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第四章 モンスターバトル編
第189話 冒険者通りの昼食
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「さて、腹も減ったし、どこかで昼にするか」
中山の言葉に全員が頷いた。
チャレンジも終わって気分は上々。俺たちは歩きながら店を探す。
冒険者通りの昼時は、どこも賑やかだ。
通りを歩けば、香ばしい匂いがそこかしこから漂ってくる。串焼き、スープ、揚げ物。
中には「モンスター由来素材使用」と書かれた看板を掲げる屋台もあり、異世界じみた雰囲気を醸している。
「おお! 肉の匂いがたまらん! 腹が鳴る!」
「ほんとだ、すごくいい匂い。けど、ちょっと暑いね……」
「確かに、七月の日差しは堪えるな。あ、あの店なんてどうだ?」
熊谷が指さした先にあったのは、木目調の看板が印象的な店だった。
【モン・キュイジーヌ】と書かれており、その下には“モンスターと働く食堂”の文字が添えられている。
「へぇ……名前からして、なんか冒険者通りっぽいな」
「中も涼しそうやし、ここにしようか」
入店すると、ひんやりとした空気と香ばしい肉の匂いに思わず息が漏れた。
広い店内では、テーブル席の合間をテイムされたモンスターたちが忙しく動き回っている。
厨房では、蛇型のモンスターが鉄板の前で小さく炎を吐き、料理人がその火力を調整していた。
皿洗い場では、スライムが食器を吸い込み、つやつやに磨き上げている。
「おぉ……これは合理的だな」
「火加減も絶妙だ。あの蛇、仕事ぶりが完璧だぞ」
「こういうのも“冒険者の街”って感じするね」
秋月が微笑み、愛川もうんうんと頷く。
俺たちはモンスター同伴OKの奥の席に案内され、モコたちもそれぞれ椅子の下や隣で落ち着いた。
「あの、ここって撮影しても大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ないぜ。そういうお客さんも多いからな」
「ありがとうございます!」
許可が下りると、秋月はスマフォを取り出し、すぐに撮影を始めた。
まずは店内の雰囲気を一周撮り、モンスターたちの働く様子を軽く映す。
次に「撮れ高」確認のように画面を覗き込みながら、指先で軽くコメントを入力している。
「“テイマーにもおすすめの冒険者ランチ特集”……こんな感じでタイトルつけようかな」
「お、手慣れてるな。もう配信に上げるのか?」
「編集して、夜にまとめて出す予定だよ。皆が食事をしてるシーンも合わせてね」
配信に慣れた秋月らしい手際の良さに感心していると、中山がメニューを指差して声を上げた。
「何々? テイマーオススメのランチメニュー?」
「おおっ、モンスターのパワーアップに繋がると書いてあるぞ! 一体どんなプロティンが入っているんだ!」
「いやプロティンから離れろよ」
熊谷のツッコミに笑いが起こる。
メニューを開くと、モンスター用おすすめとして“エナジーミートボウル”や“冷却パワーフルーツゼリー”といった名前が並んでいた。
「じゃあ俺はこの火蜥蜴ステーキ定食にする!」
「私はスーププレートで。野菜もたくさん入ってるし」
「私はマナカレーにしてみようかなぁ~」
「モンスター用おすすめランチセットか、みんなこれでいい?」
「ワン!」
「ピキィ♪」
「モグゥ!」
「マァ~!」
「ゴブゥ!」
注文を済ませると、すぐに厨房から軽やかな音が響いた。
火花が散り、スパイスの香りがふわりと広がる。
待っている間、モコとモグはテーブルの下でじゃれ合い、
マールは隣の席にいた別の冒険者のモンスターと興味深そうに視線を交わしていた。
ゴブは調理人の仕事ぶりに感心している様子。ラムは近くにいた女性客に撫でられ嬉しそうにプルプルしていた。
「皆楽しそうだね」
「うむ。仲間同士の交流も悪くない」
「こういう平和な時間も、悪くないな」
中山の言葉に熊谷も頷く。
やがて料理が運ばれてきた。
プレートの上には肉厚なステーキ、じゅうじゅうと音を立てながら湯気を上げている。
モンスター用の皿には、野菜と肉を程よく混ぜた栄養食が美しく盛られていた。
「うわぁ……美味しそう!」
「おぉ、香りが最高だな!」
「ワン!」
「ピキィ!」
「モグゥ!」
「ゴブッ!」
「マァ!」
食欲に任せ、皆でスプーンとフォークを手に取る。
ひと口食べると、旨味がじわっと広がった。
「うん、柔らかい……スパイスの香りも丁度いい」
「こっちのスープも美味しい。何か体に良さそうだし」
「このボリューム! 筋肉が喜びの大合唱だ!」
中山が真顔で言い放ち、愛川が吹き出した。
「ははっ、やっぱり中山さんはブレないね」
「筋肉こそ正義だ!」
「いや、食事の話しろよ」
そんなやり取りに笑いが起きる。
気づけば周囲の客たちも笑顔で食事を楽しんでいた。
ふと、隣を見るとモコたちも満足そうに食べ終え、尻尾を振っている。
「皆も満腹みたいだな」
「うん。こうして一緒に食べられるって、なんかいいね」
秋月の言葉に俺も頷いた。
普通の食堂とは違う、けれど妙に落ち着く――そんな空間だった。
食後、会計を済ませて外に出る。
日差しの強い午後の空気が肌に当たり、少しだけ眩しく感じた。
「さて……腹も満たされたし、折角だから次は睦郎の店に行ってみるか、風間」
熊谷が俺にそう話を持ちかけてくれた。
確かに、鬼姫が紹介してくれたのだ。行かない手はないだろう。
「皆はそれで大丈夫かな?」
俺が聞くと、全員が興味ありげに頷いた。
「よし、決まりだな。行こう!」
通りを歩き出す俺たちの後ろで、モコが「ワン!」と元気に鳴いた。
その声が合図のように、みんなの足取りも軽くなった――。
中山の言葉に全員が頷いた。
チャレンジも終わって気分は上々。俺たちは歩きながら店を探す。
冒険者通りの昼時は、どこも賑やかだ。
通りを歩けば、香ばしい匂いがそこかしこから漂ってくる。串焼き、スープ、揚げ物。
中には「モンスター由来素材使用」と書かれた看板を掲げる屋台もあり、異世界じみた雰囲気を醸している。
「おお! 肉の匂いがたまらん! 腹が鳴る!」
「ほんとだ、すごくいい匂い。けど、ちょっと暑いね……」
「確かに、七月の日差しは堪えるな。あ、あの店なんてどうだ?」
熊谷が指さした先にあったのは、木目調の看板が印象的な店だった。
【モン・キュイジーヌ】と書かれており、その下には“モンスターと働く食堂”の文字が添えられている。
「へぇ……名前からして、なんか冒険者通りっぽいな」
「中も涼しそうやし、ここにしようか」
入店すると、ひんやりとした空気と香ばしい肉の匂いに思わず息が漏れた。
広い店内では、テーブル席の合間をテイムされたモンスターたちが忙しく動き回っている。
厨房では、蛇型のモンスターが鉄板の前で小さく炎を吐き、料理人がその火力を調整していた。
皿洗い場では、スライムが食器を吸い込み、つやつやに磨き上げている。
「おぉ……これは合理的だな」
「火加減も絶妙だ。あの蛇、仕事ぶりが完璧だぞ」
「こういうのも“冒険者の街”って感じするね」
秋月が微笑み、愛川もうんうんと頷く。
俺たちはモンスター同伴OKの奥の席に案内され、モコたちもそれぞれ椅子の下や隣で落ち着いた。
「あの、ここって撮影しても大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ないぜ。そういうお客さんも多いからな」
「ありがとうございます!」
許可が下りると、秋月はスマフォを取り出し、すぐに撮影を始めた。
まずは店内の雰囲気を一周撮り、モンスターたちの働く様子を軽く映す。
次に「撮れ高」確認のように画面を覗き込みながら、指先で軽くコメントを入力している。
「“テイマーにもおすすめの冒険者ランチ特集”……こんな感じでタイトルつけようかな」
「お、手慣れてるな。もう配信に上げるのか?」
「編集して、夜にまとめて出す予定だよ。皆が食事をしてるシーンも合わせてね」
配信に慣れた秋月らしい手際の良さに感心していると、中山がメニューを指差して声を上げた。
「何々? テイマーオススメのランチメニュー?」
「おおっ、モンスターのパワーアップに繋がると書いてあるぞ! 一体どんなプロティンが入っているんだ!」
「いやプロティンから離れろよ」
熊谷のツッコミに笑いが起こる。
メニューを開くと、モンスター用おすすめとして“エナジーミートボウル”や“冷却パワーフルーツゼリー”といった名前が並んでいた。
「じゃあ俺はこの火蜥蜴ステーキ定食にする!」
「私はスーププレートで。野菜もたくさん入ってるし」
「私はマナカレーにしてみようかなぁ~」
「モンスター用おすすめランチセットか、みんなこれでいい?」
「ワン!」
「ピキィ♪」
「モグゥ!」
「マァ~!」
「ゴブゥ!」
注文を済ませると、すぐに厨房から軽やかな音が響いた。
火花が散り、スパイスの香りがふわりと広がる。
待っている間、モコとモグはテーブルの下でじゃれ合い、
マールは隣の席にいた別の冒険者のモンスターと興味深そうに視線を交わしていた。
ゴブは調理人の仕事ぶりに感心している様子。ラムは近くにいた女性客に撫でられ嬉しそうにプルプルしていた。
「皆楽しそうだね」
「うむ。仲間同士の交流も悪くない」
「こういう平和な時間も、悪くないな」
中山の言葉に熊谷も頷く。
やがて料理が運ばれてきた。
プレートの上には肉厚なステーキ、じゅうじゅうと音を立てながら湯気を上げている。
モンスター用の皿には、野菜と肉を程よく混ぜた栄養食が美しく盛られていた。
「うわぁ……美味しそう!」
「おぉ、香りが最高だな!」
「ワン!」
「ピキィ!」
「モグゥ!」
「ゴブッ!」
「マァ!」
食欲に任せ、皆でスプーンとフォークを手に取る。
ひと口食べると、旨味がじわっと広がった。
「うん、柔らかい……スパイスの香りも丁度いい」
「こっちのスープも美味しい。何か体に良さそうだし」
「このボリューム! 筋肉が喜びの大合唱だ!」
中山が真顔で言い放ち、愛川が吹き出した。
「ははっ、やっぱり中山さんはブレないね」
「筋肉こそ正義だ!」
「いや、食事の話しろよ」
そんなやり取りに笑いが起きる。
気づけば周囲の客たちも笑顔で食事を楽しんでいた。
ふと、隣を見るとモコたちも満足そうに食べ終え、尻尾を振っている。
「皆も満腹みたいだな」
「うん。こうして一緒に食べられるって、なんかいいね」
秋月の言葉に俺も頷いた。
普通の食堂とは違う、けれど妙に落ち着く――そんな空間だった。
食後、会計を済ませて外に出る。
日差しの強い午後の空気が肌に当たり、少しだけ眩しく感じた。
「さて……腹も満たされたし、折角だから次は睦郎の店に行ってみるか、風間」
熊谷が俺にそう話を持ちかけてくれた。
確かに、鬼姫が紹介してくれたのだ。行かない手はないだろう。
「皆はそれで大丈夫かな?」
俺が聞くと、全員が興味ありげに頷いた。
「よし、決まりだな。行こう!」
通りを歩き出す俺たちの後ろで、モコが「ワン!」と元気に鳴いた。
その声が合図のように、みんなの足取りも軽くなった――。
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