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「グラブルム王国第一王子ベルティクの名において貴様との婚約を解消する!」
さんざん侮辱したあとで私ことクラリス・ウオルターとの婚約を王子は解消した。
やっと解消してくれたと私はホッとする。
実は私はベルティクが好きではないのだ。国王のたっての願いで婚約することになったのだけど。
元々、私の父親であるベスタ公爵は政略結婚を考えていた領地のひとつであるベアルツッア地方は隣国と隣接しており紛争が絶えないのだ。
紛争とはいえ戦いにはお金がかかる。その経費を削減するために私を人身御供として隣国の六十歳を越える辺境伯に嫁入りさせようとしていたのだ。
そんなとき国王陛下から第一王子との婚約を打診してきた。当然父様は娘の幸せより自分の領地の安寧の為に辺境伯との結婚を優先させようとしただが、国王陛下がもし私が第一王子と結婚すればベスタ公爵は親戚となり紛争にも兵を出しやすくなる、相手との交渉も強気にしても良いと交換条件を出した末に、私は第一王子ベルティクと婚約した。
そりゃ、私も最初は喜びましたよ、六十過ぎのおじいさんと結婚させられそうになってたんですから。
でも婚約してベルティク王子はすぐに私の体を求めてきたんです。
当然断りました結婚するまでは綺麗な身体でいないといけませんから。
でもベルティク王子は固い女だと私に唾を吐いて、女遊びにふけるようになりました。
注意をしても全く聞いてもらえず、頬を叩かれたりもしました。
だから私は思ったんですこんなやつと結婚できないと。
ですが、この婚約は国王陛下のたっての願いで実現したもの、それに父様が許すはずがありません。
だから私は計画しました婚約破棄されるように。
私が通っていた学園では特待生制度があり平民からも頭の良い方が入園されるのですが、その中でも黒髪の麗人と呼ばれるクリオラさんは多数の男の方と関係を持っていると言う噂を聞き、私は彼女に直接直談判しました。
ベルティク王子を寝取って欲しいと。
彼女は二つ返事で受けてくれました。元々玉の輿に乗るのが目的だったようです。
段取りは私がしました。ベルティク王子に会えるように手配や予定を教えました。
手癖の悪いベルティク王子はすぐにクリオラさんと関係を持ちました。
彼女は男を手玉に取るのが上手いようでベルティク王子はすぐに彼女の虜になりました。
『あたしはビッチだから、あんなチンポ入れて相手が気持ちよくなると思ってる雑魚なんか相手じゃないわよ』
クリオラさんは逐一私に報告してくれていたので、王子がどの程度クリオラさんに夢中になっていたか手に取るようにわかりました。
国家機密まで彼女にしゃべっているのは驚きましたが。
後は私が浮気のことで王子を責めたり、クリオラさんに嫌がらせをして王子の取り巻きにその姿を見せました。
そして今日この日がやって来たのです。
『ありがとうございます馬鹿王子、婚約を解消してくれて』
心のなかで告げると、ほくそ笑みながら舞踏会場を後にした。
そして私は家を放逐されました。
ベスタ公爵は隣国に嫁入りさせようとしましたが、すでに『婚約者を寝取られる魅力がない女』として噂が広まっており相手にされませんでした。
もちろん流したのは私ですが。
着の身着のまま家を追い出された私は近隣にあるクセム村の一件の家に行きました。
そこは私が避暑地として買ったものです。
扉を開けて中に入ると埃が舞い光の中でキラキラと舞う様は私の来訪を祝ってくれているようでした。
奥の部屋へ行き床板を剥がすと床下には隠し金庫があります。私が作ったものですが。
そこに貯めておいた金貨の袋を取り出す四袋で金貨四百枚、平民なら金貨百枚あれば一生暮らせます。
これは写本をして得たお金を資産運用で増やしたものなのでベスタ公爵の物ではありませんし、あの人の物を売ったお金でもありません。
これから一人で生きていくのに、あの人のお金で生きて生きたくありませんから。
私は隣国グランゼスに向けて馬を走らせました。目的地は更に隣の国ベグラゼ王国です。
そこならベスタ公爵の手は及びませんし自由に生きていけます。
この馬は私が10歳の時に怪我をして競走馬として役に立たなくなったのを譲り受けたもので、あの家に残していけば殺されるだけですので貰ってきました。
代金として金貨10枚を置いてきたので文句はないでしょう。
順調にベグラゼ王国への道を進みました途中盗賊に襲われましたが、なんなく倒してやりましたわ。
私は幼少から剣術の腕は天才で師範も舌を巻くほどでしたから。
そしてベグラゼ王国に入り山奥の一軒家を山ごと金貨二百枚で買いました。
この山は鉱山資源がないと言われている山なので簡単に手に入れることができました。
その家に向かう途中、赤子の鳴き声が聞こえました。こんな山奥でまさかと思いましたが間違いありません。
声のする方へいくと川があり、そこに裸の赤ん坊が捨てられていたのです。
状況から考えて川に投げ捨てた赤ん坊がこの場所に流れ着いて息を吹き返したのでしょう。
酷いことをすると思いましたが、よく見るとこの子には尻尾と耳があるのです。
獣人です。しかし普通の獣人とは違うのです。
普通の獣人は顔は獣で身体中に毛が生えています。赤子といえども同じです。
ですがこの子は耳と尻尾以外は人間なのです。
この子がなに者かは分かりませんが生きているのです見捨てることなどできません。
私はその子を拾い上げ濡れた体を拭き抱きあげました。
抱いてあげるとすぐに泣き止み私をジッと見ます。くりっとした目で私の目をジッと見るのです。
今日からこの子を育てることに決めました。
さんざん侮辱したあとで私ことクラリス・ウオルターとの婚約を王子は解消した。
やっと解消してくれたと私はホッとする。
実は私はベルティクが好きではないのだ。国王のたっての願いで婚約することになったのだけど。
元々、私の父親であるベスタ公爵は政略結婚を考えていた領地のひとつであるベアルツッア地方は隣国と隣接しており紛争が絶えないのだ。
紛争とはいえ戦いにはお金がかかる。その経費を削減するために私を人身御供として隣国の六十歳を越える辺境伯に嫁入りさせようとしていたのだ。
そんなとき国王陛下から第一王子との婚約を打診してきた。当然父様は娘の幸せより自分の領地の安寧の為に辺境伯との結婚を優先させようとしただが、国王陛下がもし私が第一王子と結婚すればベスタ公爵は親戚となり紛争にも兵を出しやすくなる、相手との交渉も強気にしても良いと交換条件を出した末に、私は第一王子ベルティクと婚約した。
そりゃ、私も最初は喜びましたよ、六十過ぎのおじいさんと結婚させられそうになってたんですから。
でも婚約してベルティク王子はすぐに私の体を求めてきたんです。
当然断りました結婚するまでは綺麗な身体でいないといけませんから。
でもベルティク王子は固い女だと私に唾を吐いて、女遊びにふけるようになりました。
注意をしても全く聞いてもらえず、頬を叩かれたりもしました。
だから私は思ったんですこんなやつと結婚できないと。
ですが、この婚約は国王陛下のたっての願いで実現したもの、それに父様が許すはずがありません。
だから私は計画しました婚約破棄されるように。
私が通っていた学園では特待生制度があり平民からも頭の良い方が入園されるのですが、その中でも黒髪の麗人と呼ばれるクリオラさんは多数の男の方と関係を持っていると言う噂を聞き、私は彼女に直接直談判しました。
ベルティク王子を寝取って欲しいと。
彼女は二つ返事で受けてくれました。元々玉の輿に乗るのが目的だったようです。
段取りは私がしました。ベルティク王子に会えるように手配や予定を教えました。
手癖の悪いベルティク王子はすぐにクリオラさんと関係を持ちました。
彼女は男を手玉に取るのが上手いようでベルティク王子はすぐに彼女の虜になりました。
『あたしはビッチだから、あんなチンポ入れて相手が気持ちよくなると思ってる雑魚なんか相手じゃないわよ』
クリオラさんは逐一私に報告してくれていたので、王子がどの程度クリオラさんに夢中になっていたか手に取るようにわかりました。
国家機密まで彼女にしゃべっているのは驚きましたが。
後は私が浮気のことで王子を責めたり、クリオラさんに嫌がらせをして王子の取り巻きにその姿を見せました。
そして今日この日がやって来たのです。
『ありがとうございます馬鹿王子、婚約を解消してくれて』
心のなかで告げると、ほくそ笑みながら舞踏会場を後にした。
そして私は家を放逐されました。
ベスタ公爵は隣国に嫁入りさせようとしましたが、すでに『婚約者を寝取られる魅力がない女』として噂が広まっており相手にされませんでした。
もちろん流したのは私ですが。
着の身着のまま家を追い出された私は近隣にあるクセム村の一件の家に行きました。
そこは私が避暑地として買ったものです。
扉を開けて中に入ると埃が舞い光の中でキラキラと舞う様は私の来訪を祝ってくれているようでした。
奥の部屋へ行き床板を剥がすと床下には隠し金庫があります。私が作ったものですが。
そこに貯めておいた金貨の袋を取り出す四袋で金貨四百枚、平民なら金貨百枚あれば一生暮らせます。
これは写本をして得たお金を資産運用で増やしたものなのでベスタ公爵の物ではありませんし、あの人の物を売ったお金でもありません。
これから一人で生きていくのに、あの人のお金で生きて生きたくありませんから。
私は隣国グランゼスに向けて馬を走らせました。目的地は更に隣の国ベグラゼ王国です。
そこならベスタ公爵の手は及びませんし自由に生きていけます。
この馬は私が10歳の時に怪我をして競走馬として役に立たなくなったのを譲り受けたもので、あの家に残していけば殺されるだけですので貰ってきました。
代金として金貨10枚を置いてきたので文句はないでしょう。
順調にベグラゼ王国への道を進みました途中盗賊に襲われましたが、なんなく倒してやりましたわ。
私は幼少から剣術の腕は天才で師範も舌を巻くほどでしたから。
そしてベグラゼ王国に入り山奥の一軒家を山ごと金貨二百枚で買いました。
この山は鉱山資源がないと言われている山なので簡単に手に入れることができました。
その家に向かう途中、赤子の鳴き声が聞こえました。こんな山奥でまさかと思いましたが間違いありません。
声のする方へいくと川があり、そこに裸の赤ん坊が捨てられていたのです。
状況から考えて川に投げ捨てた赤ん坊がこの場所に流れ着いて息を吹き返したのでしょう。
酷いことをすると思いましたが、よく見るとこの子には尻尾と耳があるのです。
獣人です。しかし普通の獣人とは違うのです。
普通の獣人は顔は獣で身体中に毛が生えています。赤子といえども同じです。
ですがこの子は耳と尻尾以外は人間なのです。
この子がなに者かは分かりませんが生きているのです見捨てることなどできません。
私はその子を拾い上げ濡れた体を拭き抱きあげました。
抱いてあげるとすぐに泣き止み私をジッと見ます。くりっとした目で私の目をジッと見るのです。
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