Postman AAA

オーバエージ

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死闘

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郵便屋は少しスピードを上げて走ったせいか、フォークスという街に予想よりはるかに早く着いた。
門を通ろうとすると、地面に何か謎の線上のような物を発見したので車を止め、双眼鏡で確認する。
「マキビシチェーンだ!」
そう叫ぶとほぼ同時に天候が吹雪に変わってゆく。最悪のシナリオだった。
街中の横から車が出てきて停止し、2人は開いたドアを盾替わりに銃撃戦を開始し始めた。
テッドもドアを開け、相手と同様にドアを盾にしながら銃口を向けた。
(あの女性…あいつから何とかしないと…)
しかし女性を死亡させるとICチップが反応し、とんでもない頭痛が来るので気を付けないといけない。
(足は見えないから肩を狙うか、それとも…)
吹雪で視界不良な中、思考を集中させる。
銃声がひとまずやんだところで、テッドはドア越しに向こうをみる。
と、猫が顔を出した所でテッドは1発、弾を撃ち込んだ。
どうやら当たったらしく、(よし!)と心の中で叫ぶ。
ヨーコはネコパンチに、
「大丈夫か?」
と、めずらしく気遣いを見せる発言をすると、
「すっごぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーく痛いにゃ‼」
よく見ると耳に丸い穴が開いている。
テッドは標的を女性に変え、ドア越しに撃つ機会をうかがっている。
女性は猫の傷のおかげで感情的になっている。そこにつけ込むのだ。
「こいつめっ」
ヨーコは郵便屋が顔を出したタイミングを見て、ドア越しに何発も打ち込むが吹雪がすごくて弾は当たならい。
その瞬間、肩に痛みが走る。テッドによって撃ち込まれた痛みだ。
(私が…被弾…?)
疼く痛みに耐えながら車の車内へと戻る。
テッドはスピードローダーで6発同時装填し、シリンダーを手で一回ぐるっと回転してから内側に引っ張るように装填させる。
ネコパンチはドアからこっちへ2丁拳銃を撃ちながら向かってきた。テッドも売られた喧嘩は買うことにして、同じく猫に突進した。
テッドの肩と腕に鉛玉が被弾する。猫も腕と足、さらに肺にも弾を受けてしまう。
密接した途端、両者の弾切れ。
テッドはここでミニミサイルを撃ちたかったが、全て使ってしまって無い状況だった。
「僕を追いかけるのは、もうやめろ…」
撃たれた腕を押さえながらつぶやいた。
「ヨーコが諦めない限り…ごほっ、死ぬまで追いかけるにゃ…」
あの女性の名前がヨーコである事に気づく。
「今回は分が悪いから撤退するけど、また決着をつけるんだにゃ」
そう言うとネコパンチは走ってきたドアが開いたままの車に飛び込むと、吹雪の中に消え行った。
「くそっ…また医者探しか…」
そう言うと同時に吹雪は止み、太陽が顔を見せたのだった。
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