異世界球技無双~最強すぎる必殺シュートで伝説のドラゴンや魔王も全てふっ飛ばす!~

空地大乃

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第2章 球技を扱う冒険者編

第60話 アドレスの頑張り

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 アドレスへのゴルフレッスンが始まった。とは言えキングもゴルフが出来るわけではない。故にキングはスポ根漫画の師匠になりきることにした。
 
 スポ根漫画を読み続けたキングはある程度本の登場人物になりきることが可能だ。

「では先ずアプローチショットのやり方だ。ここをこう」
「ひゃっ!」
「ちょ、キング何してるのよ!」
「うん?」

 キングは自然と漫画のとおり、アドレスのフォームを直すために体に触れていた。

 当然、心の準備ができていなかったアドレスは驚き、何故かウィンが不機嫌になる。

「フォームを漫画通りに正そうと思ったんだが……」
「で、でも女の子にそんな密着したら、あ、アドレスだって戸惑ってるし」
「い、いえ! これも私のためにやってくれていることですから!」

 アドレスはすぐに気持ちを切り替えた。ただウィンは若干不満そうだ。

「き、キング、今度私のフォームも見てよ……」
「うん? あ、あぁ勿論かまわんぞ」

 ウィンに問われキングが答えると、ウィンの口元が緩んだ。隣ではハスラーがニヤニヤしている。

「はっは、だったら僕もお願いしちゃおっかなぁ」
「あぁそれも勿論だ」
「いや、冗談だよ! 冗談に決まってるだろう!」
「いや、何であんたまで頬紅いのよ……」
「キュ~?」

 ウィンに抱かれたままボールが頭上に?を作って可愛らしく鳴いた。

 ちなみにキングには全く下心なんてものはないので皆の言動を不思議そうに見ている。

「よし打ってみるか」
「は、はい。でも、よく考えたらこの小さな球ってボールちゃんなんだよね……」
「大丈夫だ。寧ろ気持ちを込めて打てばボールもそれに答えてくれる」

 キングが自信満々に教えてあげた。これまでもそうだった。キングとて最初の頃は遠慮もしたがボールは遠慮されることの方が嫌なのだ。キングもそれに気が付き今は心を込めて思いっきり蹴ったり打ったりしている。

「うん。わかりました。やってみます!」

 そしてアドレスがスタンスを取り初ショットをお見舞いした。フォームはわりと安定していた。
 
 だが、やはりまだ力みすぎている感じがあった。

「悪くないがまだ固いな。もう少し――」

 こうしてキングもちょいちょい指導しフォームを修正していく。これにはウィンとハスラーも加わって色々指摘してくれた。こういうのは客観的に見ることでわかることもある。

 そして次第に暗くなる。

「今日はそろそろやめておこうか」
「いえ、もう少しだけ――」

 アドレスはそれからも更に周囲が見えなくなるまで杖を振り続けた。

「今日はありがとうございました。あの、これからは私がなんとか」
「……それがだ、どうやら俺たちは日程をちょっと間違っていたみたいでな。もう少しだけこの街で過ごさないといけないんだ」
「そうそう。だから明日も付き合うわ!」
「おう! 頑張ろうぜ!」
「キュッキュ~♪」
「皆さん……」

 勿論これは嘘だったがキングは二人と相談してもう少し付き合うことにしたのだ。

 そして次の日、外は雨だった。

「これは難しいかな?」
「いえ、やります! あ、でも皆さんは」
「おいおい、仲間はずれはなしだぜ?」
「そうよ。それに雨ぐらい逆に気持ち良いぐらいじゃない?」
「キュッキュッ~」
「はは、確かにそうかもな」

 こうして雨の中、アドレスはひたすら杖を振り続けた。そして三日目――

「ふむ。力も抜けて随分とフォームも安定してきたが、やはり杖だと限界もあるか」

 キングが顎を擦り感想を述べる。アドレスもやはり慣れてくればくるほどしっくりこない様子だった。

「おいおい誰かと思ったら使えない治療師じゃん」
「こんなところで何やってんだ?」
「プッ、いやだこんなところでお遊戯?」
「ふむ。この少女がお前たちの言っていた元仲間か?」

 すると、アドレスが一生懸命練習しているところへ、四人の冒険者がやってきて声をかけてきた。

「ふむ、この冒険者は確か……」

 キングはこの中の三人には見覚えがあった。酒場でアドレスを追放した冒険者パーティーである。

「しかし安心したぜ。これでもお前の行末を心配してたんだぜ? 治療師として使えないテメェなんてどこも雇ってくれるわけないからな」
「あぁ全くだ。でも良かったないい遊び相手が見つかったみたいで」

 剣士と戦士の言葉にウィンとハスラーは眉を顰めた。元仲間とは思えない言動だ。不機嫌になるのも仕方ない。

「別に遊んでいたわけじゃない。彼女は魔法をより使いこなせるよう訓練中なんだ」
「キュッ、キュ~!」

 ボールがキングの頭の上に乗り、抗議するように高めの鳴き声を上げた。

「訓練? これが? ただの球遊びじゃないの。こんなことで魔法が使いこなせるようになったら苦労しないわ。いい? 魔法はセンスよ。そしてその子には壊滅的にセンスがない。だから治療魔法だって役に立たない。今も、これからもね!」

 杖を突きつけて女魔法使いが断言した。だが、これに腹を立てたのはウィンである。

「ちょっと聞き捨てならないわね。センスが大事? そんなの決めつけに過ぎないわ! 現に私はこのキングに球技を教えてもらってセンスがないと思っていた精霊魔法に希望がもてたもの!」
「きゅ、球技? 何だそりゃ?」
「あ、もしかしてその玉転がしがそうなのか?」
「プププッ、驚いた。本当にそんなもので魔法が使いこなせると思ってるなんて」
「「「ギャハハハハハハハハ!」」」

 三人が腹を抱えて笑い出す。アドレスは悔しそうにうつむいていた。

「アドレス頭を上げるんだ。君は強い」
「え?」
「少しでもゴルフに触れて、この短時間で一心不乱にクラブを振り続けた。君の精神はかなり強くなってる筈だ」

 キングに言われ、ハッとした顔を見せる。元々アドレスはメンタルに問題があった。だがここ数日の特訓で何かが変わってきたような気がしてきていた。

 故にアドレスは頭を上げる。その様子に剣士の男が顔をしかめる。

「チッ、生意気な顔だな」
「これこれ、ボギーそういうことを言ってはいけませんよ」
 
 すると高齢の男が間に入って仲裁するような仕草を見せてきた。

「ふむ、前は見なかった顔だな」
「えぇ。そこのアドレスでしたか? 彼女が抜けて変わりにこのパーティーに加えて頂いたオーガスタですどうぞ宜しく」
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