ゴミみたいな人生を終わらせ異世界転生してレベル1のヒーラーになったが、あえて地上戦闘に抗いダンジョンに光をともす

オーバエージ

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2階でもう修羅場な件

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寝る間もなく、いきなりダンジョンに通された僕。

「このダンジョンがそうだから。ちなみに他のパーティーにも沢山遭遇するから、どうするかは貴方次第よ?」

「僕次第なんて無茶ぶり過ぎます!」

「大金・良い装備持ってたらどうするかしら?これは逆もあり得るからパーティーで来たのよ」

何しろまだ戦った経験もないから、PT経験値に頼るしかなかった。どうやらレベル違いでも経験値が入るらしい。

「レベル10くらいは俺たちに任せて、後はトーチをよろしく~」

マッパーのピピンが自慢気に言う。

「地下一階なんて庭みたいなもんですよ。初級者みたいな所だから安心して」

早速ダンジョンに入ると敵が襲ってくる。

それを後ろにもある敵と合わせて3つの残光が見えたかと思うと、忍者は太刀を収めた。

敵を一瞬で倒したのであった。ピローンと連続で音がなり、僕は慌てて

「赤ちゃんにミルクあげる時間ですか?なんですか今の音」

「レベルが上がったのよ。さっき教えた両指でキャンバスを作って!」

「両指で四角を作ると、モニターが映り、レベルが3になっているのが見えた。」

忍者は、

「トーチ」スキルに2つ割り振れ。付加したらトーチの魔法を使って拙者達の先頭に立ち、明かりがわりに動くから。

(敵がいきなり襲ってきたらどうするん…?)

泣きそうだったが、トーチスキルを+2にしてから…その後はなんだっけ。そうだ呪文だ。まてそんなのしらないぞ。どうしよう。

ピピンがリュックからヒーラー用の呪文書を差しだした。

「これの…ココね」

なるほど…書面通りの危うい呪文を唱えると、杖から少し明かりが出てきた。まだスキルレベル+2なので、それほど明るくはなかったが、まあないよりはマシだ。

「とりあえずトーチをレベルマックスの+10にしてからかな。話はそれからだ」

忍者は全面を凄い移動速度で走り、スライムを次々倒していった。

しかし明かりが灯って分かったが、ダンジョンと地上にあるスライムの違いが激しくキツイ。地上のはぷるんと丸く、愛着さえ感じるほどだったけど、ダンジョンのスライムは壁に汚く張り付いていて薄気味悪かった。

ピピンも1階では魔法を使って複数のスライムを次々とやっつけている。

それから何十分たっただろう。敵から宝箱が落ちてきた。

「やっと私の出番ね」

女盗賊は鍵穴をいじりながら、慎重に宝箱のトラップと戦っていた。

「毒針があったけど解除したわ」

開けると数枚の銅貨と竹刀のような何かが出てきた。

もう少し言うと、1階での宝箱に誰も興味がなかった。そんな感じである。

「宝箱にも星の数だけトラップがある。悪趣味よねここのダンジョンの主って」

「レベルが12になりました!」

僕は素直に喜んでしまっていた。

「トーチスキルはどうだ?」

「はいMAXです!」

「よろしい。一旦宿で休むとするか」

皆が装備を鞘に収める。僕自身もほっと安堵した。

ダンジョンから帰ってくると、もう空はすっかり星もようだった。

7 宿の食堂にて

飲めや 歌えや 水道水♪

おかしなクリスマスソングを盗賊アリンは歌っている。

メンバーは全員ギルド2階の食堂にいた。

「ごめんね~うちら今までヒーラーが居なくて、金欠でさぁ」

盗賊アリンが申し訳なさそうに冷たい水を飲む。

僕も飲んでみる。冷たくて、これはこれでいいじゃないか。

「しかし、料理がまったくないのはどうしたものか…」

「拙者は餓死してしまうよ全く…」

ブーブー言ってるメンバーに盗賊アリンが突っ込む。

「やっとエット君がトーチを覚えたんだから、今度は2階を回ろう!食事代ぐらいにはなるよ」

「光を見ただけで倒れる敵もいるしね!」

確実に実力が数字として表れる。これが本当、何よりも達成感を味わえるってやつだ。

「全滅したことはないんですよね?」

僕は気軽に聞いてしまったことをあとで後悔することになる。

水の入ったジョッキをドンと置くと、戦士ビットレイが重い口を開いた。

「1度5階でひどい目にあってる。ほぼ全滅しかけたが、テレポートもできず限界だった。そこでたまたま1階へ続くダストを発見し、1気に1階に戻れたんだ」

「ヒーラーがいなかった僕たちは5階までが限界だったってわけ」

マッパーピピンが元気なさそうに言った。続けて、

「でも2階なら全然大丈夫!ちゃんと完璧にマッピングしてるし」

そう言って使い込んだ感のあるボロボロのマップを広げて見せた。

忍者が、

「次はヒーリングをマックスにして貰おうか。本格的になってくるな。」

と満足げに水道水をグイっと飲み干した。

「とにかく今日は大成功!他のパーティーにも遭遇しなかったし、万事OK‼」

僕はどうしても気になっていることを聞いた。

「ピピンさんは何の種族なんですか?初めて見たもので…」

本当はどれもこれも初めて見た物ばかりなんだが、そこはひとつ棚に上げて聞いてみた。

「ピピンザンクという小さな街の地下で暗躍してるんだ。だから皆は暗闇でも視界が良くみえるわけ」

「へー。すごいですね」

「僕は地上で冒険してみたかったんだけど、結局はまた暗いダンジョンで活躍してるのさ」

「もう飲めない~…」

盗賊アリンは何故か水道水で酔っ払っていた。

とにかく明日は頑張っておいしいものを食べよう。そう決断した瞬間、お腹がぐ~っとなってしまった。

8 2回目のダンジョン探索

パーティーは再び同じダンジョンの前に来ていた。皆で打ち合わせという名の雑談に興じていると、違うパーティーがダンジョンに入ってゆく。

こちらには一瞥さえせずに、である。

「あれはPT狩りのPTですね」

マッパーピピンが確信を込めて喋りだす。

「パーティー狩り…⁉」

「そう、PTを倒して金銀財宝を奪うんだなこれが」

「大金をゲットするために、地下の奥にいて、ダメージを食らっているPTを殺る、と」

戦士ミッドレーはパーにした左手に右手のグーでパンチしてみせた。

「だから2階も気を抜かずいこうぜ!」

「おーッ」


僕ことエットは先頭に立ち、杖をトーチ代わりにゆっくり進んでいく。正直僕は突然来るかもしれない敵におびえていた。

そうこうしてる内に敵影が現れる。ト―チの明かりでPTはすぐ敵を見抜いた。

「コヨーテだな」

「そうね、何匹いるのかしら」

忍者は敵に飛び込み、あっさり7匹たおしてしまう。

「すごい!」

「2階だからなだけだぞ!」

そう言いながらさらに奥の方へ向かってコヨーテを退治してゆく忍者。

「レアボス来ないかなー」

盗賊アリンはボソッと囁く…。

「レアボスってなんですか?」

僕は素直に語り掛ける

「各階で時々現れるボスの事よ。2階でも結構倒すのきついからなー」

(出ないで欲しいです、そんな敵)

僕は心の中で叫び、リフレインしてゆく。

ズゥゥゥン…ズウゥウウゥン…

その時だ…何かが凄い足音を立てて迫ってくる音が迫ってきた。

「こっこれはっ……‼」

9

「明らかにボスって感じゃないか!」

戦士ミッドレーは興奮した。ピピンが大き目の四角を作る

「ゴーレムだな。強さは5階の雑魚並みだけど…」

「やっちまおうぜ!」

「ドロップアイテムは魅力じゃな」

「ヒーラーはLV3だけど、とにかく戦士と忍者にヒールしまくってくれ」

ピピンは盗賊アリンよりもダンジョンでの司令塔ではなさそうだった。

ゴーレムはとうとう姿を現した!思っている以上に大きい。後ろの方で僕はトーチを灯した。

四角で固まっているを想像したが、人の形をしてるのは確認した。しかいデカいブツなのでゴクリと喉をならした。

戦士がまずタンク役として突進していった。忍者はその隙に後ろに素早く回った。

受けるダメージは結構あるが、その分動きは遅かった。戦士は器用に立ち振る舞っている。

と、忍者が後ろから首を切ろうと果敢にも首を跳ねようとしていた。が、半分にも満たない掘りで終わった。

僕は慌てて呪文書をとり2人にヒーリングの魔法をかけた。寝る前に毎日欠かさず呪文詠唱ブックをよんできたからだ。

「はぁ…やれそうか?」

「拙者にもわからん」

その瞬間、氷魔法がゴーレムを襲った。予想想定外だったことに、あせりを感じているのがわかる」

そこで女盗賊アリンが毒針をゴーレムに与え、まだやれると思ったのか、首切りにこだわっていた。

ゴロン。首が完全に取れるとゴーレムは息絶え、宝箱をのこして砂のように消え去った。

「すごそうじゃんかー‼」

「盗賊にかかっているぞ、おい」

盗賊のアリンは2つの針金でまず様子を伺っていたが、しばらくして更に小さい針金をゆっくり差し込む

かちゃり。

見事トラップ解除に成功した。中を見る。

「おお金貨が入ってるぜ!剣も入ってる!これは俺用だよな。ビショップがいればすぐ鑑定できるんだがな…」
そう言うと戦士は僕をチラリと見た」

ビショップ…ヒーラーの上位職業かな?まだまだかかりそうなんですけど」

「 金貨袋も取れたし、今日は帰るよ!」

盗賊アリンに反論するものはいなかった。

「やっとうまい飯が食えるよ…」

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