異世界球技無双~最強すぎる必殺シュートで伝説のドラゴンや魔王も全てふっ飛ばす!~

空地大乃

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第2章 球技を扱う冒険者編

第44話 ラケットの完成?

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 ラケットの試作品が出来たと言うのでキングとウィンは作業場に向かってみた。

「これがラケットの試作品壱号だ」

 そしてスミスが手にラケットを持ってやってくる。ウィンとキングはそれをマジマジと見た。形は確かにラケットそのものだ。

 柄に当たるシャフトと楕円形のヘッドで構成されヘッドとシャフトの間にはスロートと呼ばれるつなぎ目がある。そしてヘッドにはガットと呼ばれる物も格子状に張り巡らされていた。

 見た目にはかなりスポ根マンガのソレに近い。ただドワーフが作った故がその全ては金属製だ。

「とりあえず試作品は全て魔法鉄ルフランで作成した。エルフは普通の鉄には忌避感を抱くようだが魔法鉄なら幾分かマシだろ?」
「え、えぇ、まぁ。これなら多少は……」

 そしてウィンはスミスが作成したラケットを手渡してもらう。キングはその時ウィンの眉が狭まるのを感じた。

「どうだ?」
「そ、そうね。悪くないわ」
「振ってみたらどうだ?」
「うん、そうだね」

 そしてウィンはその場でラケットを試し振りしてみる。初めて振るラケットの筈だが格好だけ見れば中々様になっていた。

「ふむ、どうせなら試し打ちしてみたいと思うんだが、どこかあるかい?」
「ならこっちに来るといい。試し切り用の木偶がある。それでも目的は達成できるだろう」

 スミスに案内されキングとウィンは裏口から一旦工房の外に出た。そこには確かに金属製の木偶が設置されている。

 かなり頑丈そうだ。これならそう簡単に壊れることもないだろう。

「この木偶に打ってみるといいさ。しかし、これで一体何が出来るんだ? 作ってみて思ったがただの杖じゃないんだよな?」

 スミスも当初はラケットを杖だと考えていたが、自らの手で作成したことで少し違和感を覚えていたようだった。

「確かに普通の杖とはちょっと違うかもだが、ボール」
「キュ~」

 キングが語りかけると、察したようにボールの体が分裂し、もう1匹ボールが増えた。増えたボールはピョンピョンっと飛び跳ねウィンの肩に乗った。

「あは、可愛い」
「キュ~♪」

 ウィンに撫でられ分裂したボールも嬉しそうである。

「ふむ、分裂するスライムはいると聞いたことがあるが、普通はその場合小さくなっていく筈なんだがな」

 2匹に増えたボールを見てスミスが首を傾げた。どうやらボールはスミスからみても変わった存在らしい。

 キングにとってはもう掛け替えのない友だちであり、そういうものだと納得しているが。

「ではボール頼んだ」
「キュ~!」

 キングの言葉を受け、ウィンの肩に乗ったボールが姿を変え、漫画で見たようなテニスボールと化した。

「ウィン、そのボールをラケットで打ってみるんだ」
「で、でも本当に大丈夫?」

 ウィンが心配そうに細い眉を顰める。今までキングの姿は見てきたがやはり自分でやるとなると戸惑いを覚えるようだ。

「キュッ、キュ~!」
「ボールも大丈夫だと言っている。俺だってこれまでさんざん蹴ったり投げたり叩いたりしていたわけだしな」
「う~む、それだけ聞いているととんでもない飼い主に聞こえるな」
「キュッ、キュッキュ~!」
「いや、悪気はないんだ。わかってるってキングがそんな奴じゃないのは」

 思わず出たのであろうスミスのセリフにボールが抗議した。それほどまでにボールはキングに懐いている。

「まぁとにかくキングがこう言ってるんだから躊躇しないでやってみるんだな。よくわからんが、それをしないとお前、使い物にならないんだろう?」
「う、うっさいわね!」

 ガルルと歯牙をむき出しに吠えるウィンだが、このままではどうしようもないのは理解しているようだ。覚悟を決めたのか漫画で見た通りの構えをし、変化したテニスボールを手にとった。

「い、いくわよ!」

 そしてウィンはボールを頭上に向けて投げ、そして落ちてきたボールをラケットで打った。

「ナイスショット!」
「なんだそれ?」
「いや、本では打ったらこう言っていたんだ」
「そうなのか。変わってるな」

 スミスにはいまいち理解できないことのようだ。そしてウィンの打った球だが、見事に木偶に当たった。初めてとは思えないほど上手くいったものだ。

「どう! どうかなキング?」
「う、うむ、その、なんだ、上手く打てていたと思うが……」
「何よ? 何か歯切れが悪いわね」
「いや、そのなんだ。今のだとただボールを打っただけだなと」
「あぁ、確かにそうだな。ラケットという杖でボールを打っただけだ」
「うん、そうね……あ!」

 そこまで話してようやくウィンも気がついたようだ。

「私、魔法使ってない!」
「そうだな……」
「キュ~……」

 そう、ウィンはまさにただラケットで球を打っただけなので当初の目的が成し遂げられていない。

「う~ん、でもこれで魔法ってどうしたらいいんだろう?」
「それはおそらくこの本にヒントがあると思うぞ」
 
 キングがあの本、テニスの魔王様を取り出して見せた。ウィンは改めて漫画を読むが。

「そうか! ラケットを通して魔法を行使するのね!」
 
 どうやらウィンは漫画から何かを掴み取ったようだ。そして改めてラケットを構え、ラケットに精霊の力を込めた。

「ほう、ラケットに風が」
「キュ~!」

 すると、ウィンのラケットにまとわりつくように風が現出、その状態でウィンがラケットを振るとガットに当たったボールにも風が纏われ、ビュオン! という風切り音を奏でながら木偶に球が吸い込まれていった。

「やったわ! 見たキング? 精霊の力が暴走せず発動した、私魔法が使えたの!」
「あぁ、おめでとうウィン」
「……ふむ」
「ありがとう! よし、この調子で次は!」

 そしてウィンは今度はテニスボールに火を纏わせて木偶へ打ち込んだ。見事に命中し、今度は土、雷と続けていく。

「凄いわキング、全く暴走しない。完璧よ」
「うむ、確かに暴走はしてないが……ウィンは本当にそれで満足か?」

 何球かうち終わりウィンは満足げに戻ってきてキングに感想を告げた。だが、キングにはどこか思うところがあったようであり。

「え? うん、私はこれでも十分だと思うけど……」
「いや、駄目だなこりゃ」
「キュッ!?」

 そしてダメ押しするようにスミス自らがそんなことを口にするのだった――
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