不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

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第十一章

親との再会

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「流石に貿易都市とだけあって珍しい物が多いなー」
「そうですね、ところでアドルフ様はどこまで行ったんでしょう?」

俺達はジルを捨てて街の観光をしていた。
アドちんがどこまで行ったか知らないが、とりあえず今はやる事がない。
ある程度歩いて行くと見慣れた建物が見えてきた。

「お、アレは・・・」
「ギルドですね」
「ここにもあるのか」
「王都で登録していればここでも依頼が受けられるそうですよ?」
「じゃあ、金稼ぎの為に何かやっとくかー」
「はい!」

ギルドに入り、依頼板を眺める。
討伐系の依頼は時間がかかるから無理だ。
採取系の依頼もそれを持ち合わせていないと無理。
だとするとかなり限られてくる・・・

「・・・ん?これは・・・」

『私の息子と娘が王都フェニクスにいるんです!最近王都でクーデターが起きたと言う噂を聞いたのでとても心配です!なので情報を下さい!ちなみに息子の名前がクロ、娘の名前がリンです。領主・レイチェル』

「・・・レイチェルさん、何してんの・・・」
「どうかしましたか?」
「いや、これを受けようかと思ってね」
「領主さんの依頼ですか・・・「やめときな!」」

話に割り込んできたのは受け付けの人だ。
男のような口調だが、実際見ると四十代ほどの女性だ。

「やめとけ、とはどういう意味ですか?」
「そのまんまの意味だよ、今ね王都から逃げてきてる人が沢山いるんだよ、その人らの話のよると大変な状況らしいよ」
「・・・詳しく教えて貰っても?」
「あぁ、なんでもクーデターを起こした組織が自分達の良いように法律を作ってそれを少しでも破ったら奴隷にされるって話だよ?一度入国したら出るのが困難らしいし・・・」

なるほど・・・好き勝手やってるみたいだな・・・

「いや、別に王都に行くってわけじゃない、元々ある情報を提供するだけだ」
「そうかい?ならいいんだけどね・・・」

この女性は心配してくれているんだろうが依頼主がレイチェルさんでさらに領主というのがどうしても気になる・・・
なら行くしかないか・・・

◆◇◆役所◆◇◆

「この依頼を見てきたんですが、レイチェルさんはいますか?」
「はい、情報提供ですね!今お呼びみますので少々お待ちください」

職員は奥の部屋に入っていく。
領主とは言っていないがレイチェルさんで通じるらしい。
周りで「領主様の子供の件・・・無事だといいんだけどね」など役所に来ていた人がまるで自分の事のように悲しそうに言っている。
様子からして同情される程レイチェルさんは慕われているんだろう。

◆◇◆応接間◆◇◆

少し待っていると応接間に案内された。
レイチェルさんはすぐに来るとのことなので、リンを出してシロと待っている。

「クロさん、リンさん、ここの領主様の依頼ってどんなのを受けたんですか?」
「・・・これ」
「えーっと、子供の情報提供ですか・・・名前は、!?、この名前!!」
「うん、俺達だ」

トントン

扉がノックされる。
おそらくレイチェルさんが来たんだろう。
扉を開くとレイチェルさんが酷く疲れているような顔をしていた。
寝ていないのだろうか?目の下にクマがある。
それに下ばかり向いて何も見えていないようにも見える。

「本日はお越し頂き・・・え?」
「えっと・・・久しぶりです、レイチェルさん」
「ママ、目の下にクマがあるよ?」
「・・・」

レイチェルさんは黙って俺とリンを見つめ、涙目になりながら勢い良く走って抱きしめた。
レイチェルさんのこんな姿を見るのは初めてだ。
久しぶりだからって大袈裟すぎないか?

「よかった・・・本当に、ありがとう」
「あの、レイチェルさん?」
「ママ?何があったの?」
「ううん、何でもないの、ただ言わせて、ありがとう」
「なんだよ、俺が死んだとでも思ったのか?」

まぁ、クーデターがあって奴隷狩りもしてるんだし、そこにいたら死んでるかも知れないとは普通考えるかもしれないな。

「いいえ、死んでないって事はすぐに分かるわ・・・でも、あなた達が酷い目にあってないかって考えると夜も寝れなくって・・・」

ん?世界を見れば?
どういう意味だ?
まぁ、いいか。今はレイチェルさんとの再開を喜ぶか。

「あの・・・領主様?」
「あら?貴女は・・・」

シロの事、見えてなかったのかレイチェルさん・・・

「あ、私はシロって言います。訳あって「ありがとうね・・・」え?」

レイチェルさんはシロをギュッと抱きしめた。
あれ?シロをレイチェルさんって知り合いなのか?
でもシロは全く知らない人みたいな反応だし・・・

「クロを・・・救ってくれてありがとう」
「ちょ、領主様?」
「ごめんなさいね、こうしないと私、後悔しちゃうから・・・」
「レイチェルさん、さっきから様子がおかしいぞ?世界とか後悔とか・・・」

流石にこの様子はおかしい。
久しぶりの再開というのは分かるが、シロとは初対面のはずだし・・・
レイチェルさんはシロを離すと俺を真っ直ぐとした目で見てきた。
その眼差しは真剣としか言い様がない。
こんなレイチェルさんを見るのは今まで無かった。
どんな時も明るくて、叱る時は叱ってくれて、そして・・・どうしようも無いくらい優しかった。

十年見てきたがこの真剣な表情は初めてだ。

「クロ、貴方には話さなくちゃいけないことがあるの。」
「なんだよ、そんなに改まって・・・」
「話す前に、貴方にはやってもらう事があるわ」
「・・・」

俺は息を飲んだ。
応接間は先程の明るい様子とは違い、静寂が支配していた。
そしてレイチェルさんは重い口を開き言い放った。

「魔王を・・・倒しなさい」
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