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幕間
第二百九十四話 転生忍者、カイエンと決闘
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姫様の発言や、そこからの兄貴のお膳立てによって俺はカイエンと決闘することになった。
スワローのことをどちらが諦めるか、という内容で、そもそもで言えば婚約という話が嘘ではあるのだが、スワローはカイエンのしつこさに困ってるようだし、長年お世話になっている俺としては助けてあげたいという気持ちが強い。
だが、同時にカイエンの魔法剣というのにも興味が湧いてもいた。
「まさかと思ったけど、その動物たちが全て魔獣だったとはね」
「これで全てではないよ」
「うん?」
『ケーン! ケーン!』
おっと、来たか。上空からキジムナが接近して来て俺達を見下ろすようにしながら旋回した。
「ピィピィ♪」
『ケーンケーン』
「ふふ、ホウライも機嫌良さそうなのじゃ」
キジムナとは口寄せしているからこっちの意思もある程度汲み取ってくれる。だからちょうど近くを飛んでいたようだから来てもらった。
「あれはキジムナか?」
知っていたか。流石は騎士だけあるってとこか。
「驚いたな。あれも従魔なのかい?」
「まぁ、そうなるね」
俺の返事にカイエンは目をパチクリさせた。
「まだ若いのに従魔を四匹か。末恐ろしくなるね。あ、これはいい意味でね」
カイエンが朗らかに笑いながら言った。魔獣使いというのはいるが普通は一匹と契約するだけでも凄いことなようだ。エンサイを従魔にしていたのも他に従魔はいなかったようだしな。
「だが、従える魔獣の数が絶対的な差では無い、大事なのは使いこなせるかどうかだ」
「それには同意しますよ」
どんな武器でも使いこなせなければ意味がないからな。
「ところで、貴方は木製の剣でも魔法剣は使えるのかな?」
「はは、心配は不要さ。もっとも使うかどうかはまた別問題だけどね」
カイエンが答える。木刀でも使用は可能なようだが、すぐに使うつもりはないようだな。
「それではカイエンとジンによる決闘を始めたいと思う。双方準備はいいかな?」
父上が確認をとってくる。勝負の行方を見守る立会人は父上だ。
「いつでもどうぞ」
「こちらも同じく」
「では、始め!」
決闘が始まった。カイエンはまずは様子見といったとろか。俺の見た目が子どもだからというのもあるかもしれない。
だから先にこっちから仕掛ける。
「ほう、いい太刀筋だ」
「それはどうも」
暫くカンカンカンと打ち合う。すると今度はカイエンの方から反撃に転じ上下左右に剣戟を散らしてきた。
ふむ、右、フェイント、左、フェイント、からの袈裟斬り、そのまま突きに繋ぐ、と見せかけて下段か。
「むっ、これを避けるか――」
俺は体を入れ替えてカイエンの背後を取った。飛び上がり頭の上を狙って木刀を振り下ろす。
「小癪な」
腕を上げてこれは受けたか。だけど、それでは終わらない。フェイントを織り交ぜて宙空から斬撃を纏めていく。
「ぬっ――」
顔色が変わった。だけど、それでも全て捌き切ったか。そして着地際を狙って反撃に転じてきた。
だが、それは読んでいた。着地する直前に回転して迫るカイエンに蹴りを叩き込む。
「くっ!」
カイエンは片手持ちで振り下ろしてきていた。だから空いていた方の腕で俺の蹴りを防ぐ。チャクラは込めてないからそこまで効いてないか。
防がれたときの反動を利用して後方に下がる。仕切り直しだ。
「おお、ジンも全く負けてないのじゃ!」
「ピィピィ♪」
「……寧ろ押してる」
「ガウガウ!」
「ウッキィ~」
『うむ、流石は主殿であられますな!』
姫様やマグの歓声が届いた。マガミやエンコウ、そしてエンサイの念も届く。上ではキジムナが優雅に舞い続けていた。
「魔法剣はまだ必要ないと?」
カイエンに向けて問う。これは一応挑発のつもりだ。
「……はは、なるほど。剣一つとってもこれとは本当に末恐ろしい。剣術はスワローからだったか」
「えぇ、たっぷり扱かれましたから」
スワローから教わった構えを取り、そう答えた。
「なるほど。流石は私の愛した人だ」
笑みを浮かべながらそんなことを言う。しかし、すぐにすっと目を細め真顔になった。
「どうやら君が子どもだという認識は捨てたほうが良さそうだ。そして見せてあげようブレイド家の魔法剣――ウィンドブレイド」
カイエンの木刀に風が纏わりついた。これが魔法剣か。
「詠唱破棄か……」
兄貴の呟く声が聞こえた。確かに詠唱はしていなかったな。
「前線の矢面に立つ騎士がいちいち詠唱なんてしていられないからね。魔法剣は詠唱無しで使えてこそ一人前だ」
なるほど。考え方そのものが魔法士とことなるわけか。たしかに直接剣を交えている最中にいちいち詠唱なんてやってられないだろうしな。
「では、行くぞ!」
カイエンが地面を蹴った。さっきまでと速度が違う。風を纏ったことでスピードが大きく向上したか。
「ハッ!」
ズガガガガガガッと十を超える斬撃が一瞬にして放たれた。全て受け止めるが、地面に風による傷が発生していく。斬撃と同時に鋭い風も発生しているからだ。
そして横薙ぎによって突風が発生し、体が後ろに流された。
「耐えたか、だけどこれでどうかな!」
カイエンが剣を振り下ろし、風の刃が飛んできた。魔法剣があれば本来の間合いを超越した攻撃も可能ってことか。だけど、ま。
「忍法・鎌鼬」
発生させた鎌鼬がカイエンの飛ばした風の刃とぶつかり合い相殺された。
「……驚いたな。君も詠唱破棄が出来るのか?」「え? これぐらい普通じゃないの?」
「普通ではないぞジンよ……」
驚くカイエンになんてこと無いように言ってやったら父上が真顔で呟いた。
とにかく、魔法剣も見れたしここからが本番だな。
スワローのことをどちらが諦めるか、という内容で、そもそもで言えば婚約という話が嘘ではあるのだが、スワローはカイエンのしつこさに困ってるようだし、長年お世話になっている俺としては助けてあげたいという気持ちが強い。
だが、同時にカイエンの魔法剣というのにも興味が湧いてもいた。
「まさかと思ったけど、その動物たちが全て魔獣だったとはね」
「これで全てではないよ」
「うん?」
『ケーン! ケーン!』
おっと、来たか。上空からキジムナが接近して来て俺達を見下ろすようにしながら旋回した。
「ピィピィ♪」
『ケーンケーン』
「ふふ、ホウライも機嫌良さそうなのじゃ」
キジムナとは口寄せしているからこっちの意思もある程度汲み取ってくれる。だからちょうど近くを飛んでいたようだから来てもらった。
「あれはキジムナか?」
知っていたか。流石は騎士だけあるってとこか。
「驚いたな。あれも従魔なのかい?」
「まぁ、そうなるね」
俺の返事にカイエンは目をパチクリさせた。
「まだ若いのに従魔を四匹か。末恐ろしくなるね。あ、これはいい意味でね」
カイエンが朗らかに笑いながら言った。魔獣使いというのはいるが普通は一匹と契約するだけでも凄いことなようだ。エンサイを従魔にしていたのも他に従魔はいなかったようだしな。
「だが、従える魔獣の数が絶対的な差では無い、大事なのは使いこなせるかどうかだ」
「それには同意しますよ」
どんな武器でも使いこなせなければ意味がないからな。
「ところで、貴方は木製の剣でも魔法剣は使えるのかな?」
「はは、心配は不要さ。もっとも使うかどうかはまた別問題だけどね」
カイエンが答える。木刀でも使用は可能なようだが、すぐに使うつもりはないようだな。
「それではカイエンとジンによる決闘を始めたいと思う。双方準備はいいかな?」
父上が確認をとってくる。勝負の行方を見守る立会人は父上だ。
「いつでもどうぞ」
「こちらも同じく」
「では、始め!」
決闘が始まった。カイエンはまずは様子見といったとろか。俺の見た目が子どもだからというのもあるかもしれない。
だから先にこっちから仕掛ける。
「ほう、いい太刀筋だ」
「それはどうも」
暫くカンカンカンと打ち合う。すると今度はカイエンの方から反撃に転じ上下左右に剣戟を散らしてきた。
ふむ、右、フェイント、左、フェイント、からの袈裟斬り、そのまま突きに繋ぐ、と見せかけて下段か。
「むっ、これを避けるか――」
俺は体を入れ替えてカイエンの背後を取った。飛び上がり頭の上を狙って木刀を振り下ろす。
「小癪な」
腕を上げてこれは受けたか。だけど、それでは終わらない。フェイントを織り交ぜて宙空から斬撃を纏めていく。
「ぬっ――」
顔色が変わった。だけど、それでも全て捌き切ったか。そして着地際を狙って反撃に転じてきた。
だが、それは読んでいた。着地する直前に回転して迫るカイエンに蹴りを叩き込む。
「くっ!」
カイエンは片手持ちで振り下ろしてきていた。だから空いていた方の腕で俺の蹴りを防ぐ。チャクラは込めてないからそこまで効いてないか。
防がれたときの反動を利用して後方に下がる。仕切り直しだ。
「おお、ジンも全く負けてないのじゃ!」
「ピィピィ♪」
「……寧ろ押してる」
「ガウガウ!」
「ウッキィ~」
『うむ、流石は主殿であられますな!』
姫様やマグの歓声が届いた。マガミやエンコウ、そしてエンサイの念も届く。上ではキジムナが優雅に舞い続けていた。
「魔法剣はまだ必要ないと?」
カイエンに向けて問う。これは一応挑発のつもりだ。
「……はは、なるほど。剣一つとってもこれとは本当に末恐ろしい。剣術はスワローからだったか」
「えぇ、たっぷり扱かれましたから」
スワローから教わった構えを取り、そう答えた。
「なるほど。流石は私の愛した人だ」
笑みを浮かべながらそんなことを言う。しかし、すぐにすっと目を細め真顔になった。
「どうやら君が子どもだという認識は捨てたほうが良さそうだ。そして見せてあげようブレイド家の魔法剣――ウィンドブレイド」
カイエンの木刀に風が纏わりついた。これが魔法剣か。
「詠唱破棄か……」
兄貴の呟く声が聞こえた。確かに詠唱はしていなかったな。
「前線の矢面に立つ騎士がいちいち詠唱なんてしていられないからね。魔法剣は詠唱無しで使えてこそ一人前だ」
なるほど。考え方そのものが魔法士とことなるわけか。たしかに直接剣を交えている最中にいちいち詠唱なんてやってられないだろうしな。
「では、行くぞ!」
カイエンが地面を蹴った。さっきまでと速度が違う。風を纏ったことでスピードが大きく向上したか。
「ハッ!」
ズガガガガガガッと十を超える斬撃が一瞬にして放たれた。全て受け止めるが、地面に風による傷が発生していく。斬撃と同時に鋭い風も発生しているからだ。
そして横薙ぎによって突風が発生し、体が後ろに流された。
「耐えたか、だけどこれでどうかな!」
カイエンが剣を振り下ろし、風の刃が飛んできた。魔法剣があれば本来の間合いを超越した攻撃も可能ってことか。だけど、ま。
「忍法・鎌鼬」
発生させた鎌鼬がカイエンの飛ばした風の刃とぶつかり合い相殺された。
「……驚いたな。君も詠唱破棄が出来るのか?」「え? これぐらい普通じゃないの?」
「普通ではないぞジンよ……」
驚くカイエンになんてこと無いように言ってやったら父上が真顔で呟いた。
とにかく、魔法剣も見れたしここからが本番だな。
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