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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
幕間 弟子入りしたいロイス 其の七
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アーマードボアとやらが暴れているということで、私はその解決に乗り出すためにフロムの町までやってきた。
「ふぅ、ふぅ、この私が来たからには、うぷっ、お、大船に乗った気でいたまえ……」
「大丈夫ですか? 凄く辛そうですけど……」
フローラが心配してくれた。優しい子だ。やっぱりとても可憐だと思う。
「勝手についてきて、わけのわかんないことを言っている馬鹿なんてほっときな」
そしてメラという女は彼女とは対象的な鬼だ。見た目が幾ら美人でも性格が悪すぎる。これで本当にあのメラク様の弟子なのか?
いや、さてはこいつ、メラク様がいないからって調子に乗っているのだな?
そうだそうに決まっている。きっとメラク様が戻って来た途端に猫でも被るつもりだろう。だがそうは行くか。メラク様が戻ってきたならこれまで一体どれだけのことをしたか私がはっきりと伝えてやる。
そうすればきっとこの女にもお仕置きが。
「ククッ、ははは、あ~はっはっはっは!」
「あの、ロイスが額を押さえて、何かどっかの悪役みたいな笑い声をあげてるっす」
「馬鹿に構うんじゃないよ」
て、勝手に先に進むなよ!
「ふぅ、そもそも何で君は冒険者に頼らなかったんだ? あれぐらいの規模の町なら冒険者ギルドぐらいあるだろう?」
ふと思い立ち、移動しながら素朴な疑問をぶつけてみた。
「はい。確かにそうなのですが、実は最近この辺りでダンジョンが発見されてしまって」
「ほう。ダンジョンが」
ダンジョンは冒険者が特に食いつく代物だ。ダンジョンでは貴重な宝や資源が眠っていることがある。その分ダンジョン内にはダンジョンでしか見られないような化け物が潜んでいるから危険でもあるが、そのリスクを考慮してもダンジョンの価値は高い。
「そういえばそうだったね。全くあの辺りも元々は静かな町だったというのに、ダンジョンが発見されたおかげで他所から冒険者がなだれ込んできて騒がしくなったからダンジョンも良し悪しだよ」
「はい。それにダンジョンがあるとどうしても冒険者の目がそっちに向いてしまい、こういった依頼がないがしろにされがちなのです」
そういうことか。ダンジョンの弊害という奴か。ダンジョンが発見されると町の景気がよくなり町が潤うが外部からやってくる連中も増えて治安が悪くなったり本来の業務が滞ったりする。
もっともどんなことでもいい面も悪い面もあるわけだがな。
「しかし、冒険者が外部からかい……」
メラが顎を押さえ何かを考えていた。
「何だ冒険者に興味でもあるのか。まぁあんたもいい年だからそれもわからないでもなグボォ!」
私の顔が爆発した! 熱い痛い!
「なんてことするんだ!」
「いまのはあんたが悪いっす」
チェストにジト目ではっきりと言われた。何だよムキになるってことは事実ってことじゃないか!
とにかく、畑までやってきた。疲れた。
「歩きすぎだろう……ちょっと休まないか?」
「大変だーーーーアーマードボアが出たぞーーーー!」
ついてすぐかよ! どれだけタイミングがいいんだ。
「行くよ。あんたは好きなだけ休んでればいいだろう。そのまま畑の肥やしにでもなるんだね」
「私はうん○か!」
とにかくついていく。すると向こうから土煙が上がっているのが見えた。
「こっちに突っ込んでくるようだね」
「フローラ。私の後ろにいたまえ。君は必ず守る!」
「え? あ、ありがとうございます」
ふっ、いまので確実に好感度があがったな。われながら罪な男だ。
そしてこっちにやってくるアーマードボアとやらが見えてきたわけだが。
――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!
「て、なんだこりゃぁああぁああぁああ!」
やってきたのはとんでもない大きさのイノシシだった。鎧のような鱗で包まれていて、その巨大さたるや、二十頭立て馬車が余裕で蹴散らされそうな程だ。高さだけ見てもちょっとした丘ほどある。
「逃げなくて大丈夫?」
「だ、だだだだ、大丈夫に決まってるじゃないか。嫌だなぁ」
「チェスト、あれの動きを体で止めな。出来るね」
「わかったっす」
「ちょっとまてぇえええぇえ! 何いってんだあんた! お前もわかったじゃないだろう! 魔法士なんだろうお前は!」
「そっす」
「いやそっすって、あんなの体で止めたら死ぬぞ! やめろそんな馬鹿な真似!」
脳筋だとは思ったがそれでもこれは無茶すぎる! 知り合って間もないが目の前で死なれても目覚めが悪い!
「大丈夫っす。任せるっす! 熱血魔法! 熱血拳三倍っす!」
は? 熱血拳? するとチェストの体から湯気が立ち昇る。
そしてやってきたアーマードボアへと向かっていった。
「なんだかよくわからないが骨は拾ってやるぞチェスト……」
「勝手に殺さないで下さい!」
フローラが声を張り上げたが流石にあれは無理だろう。
「うぉおおぉおぉおおっす!」
――ドスゥウゥウゥウウゥン!
「ハァアアァアアアアァアアァアアア!?」
「うるさい奴だね本当に」
呆れた目でメラが俺を見てきたが、いやいやありえないだろう! あの巨大なアーマードボアの突撃を本当に受け止めやがった! 魔法士の仕事じゃないだろう!
「し、メラ姉さんやったっす!」
「よくやったね」
そしてメラが鼻息を荒くしてチェストを押し込もうとしているアーマードボアに近づいていった。
そしてジッとアーマードボアを見ているが。
「おい! なに呑気に見てるんだよ。まさか疲れて魔法が撃てないのか? 全くしょうがないな。ここはこの私が」
手のひらから繰焔弾を出して狙いを定めた。ふふ、これでフローラにいいところを――
「余計なことしてるんじゃないよこの馬鹿! そんなもの使おうとしたら焼き殺すよ!」
「ヒッ!」
な、何なんだ一体。こんな危険なのとっとと狩るべきだろう!
「……この目、怒りに満ちているね。あんたそんなに怒ってどうしたんだい?」
そして何を考えているのかメラが興奮しているイノシシに話しかけ始めた。いやいや、そんなので言葉が通じるわけないだろう!
「ブホォオオォオォォオォオオ! ブフォオオオォオォオォオオオオオ!」
「――なるほどそういうことかい」
「て、わかったのかよ!」
鼻息を荒くしたようにしか見えなかったぞ!
「わかったよ。あんたの気持ちもね。怒る気持ちもわかるさ。だから――」
――ドンッ!
「ぐぼらぁああぁあぁああ!」
「あぁあ、ロイスが!」
な、何だ! 何で私が爆破されてふっ飛ばされてるんだよ!
「こんなので詫びになるかわヵらないけどね。取り敢えずこれで矛を収めちゃくれないかい? 勿論そいつらにはしっかりケジメをつけさせる。約束するよ」
「――ブモォ……」
「あ、アーマードボアが!」
いや、アーマードボアより私だろう! くそ、とりあえず立ち上がるが、見たらアーマードボアが来た道を引き返していた。
「一体何だったんだ? そもそもどうして私を爆破した!」
「うるさいね。アーマードボアを攻撃しようとした罰だよ。それより行くよ!」
「はいっす」
「いやいや、意味がわからん! あれを逃して今度はどこへ行こうというんだ!」
「ふん。決まってるだろう。冒険者ギルドだよ!」
お知らせ
本日より本作の二巻が出荷されます!どうか店頭で見かけたら手にとって頂けると嬉しく思います!
あーはっはっは!というあのキャラも出ます!
「ふぅ、ふぅ、この私が来たからには、うぷっ、お、大船に乗った気でいたまえ……」
「大丈夫ですか? 凄く辛そうですけど……」
フローラが心配してくれた。優しい子だ。やっぱりとても可憐だと思う。
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そしてメラという女は彼女とは対象的な鬼だ。見た目が幾ら美人でも性格が悪すぎる。これで本当にあのメラク様の弟子なのか?
いや、さてはこいつ、メラク様がいないからって調子に乗っているのだな?
そうだそうに決まっている。きっとメラク様が戻って来た途端に猫でも被るつもりだろう。だがそうは行くか。メラク様が戻ってきたならこれまで一体どれだけのことをしたか私がはっきりと伝えてやる。
そうすればきっとこの女にもお仕置きが。
「ククッ、ははは、あ~はっはっはっは!」
「あの、ロイスが額を押さえて、何かどっかの悪役みたいな笑い声をあげてるっす」
「馬鹿に構うんじゃないよ」
て、勝手に先に進むなよ!
「ふぅ、そもそも何で君は冒険者に頼らなかったんだ? あれぐらいの規模の町なら冒険者ギルドぐらいあるだろう?」
ふと思い立ち、移動しながら素朴な疑問をぶつけてみた。
「はい。確かにそうなのですが、実は最近この辺りでダンジョンが発見されてしまって」
「ほう。ダンジョンが」
ダンジョンは冒険者が特に食いつく代物だ。ダンジョンでは貴重な宝や資源が眠っていることがある。その分ダンジョン内にはダンジョンでしか見られないような化け物が潜んでいるから危険でもあるが、そのリスクを考慮してもダンジョンの価値は高い。
「そういえばそうだったね。全くあの辺りも元々は静かな町だったというのに、ダンジョンが発見されたおかげで他所から冒険者がなだれ込んできて騒がしくなったからダンジョンも良し悪しだよ」
「はい。それにダンジョンがあるとどうしても冒険者の目がそっちに向いてしまい、こういった依頼がないがしろにされがちなのです」
そういうことか。ダンジョンの弊害という奴か。ダンジョンが発見されると町の景気がよくなり町が潤うが外部からやってくる連中も増えて治安が悪くなったり本来の業務が滞ったりする。
もっともどんなことでもいい面も悪い面もあるわけだがな。
「しかし、冒険者が外部からかい……」
メラが顎を押さえ何かを考えていた。
「何だ冒険者に興味でもあるのか。まぁあんたもいい年だからそれもわからないでもなグボォ!」
私の顔が爆発した! 熱い痛い!
「なんてことするんだ!」
「いまのはあんたが悪いっす」
チェストにジト目ではっきりと言われた。何だよムキになるってことは事実ってことじゃないか!
とにかく、畑までやってきた。疲れた。
「歩きすぎだろう……ちょっと休まないか?」
「大変だーーーーアーマードボアが出たぞーーーー!」
ついてすぐかよ! どれだけタイミングがいいんだ。
「行くよ。あんたは好きなだけ休んでればいいだろう。そのまま畑の肥やしにでもなるんだね」
「私はうん○か!」
とにかくついていく。すると向こうから土煙が上がっているのが見えた。
「こっちに突っ込んでくるようだね」
「フローラ。私の後ろにいたまえ。君は必ず守る!」
「え? あ、ありがとうございます」
ふっ、いまので確実に好感度があがったな。われながら罪な男だ。
そしてこっちにやってくるアーマードボアとやらが見えてきたわけだが。
――ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!
「て、なんだこりゃぁああぁああぁああ!」
やってきたのはとんでもない大きさのイノシシだった。鎧のような鱗で包まれていて、その巨大さたるや、二十頭立て馬車が余裕で蹴散らされそうな程だ。高さだけ見てもちょっとした丘ほどある。
「逃げなくて大丈夫?」
「だ、だだだだ、大丈夫に決まってるじゃないか。嫌だなぁ」
「チェスト、あれの動きを体で止めな。出来るね」
「わかったっす」
「ちょっとまてぇえええぇえ! 何いってんだあんた! お前もわかったじゃないだろう! 魔法士なんだろうお前は!」
「そっす」
「いやそっすって、あんなの体で止めたら死ぬぞ! やめろそんな馬鹿な真似!」
脳筋だとは思ったがそれでもこれは無茶すぎる! 知り合って間もないが目の前で死なれても目覚めが悪い!
「大丈夫っす。任せるっす! 熱血魔法! 熱血拳三倍っす!」
は? 熱血拳? するとチェストの体から湯気が立ち昇る。
そしてやってきたアーマードボアへと向かっていった。
「なんだかよくわからないが骨は拾ってやるぞチェスト……」
「勝手に殺さないで下さい!」
フローラが声を張り上げたが流石にあれは無理だろう。
「うぉおおぉおぉおおっす!」
――ドスゥウゥウゥウウゥン!
「ハァアアァアアアアァアアァアアア!?」
「うるさい奴だね本当に」
呆れた目でメラが俺を見てきたが、いやいやありえないだろう! あの巨大なアーマードボアの突撃を本当に受け止めやがった! 魔法士の仕事じゃないだろう!
「し、メラ姉さんやったっす!」
「よくやったね」
そしてメラが鼻息を荒くしてチェストを押し込もうとしているアーマードボアに近づいていった。
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