった。
 腹痛を感じたら愛撫され、誘引フェロモンを受けながら気持ちよさに浸って、もっと気持ちよくなりたいなぁ、と思うくらいの所で止める。
 それも、結局、快楽責めの寸止め地獄と変わらぬ辛さがあった。これ以上の気持ちよさがあると分かっているのに与えられず、もっとしてと酒田に頼むも駄目だと言われ、だったら自分でしようとすると止められて、慶介は言葉で仕草でフェロモンで一生懸命に酒田を誘うが、それらの全てに酒田は鋼の精神で耐えきった。

 4日目、5日目になると『ヒート時の激しい腹痛』は次第に出なくなり、やられっぱなしだった慶介は酒田をからかう余裕が出てきた。
 キスの最中に酒田の手を封じて、ガチガチに興奮しっぱなしのそれを指でついーっといじり、慶介が散々された先っぽを指の腹でナデナデとしてやると酒田が慌てる。

「腹痛いからキス止めたらダメだぞ。」
「嘘つけっ、そんな顔してない!」

 嘘だと分かっていながら酒田は従順にキスを止めずに、慶介のイタズラの手を止めるために藻掻くが、慶介だって人並み以上の体格だ。強く出られない酒田を押さえ込み翻弄するくらいには筋肉もある。
 快感に負け始めた酒田の腰が慶介の手と足に押し付けられ決定的な刺激を求め始める。慶介は焦らすような事はしない。服の上から気持ち良いであろう強さで擦り上げてやっていると、酒田がガバッと起き上がり、慶介の両手を拘束した。
 フーーッ、フーーッと顔を真っ赤にして、歯をむき出しにしながら耐えた酒田。鋼の精神はご立派だが、それでは慶介が面白くない。
 慶介だって酒田をもっと翻弄したい。

「なぁ、酒田が我慢すること無いだろ?手コキくらいしてやるよ?フェラだってしていいのに。」
「・・・ダメ。タガが外れたら止まらなくなる・・・我慢できなくなるから、絶対ダメ。」

 慶介の悪魔の囁きにも耐えた酒田はそれ以降、痛みが無いなら愛撫はしない。と、キスしかしてくれなくなった。


 看護師が入室し、ヒートの終了が告げられた。
 酒田はゲッソリした顔で肩を撫で下ろし、慶介は最後まで酒田の鋼の忍耐を崩すことは出来なかったことに顔をムスッとさせた。


 酒田の報告を聞いた医師は、次のヒートは自宅で過ごせますよ。と合格をくれた。
 だが、次の言葉で慶介は忘れていた現実を思い出す。

「これなら、酒田くんと番になっても大丈夫でしょう。良かったですね。」


 ふわふわしていた気持ちに冷水をかけられた。

 薬を飲まずに済む。
 腹痛も解決した。
 酒田と番になれる。
 これで、もう大丈夫だ。


 ・・・自分たちだけは。










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