侍と忍者の記憶を持ったまま転生した俺は、居合と忍法を組み合わせた全く新しいスキル『居合忍法』で無双し異世界で成り上がる!

空地大乃

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第二章 サムジャともふもふ編

第103話 サムジャと試練のダンジョン 其の一

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「節約も楽ではないな」

 ゾンビが迫る中、俺はサムライの基本となる居合の抜刀だけを頼ってゾンビの群れの中を突き進んでいた。

 忍法は魂の減りが激しいと考えたからだ。ステータス画面でも残りの魂がわかるわけじゃないが、感覚で減ってるのがわかるのと、目をチャクラで強化することで魂の力、つまり魂力が可視出来るようになったからだ。現世ではこんなのは現れなかったのでこのダンジョン特有の現象かもしれない。

 魂の力は炎のように俺の体から吹き出ている。魂の炎ってところか。この炎は忍法を多用すると段々と弱まってくる。そしてこれが消えた時が魂の死ってわけだ。

 魂が消えたらもう俺は戻ることが出来ない。この炎は一定量以上は維持しておいた方がいいだろう。そうなった時、ここでむやみやたらと忍法を使うのはやはり得策ではない。

 だから今は忍法に頼らない方法でゾンビを掻い潜りながらダンジョンを疾駆していたわけだが。

「ガアアァァアアア」
「チッ、しまった」

 ゾンビに捕まってしまった。こいつら俺を捕まえたあとはそのまま組み付いて離れようとしない。

 現世のゾンビと違って噛み付いてくることはなかった。だが、そのまま密着されてると魂が弱まる感覚に見舞われた。

 こいつらきっと魂力を吸収しているんだろう。地味に嫌な攻撃だ。殴りつけ無理やり剥がす。放っておくと他のゾンビもワラワラやってきて覆いかぶさってくるからな。

「居合忍法・抜刀烈火連弾燕返し!」

 流石に居合だけで厳しいなと思ったときは忍法も使わないとどうしようもない。使うときは躊躇せず思いっきりだ。

 烈火連弾は正面に火球をばら撒ける。燕返しと組み合わせたことで量も増えて正面のゾンビが燃え尽き海が割れたように直線の道が生まれた。

「居合忍法・影走りの術!」

 チャクラで足を強化した上で忍法で更に加速する。直線を一気に駆け抜けて空間を抜けた。

 横穴に飛び込み再び歩いて進む。ここは狭い横穴だな。ゾンビが追ってくることはない。そしてこっからゾンビは見なかった。

 どうやらゾンビの跋扈する地帯は上手いこと抜けたようだ。気配察知で周囲に意識を向けてもゾンビらしき反応はなかった。

 よかったと安心して突き進んだのもつかの間、今度はゴーストが壁をすり抜けて姿を見せた。

「「「「「アハハハハハハハハハ」」」」」

 耳障りな笑い声だ。ゾンビよりはマシだがそれでも五体いるな。一体近づいてきたので抜刀して切った、が斬撃は見事すり抜けてしまった。

 ゴーストはそのまま俺の体を抜けて反対側に向かった。今すり抜けた時に魂力が持っていかれた気がした。

 このダンジョンはこんな敵ばかりか。しかし、普通に攻撃してもすり抜けるだけか。

「キャハハハハハハ!」

 再び耳障りな笑い声を上げ布を被ったようなゴーストが迫ってくる。が、今度は斬撃で切り裂けた。

「アハハッ――」

 ゴーストの笑い声が弱くなったな。まさかやられるとは思わなかったってとこか?

 だが今のはチャクラで強化しての一撃だ。チャクラ操作もここでは魂力を消費して使用するが、そうであるなら俺の斬撃には魂の力が宿っているということになる。

 普通の攻撃がすり抜けても相手は魂の権化みたいな魔物だ。魂力を込めた攻撃なら通じるだろうと思ったら案の定だったな。

「キャハハハッ!」

 さて、これで勝負は決まるかなと思いきや、このゴーストは消えては現れるを繰り返し始めた。
 
 消えるのはこいつらのスキルだろう。ただ消えてる間は向こうも攻撃が出来ないようだ。そうでなければずっと消えて攻撃を繰り返せばいいからな。

 消えるのはこちらを撹乱するのが目的か。だが、それならこっちにも考えがある。

「円殺陣――」

 身構え、サムライのスキルを発動。じっと待っていると間合いに入っていたゴーストが姿を見せ、その瞬間には切り裂かれ消えてていた。

 円殺陣は構えている間、間合いに入った相手に最速の抜刀で切り倒すスキルだ。

 構えを維持している必要があるため、発動中は動けないが、こういった相手には有効だろう。

 案の定、俺の間合いに入ってきたゴーストが次々と切り裂かれていった。

 これで全て倒したな。更に先に進むがゴーストが多い地帯だ。そのたびに円殺陣で対処する。このスキルは忍法に比べると消費が少ないから助かるな。

「「「「「キャハハハハハ!」」」」」

 またゴーストか。俺は円殺陣で迎え撃とうと考えるが、ゴーストは間合いの外から青い火の玉で攻撃してきた。
 
 当たると燃えこそしないがやはり魂に直接ダメージが行く。

 しかし、こいつらまったく近づいてこなくなった。学習しているのか?

 だとしたらやはりこれまで十二人しか攻略出来なかったというダンジョンだけあるな。

 だが、学習するのは俺も同じだ。

「居合忍法・土錬金の術」

 俺は土錬金で苦無を作成。チャクラを込めて投げてゴーストを倒していった。火の玉を放つ時にはこいつらは消えることが出来ないからな。そこを狙えばいいわけだ。

 さて、これでゴーストも対処できるようになった。他にもスキルがあったら別だったがどうやら他には持ってなかったようだ。

 そして俺は先を急いだ――
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