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第五章 転生忍者吸血鬼出現編
幕間 弟子入りしたいロイス 其の十
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sideチェスト
「あれから一週間経つっすが、師匠まだ認めてあげないっすか?」
ロイスはあれからもずっと線の近くで弟子入りの許可が出るのを待っているっす。雨の日も風の日も諦めることなく待ち続けている姿には、僕も感心したものっすが、メラク師匠は弟子入りさせる気はないみたいっす。
「認めるも何もないさね。大体一週間程度居座ったから何だっていうんだい。そもそも私は弟子なんて取る気がないんだからね」
「でも、僕は許してくれたっす」
「は? 何言ってるんだいこの馬鹿は。あんたはただの小間使いとして置いてやってるだけだよ! 勘違いするんじゃないよ!」
「えええぇえぇえええ!」
驚きの事実っす! といいつつも、確かに師匠はいつもこんな感じっす。
でも、そう言いながらも僕の魔法の練習には付き合ってくれたり、色々と手解きしてくれたりするっす。まぁ、それも時折で殆どは薪割りとか掃除とかやらされる事も多いっすけど、でもきっとそれも魔法の勉強には必要なことなんっすね。押忍!
とは言えっす。この様子だとロイスが認められるまでにはまだまだ掛かりそうっすね……
◇◆◇
sideロイス
結局私はまだメラクへの弟子入りを許可されていなかった。そもそもいつも思うが何故それをあのメラが決めるのか……
そしてあれからそろそろ十日が過ぎようとしていた。はぁ、仕方ないから勝手に魔法の練習をしていたりするけど、こんなことで大丈夫なのだろうか?
私はメラク様に弟子入するつもりだが学園にも行くつもりがある。むしろ学園入り前に指導をつけてもらって高い実力をつけ学園でちやほやされて女生徒にモテモテ、コホン実に実のある学園生活を送りたいと思っているのだがな。
「ウホウホウホォオオオ!」
「うん? 何だまたおまえか」
またゴリラがやってきた。やれやれこの森にはどれだけゴリラがいるのやら。しかもなぜか私をよく狙ってくる。
あれから弟子入りの許可こそ貰っていないが、あのメラが移動するたびについていきそしてあの女は事あるごとに私を爆破した。
本当に乱暴な女だ。しかしアーマードボアの件があってからは私も多少はあの女を見直すようになった。
それによく考えてみれば火を扱う魔法の腕は大したものだ。悔しいが私よりも遥かに上を行っている。
だからこそ、爆破されるにしてもただではやられないようしっかりと目で見て確認し、自分なりに研究を重ねた。私にだけではなく、あの女が魔法で狩りをすることもあったのでそれもしっかり見極めようと観察を続けては外で反復練習を繰り返したものだ。
「ウホホォオオオォオオオ、ゴブオォォオォオオオオオ!」
「う~ん、まだまだあの女には及ばないか」
爆発したゴリラが吹っ飛んでいった。ちなみに殺してはいない追い払っただけだ。ゴリラは食べ物じゃないからな。まぁそれにある意味で私の修行相手になってくれているとも言える間柄だ。
「まぁでも最近は少し物足りないかな……」
ゴリラ相手でもそこまでビビることもなくなってしまった。最初は随分と私も怖がっていたものだがな。
「ファイヤーボルト」
「ピギッ!?」
私の魔法で兎が倒れた。ふむ、あまり肉は傷つけずに済んだな。
皮をはぎ血抜きをし、魔法で炙って食事にした。うん、旨い。ここで暫く過ごす内に私もすっかり自分で食材を狩り調理できるまでになった。
誰が助けてくれるわけでもないからな。自分のことは自分で出来ないと話にならない。
「ふん。何も出来なかったボンボンが随分と一丁前のことが出来るようになったじゃないか」
「メラ……」
ふとメラがやってきて私にそんな言葉を投げかけてくれた。
ふぅ、そうか。そういうことなんだな。メラはきっと私がまだまだ甘ちゃんなのを知ってここまで突き放したのだろう。
そして私はメラの後ろについて歩き、小屋を前にして感動を覚えた。なんだろうこの湧き上がる感情は。ただこの線を越えるというだけなのにこれまで出来事が走馬灯のように浮かんでは消えていく。
いや駄目だないちゃダメだ。そうだ、私はいよいよここからスタートが切れるのだ。父上、見ていてください。私はここから変わってみせ――
「だから線を越えるんじゃないよ! 一体何回言わせるんだい!」
「ブホラァアアァアァアァアアア!」
「今日も駄目だった……」
私は森にあった切り株に腰を落とし、ため息を吐いた。
……いやいやいや。おかしいだろう! 流石にさっきのはないよ! わざわざ様子を見にきて(まぁあの後すぐに鳥を撃ち落としていたから、ただの狩りだったのかもだが)おいて線を超えたら爆破とか!
もうあれはほぼほぼ姉弟子として弟弟子を歓迎するとかそんなノリだったよね! それが何だよ!
てかそもそもメラク様はいつ戻るんだよ!
はぁ、本当まいった。全く、流石の私も凹むよ。硝子のハートが粉々に砕け散りそうだよ。
「どうしたんだい? いい若いもんが、そんなしょぼくれた顔しちゃって」
「え?」
ふと、私に掛かる声。随分と優しい声だった。顔を上げると一人のお婆ちゃんがそこに立っていてニッコリと微笑んでいた。
「何か悩みがあるならあたしが聞くよ。どうしたのさね?」
何だろうか。突如声を掛けてきた見知らぬお婆ちゃんだが、何となく心があたたまる気がした。
「実は、私には目的があるのだが、どうも上手く行かなくて……このままでいいのかなとちょっと悩んでしまったんだ」
「なるほどねぇ。ふふ、そういうことは若い時にはよくあるものさ」
「よくあるもの?」
私は何となく聞いてもらえるのが嬉しくて、ついつい話し込んでしまう。
「そうさね。世の中全てが上手くいく奴なんていやしないのさ。時には悩み苦しむこともある。だけどね、重要なのはそこからどう這い上がるかさ。いいかい? 夢を叶える人は絶対に諦めない。そして努力を惜しまない」
「努力を惜しまない?」
「そうさ。勿論努力が全て実を結ぶとは限らない。でもね、成功する人物はすべからず努力しているのさ」
「すべからず努力……」
私は後頭部をガーンっとハンマーで殴られたような衝撃を受けた。これが人生を長く生きた人の言葉の重みというものか。
「だからね少年。決して諦めないことさ。諦めたらそこで試合は終了なんだからね」
諦めたらそこで試合は終了……な、なんて深い言葉なんだ! このちょっとふくよかなお婆ちゃんが凄く神々しく見えてきたぞ!
「あの、ありがとうございます。何か凄く元気が出てきました。あの私はロイスといいますがお名前をお聞きしても?」
「はは、随分と丁寧な口調じゃないか。何かくすぐったくなるねぇ。ちなみに私はメルクさ」
「へぇメル……」
メルク? メルクだって?
私はじっとお婆ちゃんを見る。ニコニコとしているがよく見るととてつもない存在感を覚えた。
メルク、そうだメルク、メルク、メラク!?
「貴方でしたか師匠!」
「は、はぁああぁあああああ!?」
思わず立ち上がり詰め寄るとメラク様は随分と驚かれた様子だった。
「ずっと、ずっと探しておりました。師匠……」
「いやいや! 何言ってるんだい! 誰かと勘違いしてないかい!」
勘違い? ふふ、確かにメルクとメラクでは一文字違う。しかし、だからこそわかったのだ。理由はよくわからないが、きっとメルクという名は偽名!
そういえばメラク様は人とあまり接さない方だったと聞く。だからこそこんな山奥に引っ込んでしまったのだ。それにはきっと山よりも高く海よりも深い理由があるに違いない。
だから、私も敢えてそこに触れるのは止めておこう。
「わかっています。わかっていますとも。ですが、私は全てわかっているのです! ですからどうか、この私を師匠の弟子にして下さい!」
「ま、まいったね。確かに名人と呼ばれることもあるけどねぇ」
「そんな。名人だなんて言葉では足りません! この世界では神に等しい御方なのですから!」
「そんなにもかい! いつのまに!?」
随分と驚いておられる。謙虚な方なのだな。あのメラとは大違いだ。
「師匠どうか! どうかお願い致します!」
私は地べたに膝を付き頭を地面に擦り付けるようにしながら誠心誠意お願いした。ここで弟子入り出来なければ意味がない!
「よ、弱ったねぇ」
「どうかどうか!」
「……本気、なのかい?」
「勿論本気です!」
「そうかい。わかった! それなら弟子にしようじゃないか!」
「ほ、本当ですか!」
「勿論さ。だけど私の教えは厳しいよ!」
「覚悟の上です!」
「えっと、すみませんっす。本気っすかあんた?」
うん? ふと見るとチェストがこっちを見て怪訝そうな顔で聞いてきていた。
「おお、チェストじゃないか」
む、メラク様がチェストを。やっぱりそうだったのだな。
「あ、はい。ご無沙汰してます。それで、その、あんたは本気なんっすか?」
「ふ、当然だ。私は師匠に弟子入することになった。ふふ、見ていろきっと私は師匠の教えて一人前になってみせるからな!」
「は、はぁ……まぁ頑張るっす」
そしてチェストが去っていった。ふふ、どうやら私がメラク様に直接ご指導頂けることになったのが悔しかったようだな。
さぁここからが私の伝説の始まりなのだ!
◇◆◇
sideチェスト
小屋に戻り、さっきみたことを師匠に報告したっす。
「は? あの馬鹿がメルク様に弟子入りだって?」
「そうなんっす。キノコ採りの名人でしたっすよね確か?」
「あぁそうだね。キノコに関しちゃあの人の右に出る人はいないよ」
「……どうしてロイスはその人に弟子入りしたっすか?」
「さぁね。魔法の腕がないことを思い知ってキノコ採りの道に鞍替えしたんじゃないのかい。全くメルク様に迷惑かけなきゃいいけどねぇ」
「は、はぁ……」
「ま、いいさ。好きにやらせときな」
そう言って師匠が向こうに引っ込んだっす。う、う~ん。しかしわかんない人っすねぇ……
お知らせ
本作の2巻が発売中!可愛らしいエンコウとサラぽんがじゃれ合う表紙が目印です!どうぞ宜しくお願い致しますm(_ _)m
「あれから一週間経つっすが、師匠まだ認めてあげないっすか?」
ロイスはあれからもずっと線の近くで弟子入りの許可が出るのを待っているっす。雨の日も風の日も諦めることなく待ち続けている姿には、僕も感心したものっすが、メラク師匠は弟子入りさせる気はないみたいっす。
「認めるも何もないさね。大体一週間程度居座ったから何だっていうんだい。そもそも私は弟子なんて取る気がないんだからね」
「でも、僕は許してくれたっす」
「は? 何言ってるんだいこの馬鹿は。あんたはただの小間使いとして置いてやってるだけだよ! 勘違いするんじゃないよ!」
「えええぇえぇえええ!」
驚きの事実っす! といいつつも、確かに師匠はいつもこんな感じっす。
でも、そう言いながらも僕の魔法の練習には付き合ってくれたり、色々と手解きしてくれたりするっす。まぁ、それも時折で殆どは薪割りとか掃除とかやらされる事も多いっすけど、でもきっとそれも魔法の勉強には必要なことなんっすね。押忍!
とは言えっす。この様子だとロイスが認められるまでにはまだまだ掛かりそうっすね……
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sideロイス
結局私はまだメラクへの弟子入りを許可されていなかった。そもそもいつも思うが何故それをあのメラが決めるのか……
そしてあれからそろそろ十日が過ぎようとしていた。はぁ、仕方ないから勝手に魔法の練習をしていたりするけど、こんなことで大丈夫なのだろうか?
私はメラク様に弟子入するつもりだが学園にも行くつもりがある。むしろ学園入り前に指導をつけてもらって高い実力をつけ学園でちやほやされて女生徒にモテモテ、コホン実に実のある学園生活を送りたいと思っているのだがな。
「ウホウホウホォオオオ!」
「うん? 何だまたおまえか」
またゴリラがやってきた。やれやれこの森にはどれだけゴリラがいるのやら。しかもなぜか私をよく狙ってくる。
あれから弟子入りの許可こそ貰っていないが、あのメラが移動するたびについていきそしてあの女は事あるごとに私を爆破した。
本当に乱暴な女だ。しかしアーマードボアの件があってからは私も多少はあの女を見直すようになった。
それによく考えてみれば火を扱う魔法の腕は大したものだ。悔しいが私よりも遥かに上を行っている。
だからこそ、爆破されるにしてもただではやられないようしっかりと目で見て確認し、自分なりに研究を重ねた。私にだけではなく、あの女が魔法で狩りをすることもあったのでそれもしっかり見極めようと観察を続けては外で反復練習を繰り返したものだ。
「ウホホォオオオォオオオ、ゴブオォォオォオオオオオ!」
「う~ん、まだまだあの女には及ばないか」
爆発したゴリラが吹っ飛んでいった。ちなみに殺してはいない追い払っただけだ。ゴリラは食べ物じゃないからな。まぁそれにある意味で私の修行相手になってくれているとも言える間柄だ。
「まぁでも最近は少し物足りないかな……」
ゴリラ相手でもそこまでビビることもなくなってしまった。最初は随分と私も怖がっていたものだがな。
「ファイヤーボルト」
「ピギッ!?」
私の魔法で兎が倒れた。ふむ、あまり肉は傷つけずに済んだな。
皮をはぎ血抜きをし、魔法で炙って食事にした。うん、旨い。ここで暫く過ごす内に私もすっかり自分で食材を狩り調理できるまでになった。
誰が助けてくれるわけでもないからな。自分のことは自分で出来ないと話にならない。
「ふん。何も出来なかったボンボンが随分と一丁前のことが出来るようになったじゃないか」
「メラ……」
ふとメラがやってきて私にそんな言葉を投げかけてくれた。
ふぅ、そうか。そういうことなんだな。メラはきっと私がまだまだ甘ちゃんなのを知ってここまで突き放したのだろう。
そして私はメラの後ろについて歩き、小屋を前にして感動を覚えた。なんだろうこの湧き上がる感情は。ただこの線を越えるというだけなのにこれまで出来事が走馬灯のように浮かんでは消えていく。
いや駄目だないちゃダメだ。そうだ、私はいよいよここからスタートが切れるのだ。父上、見ていてください。私はここから変わってみせ――
「だから線を越えるんじゃないよ! 一体何回言わせるんだい!」
「ブホラァアアァアァアァアアア!」
「今日も駄目だった……」
私は森にあった切り株に腰を落とし、ため息を吐いた。
……いやいやいや。おかしいだろう! 流石にさっきのはないよ! わざわざ様子を見にきて(まぁあの後すぐに鳥を撃ち落としていたから、ただの狩りだったのかもだが)おいて線を超えたら爆破とか!
もうあれはほぼほぼ姉弟子として弟弟子を歓迎するとかそんなノリだったよね! それが何だよ!
てかそもそもメラク様はいつ戻るんだよ!
はぁ、本当まいった。全く、流石の私も凹むよ。硝子のハートが粉々に砕け散りそうだよ。
「どうしたんだい? いい若いもんが、そんなしょぼくれた顔しちゃって」
「え?」
ふと、私に掛かる声。随分と優しい声だった。顔を上げると一人のお婆ちゃんがそこに立っていてニッコリと微笑んでいた。
「何か悩みがあるならあたしが聞くよ。どうしたのさね?」
何だろうか。突如声を掛けてきた見知らぬお婆ちゃんだが、何となく心があたたまる気がした。
「実は、私には目的があるのだが、どうも上手く行かなくて……このままでいいのかなとちょっと悩んでしまったんだ」
「なるほどねぇ。ふふ、そういうことは若い時にはよくあるものさ」
「よくあるもの?」
私は何となく聞いてもらえるのが嬉しくて、ついつい話し込んでしまう。
「そうさね。世の中全てが上手くいく奴なんていやしないのさ。時には悩み苦しむこともある。だけどね、重要なのはそこからどう這い上がるかさ。いいかい? 夢を叶える人は絶対に諦めない。そして努力を惜しまない」
「努力を惜しまない?」
「そうさ。勿論努力が全て実を結ぶとは限らない。でもね、成功する人物はすべからず努力しているのさ」
「すべからず努力……」
私は後頭部をガーンっとハンマーで殴られたような衝撃を受けた。これが人生を長く生きた人の言葉の重みというものか。
「だからね少年。決して諦めないことさ。諦めたらそこで試合は終了なんだからね」
諦めたらそこで試合は終了……な、なんて深い言葉なんだ! このちょっとふくよかなお婆ちゃんが凄く神々しく見えてきたぞ!
「あの、ありがとうございます。何か凄く元気が出てきました。あの私はロイスといいますがお名前をお聞きしても?」
「はは、随分と丁寧な口調じゃないか。何かくすぐったくなるねぇ。ちなみに私はメルクさ」
「へぇメル……」
メルク? メルクだって?
私はじっとお婆ちゃんを見る。ニコニコとしているがよく見るととてつもない存在感を覚えた。
メルク、そうだメルク、メルク、メラク!?
「貴方でしたか師匠!」
「は、はぁああぁあああああ!?」
思わず立ち上がり詰め寄るとメラク様は随分と驚かれた様子だった。
「ずっと、ずっと探しておりました。師匠……」
「いやいや! 何言ってるんだい! 誰かと勘違いしてないかい!」
勘違い? ふふ、確かにメルクとメラクでは一文字違う。しかし、だからこそわかったのだ。理由はよくわからないが、きっとメルクという名は偽名!
そういえばメラク様は人とあまり接さない方だったと聞く。だからこそこんな山奥に引っ込んでしまったのだ。それにはきっと山よりも高く海よりも深い理由があるに違いない。
だから、私も敢えてそこに触れるのは止めておこう。
「わかっています。わかっていますとも。ですが、私は全てわかっているのです! ですからどうか、この私を師匠の弟子にして下さい!」
「ま、まいったね。確かに名人と呼ばれることもあるけどねぇ」
「そんな。名人だなんて言葉では足りません! この世界では神に等しい御方なのですから!」
「そんなにもかい! いつのまに!?」
随分と驚いておられる。謙虚な方なのだな。あのメラとは大違いだ。
「師匠どうか! どうかお願い致します!」
私は地べたに膝を付き頭を地面に擦り付けるようにしながら誠心誠意お願いした。ここで弟子入り出来なければ意味がない!
「よ、弱ったねぇ」
「どうかどうか!」
「……本気、なのかい?」
「勿論本気です!」
「そうかい。わかった! それなら弟子にしようじゃないか!」
「ほ、本当ですか!」
「勿論さ。だけど私の教えは厳しいよ!」
「覚悟の上です!」
「えっと、すみませんっす。本気っすかあんた?」
うん? ふと見るとチェストがこっちを見て怪訝そうな顔で聞いてきていた。
「おお、チェストじゃないか」
む、メラク様がチェストを。やっぱりそうだったのだな。
「あ、はい。ご無沙汰してます。それで、その、あんたは本気なんっすか?」
「ふ、当然だ。私は師匠に弟子入することになった。ふふ、見ていろきっと私は師匠の教えて一人前になってみせるからな!」
「は、はぁ……まぁ頑張るっす」
そしてチェストが去っていった。ふふ、どうやら私がメラク様に直接ご指導頂けることになったのが悔しかったようだな。
さぁここからが私の伝説の始まりなのだ!
◇◆◇
sideチェスト
小屋に戻り、さっきみたことを師匠に報告したっす。
「は? あの馬鹿がメルク様に弟子入りだって?」
「そうなんっす。キノコ採りの名人でしたっすよね確か?」
「あぁそうだね。キノコに関しちゃあの人の右に出る人はいないよ」
「……どうしてロイスはその人に弟子入りしたっすか?」
「さぁね。魔法の腕がないことを思い知ってキノコ採りの道に鞍替えしたんじゃないのかい。全くメルク様に迷惑かけなきゃいいけどねぇ」
「は、はぁ……」
「ま、いいさ。好きにやらせときな」
そう言って師匠が向こうに引っ込んだっす。う、う~ん。しかしわかんない人っすねぇ……
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