不死鳥契約 ~全能者の英雄伝~

足将軍

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第十一章

教祖の正体

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よし、殺るか

腕輪から剣を出し、扉を開ける。

「また辞表か?そこに置いておけ、あとで見ておく」

シードが書類を整理しながら答える。
書類に集中しているのか、俺が来ている事に気付いていないようだ。
あれ?このまま倒してよくね?
いや、でも可哀想だしそこは正面から倒そう・・・

「おい」
「だーかーら、今忙しいの!!赤字で魔王軍がドンドン弱体化してて危機的な状況!!分かる!?いや、分かれ!!」
「あ、はい」

なんで俺、説教されてるんだろ。

「じゃあ、さっそく要件を済ませて帰るか」
「辞表は見ておくからそこに・・・あ」
「あばよっ!!」

魔力の斬撃を縦に飛ばした。
すると玉座ごと真っ二つになり、「ギャアアアア!!」と言う声と同時に魔力を爆発させた。

「さて、これで要件は「ふっ、これで死ぬとでも?」・・・なに?」

俺は風魔法で煙を飛ばし、シードの姿を探す。
俺はシードを見つけ、とても驚いた。
何に驚いたか?
それは・・・

「その程度の攻撃で死ぬ訳ないだろう!!お前など余裕で蹴散らしてくれる!!」

真っ二つになった玉座の右半分に体を寄せて縮こまり、震えながら漏らしているのにも関わらず言葉だけで強者の余裕を見せているシードの姿に・・・

「漏らしてるぞ?」
「こ、これはな!!えーっと、あれだ、そう!!力を解放した証だ!!」
「お、おう」

凄い言い訳苦しいけど、魔王だから色々プライドとかあるのだろう。

「生きてるなら仕方無い、もう一度・・・」
「グハッ、マ、マケター」
「・・・」
「・・・」

プライドの欠片も無いな・・・
と、言ってもレイチェルさんとの約束もあるので・・・

「じゃ、倒すか」
「え?え?ちょっと、まっ」
「あの世でシードを後継者にした自分を悔やむんだな」
「へー!!そういうこと言うんだ!!サイテー!!」
「はいはい、じゃあ一瞬で終わらせるから・・・な?これでいいだろ?」
「・・・痛くない?」
「うんうん、痛くない」
「わーい、でもどうやっホゲエエエェェ!!」

魔王討伐完了!!

「クロさん、結構酷いですね・・・」
「そうか?・・・ん?何か魔力が増えた・・・?」

魔王を倒したと同時に、魔力量がかなり増えたことに気付く。
もしかして魔王討伐したからか?
まさか、レイチェルさんはこれを狙って・・・

「とりあえず終わったし帰るか」
「そうですね!!」
「転移」

◆◇◆貿易都市◆◇◆

「結構遅かったわね」

元の部屋に着くと、レイチェルさんがそう言った。

「相手は魔王だよ?無理言わないでくれ」
「そうですよ領主様」
「でも、あの程度ならすぐに倒せたはずよ?」
「まぁ、そうだけどさ、少し・・・な」

まさか魔王軍が赤字で大変な状況だったなんて言えない。

「じゃあ、早速話しましょう・・・」

レイチェルさんが話を始めると言うので、椅子に座る。

「まずは、フェニクス教の教祖は誰なのか言う必要があるわね・・・」

フェニクス教の教祖・・・
王都にクーデターを起こし、奴隷制度を作り出した張本人・・・

「クロ、貴方の使い魔にはリン以外にもう一人いるわね?」
「メリィの事?」
「少し驚くかもしれないけど聞いて」
「なんなんだよ、何でメリィが話に出てくるんだ?」

おかしい、明らかにおかしい。
レイチェルさんがシロを知っていた事、メリィの事だってそうだ。
一度だって会っていないのに・・・

「ルビーよ」
「え?」
「教祖の正体、それはメリィちゃんの母親にしてメリィちゃんを人物・・・ルビーしか考えられないわ」

何を言っているんだ?
教祖の正体がルビーさん?
確か、メリィの母親で感じの良い人だったのは覚えているが・・・

「ちょっと待ってくれ、もし仮に教祖がルビーさんだったとして、何が目的でクーデターを起こしたんだ?理由がないじゃないか」

ルビーさんが教祖だとしてもクーデターをする理由が思い当たらないのだ。
それに人を物として扱う奴隷制度を作るような人とは思えなかったが・・・

「それを話すためには、クロ、貴方のいる理由を伝えなくてはいけないの」
「俺のいる・・・理由?」

なんなんだよ、全く話が読めない。
教祖の正体がルビーさんだとか、俺のいる理由だとか、訳が分からない・・・

「クロ、貴方は自分の五歳の時のことを覚えているかしら?」
「あぁ、俺が捨てられた日の事だろう?リンが魔物に襲われてる所を契約して倒した・・・」

確か、捨てられて死の森で生きる事を諦めて彷徨っていたのだ。
どうせ捨てられた命だと思い、リンを逃がすために魔物に石を投げたんだったか・・・

「おかしいとは思わない?」
「なにを?」

おかしい?
何がだ?

レイチェルさんは俺のことを真っ直ぐ見る。
何かとても重大な事を言おうとしている。
それが何かは分からないが、聞くと後戻りが出来ないのではないか・・・そんなレベルの事なのだろう。

「クロ、これは貴方の事を苦しませる話かもしれない。それでも真実を受け止めることは出来る?」

俺は一瞬悩んだ。
真実を受け止める?
俺がその事実を知ったら苦しむ?
そこまでの情報なのか・・・?

俺はシロの方をチラリを見る。

何故見たかは知らない。
一度魔王軍から助けてくれたシロなら・・・と何かを期待いたのかもしれない。

シロは俺の顔をじっと見た。
俺は不安気な表情をしているのだろうか?
実際、俺自身は不安なので無意識でシロを見たのだろうが・・・

シロは背伸びして俺の頭をそっと撫でた。
そして優しく微笑みこう言った。

「私はいますよ、クロさんの傍に・・・だから苦しい時は頼ってくださいね」

一瞬で救われた気がした。
そうだ、俺はいつも一人で何でも出来ると過信していた。
周りの協力を得ようとしなかった。
誰かを頼るなどまるでしなかった。
魔王軍が攻めてきた時にそれを思い知らされたはずなのに・・・
どうしてこんな事で悩んでいたんだ?
俺には仲間が沢山いたんだ。

「クロさん、大丈夫ですよ」
「・・・ありがとう」

俺がそう言うとレイチェルさんが再び問いかける。

「クロ、貴方に真実を受け止める事が出来る?」
「あぁ、もちろんだ。俺には仲間がいる・・・苦しんでも、その苦しみを自分から寄越せって言ってくるほどの仲間がな・・・」
「・・・そう、じゃあ言うわ」

レイチェルさんは一息置いて言った。

「クロ、五歳の子供に・・・しかも捨てられた直後の子供が泣き叫びもせず、人を助けようとなんて有り得ない行動なの」
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