親友と婚約者に裏切られ仕事も家も失い自暴自棄になって放置されたダンジョンで暮らしてみたら可愛らしいモンスターと快適な暮らしが待ってました

空地大乃

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第三章 放置ダンジョンで冒険者暮らし編

第153話 ジムの体験会に行ってみることにした

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 愛川の誘いに乗って、俺たちはスポーツクラブに向かった。その名も【モンスポ!】。モンスターと一緒に通えるフィットネス施設ということで、施設のロゴには人間とモンスターが並んでランニングしているイラストが描かれていた。

「何か見た目からして親近感が湧くな」
「よかった~モンスターと一緒に来てる人も多いみたいなんですよ」
「ワウワウ♪」
「ピキィ♪」
「ゴブゥ~♪」
「モグゥ♪」
「マァ~♪」

 モンスターたちもワクワクした様子で出入り口に目を輝かせていた。普段の道場とは違う、ちょっとポップでオシャレな雰囲気に、期待と緊張が入り混じっているのが伝わってくる。

 大きめの自動ドアがウィンと開くと、受付には笑顔の女性スタッフが立っていた。

「あの、今日は体験会で来たのですが」
「はい、皆様ご一緒で?」

 愛川の問いかけに、女性スタッフが柔らかい口調で応じる。俺とモンスターたちにも視線を向けて確認してくれた。

「モンスターも一緒なのですが大丈夫ですか?」
「もちろんです! うちは“人間もモンスターも一緒に楽しく”がモットーですから」

 ニッコリと笑うスタッフに、モンスターたちが嬉しそうに「ワン!」「ピキィ!」と鳴き声で応じる。既に歓迎されてる空気が温かくてありがたい。

「体験会ではまず体力測定を行ってから、皆様に合った運動を体験していただきます。その後はご自由にどうぞ」

 丁寧な説明を受け、俺たちはレンタルの運動着とシューズを借りることにした。サイズも豊富で、料金もリーズナブル。何より驚いたのは、スライム用や小型モンスター用の専用ウェアまで揃っていることだった。

 更衣室で着替えを終えると、モンスターたちが新しい服に身を包んでポーズを取り始めた。モグはドヤ顔で腕組み、モコはくるりと回って尻尾を揺らす。マールは枝を模したヘッドバンドを嬉しそうに自慢し、ラムはピキューと鳴きながら身体を伸縮させていた。ゴブは額のバンダナを直しながら「ゴブゥ!」と拳を掲げ、戦士感を出していた。

「皆、様になってるなぁ」
「ワン!」
「ピキィ!」
「モグ!」
「マァ!」
「ゴブ!」

 更衣室から出ると、愛川がTシャツとハーフパンツ姿で待っていた。ラフな服装なのに、妙に爽やかに見える。本人も少し恥ずかしそうに頬を赤らめていた。

「愛川も似合ってるよ」
「そ、そうかな……えへへ……」

 照れた笑顔に、うっかりドキッとした。いかん、今は運動だ運動。

 広々としたトレーニングフロアでは、男女一人ずつのインストラクターが迎えてくれた。

「それでは、体力測定から始めていきましょう。ランニングマシーンを順番に使ってくださいね」

 指示に従い、まずは人間チームの俺と愛川が順番に走る。俺は久々の感覚に少し緊張したが、走り出すと意外と身体が軽くて気持ちよかった。道場の稽古で鍛えられた成果かもしれない。

 続いてモンスターたちも挑戦。モコは小刻みに走りながらしっぽをふりふり。ラムは身体を伸び縮みさせてポヨンポヨンと弾んでいた。マールは手をパタパタさせながらしっかりステップを踏み、モグは腕を回しながら懸命に足を動かしていた。ゴブは真剣な顔で全力疾走、インストラクターも思わず「おぉ」と声を漏らすほどの熱意だった。

「お疲れ様でした! 皆さん、平均よりかなり高い数値ですよ!」
「本当ですか? よかった~」
「うん、ちょっと安心した。最近ちゃんと走ってなかったからさ」
「ワンワンッ!」
「モグ~!」
「マァ!」
「ゴブゥ!」
「ピキィ!」

 結果に喜ぶモンスターたち。その様子を見て俺も頬が緩んだ。汗はかいたけど、何とも清々しい気持ちだ。

 体力測定だけでも、来てよかったなと思えた俺だった――。
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