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11 彼らの能力は高い
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「……ちょっと、あなたたち。その剣はどうしたの?」
私の問いに、四人は顔を見合わせてから、少し照れたように笑った。
「ぼくらのお金で買ったんだよ」
「ブレスラウ(※都市)の加治屋で、100デナール銀貨出して買った」
「行商の手伝いの報酬とか、領主の使い走りで銀貨をもらったりして、お金をためたんだ」
「危ないとき、アーデルさんを守れるように!」
青年になっても変わらない、まっすぐな瞳でこちらを見ている。
ちなみに、ブレスラウは現在のポーランド南西部にある都市で、中世の時代ではこの現在地から1日かけて移動した距離にある。
アカが、肩に担いでいた麻袋を土間の上にドサッと置いた。
袋の口をゆるめると、血の匂いと冬の冷気が混ざった生肉の香りがふわりと広がる。
「あとこれ。解体しておいたから。持ってきたぜ」
その言い方はぶっきらぼうだが、尻尾がわずかに誇らしげに揺れている。
袋の中には、イノシシの腿肉と肩肉、そしてウサギ数羽の枝肉(※内臓や頭・皮などを除いた状態の肉)まで入っていた。
山を三つ越えた向こうにいるのは、シレジア原野でよく見られるユーロピアン・ワイルドボア(※イノシシ)で、冬の猪は脂が厚く、農村では何よりのごちそうだ。
「こんなに……? アカ、これはさすがに取りすぎじゃない?」
私が驚いて声をあげると、アカは耳をぴくりと動かした。
「冬だし、保存もできるし。あまったら干せば長持ちするだろ」
ギンが補足するように、
「煙でいぶせば、春まで持つ。ハムみたいになる。なんなら、僕が魔法薬で長期保存できるようにする」
と、冷静に言う。
彼は魔法薬などの発明がうまい。
「ありがとう。本当に、あなたたちってすごいわ」
お礼を言うと、彼らはうれしそうにしっぽをゆらす。
袋の中の肉を見下ろしながら、このままでは食べきれない量だと判断し、私はマチルダへ向き直った。
「マチルダ、よかったら少し持って帰って。
あなたのところでも肉は必要でしょ?」
マチルダの目がぱっと輝いた。
「えっ、いいの?
こんな上等な肉、最近ぜんぜん手に入らなかったのよ!
みんなも喜ぶわ。お礼に、パンを焼いたら持ってくる!」
彼女はうれしそうに猪の肩肉を抱え、自分の腰袋にうまく詰めてから、四人に向き直った。
「それでね、あなたたちにお願いがあるの」
青年たちは一斉に耳をぴんと立てる。
「教会の掃除を手伝ってほしいの。
ハイン爺が腰を痛めててね。教会には、長椅子とか聖壇の机とか、重いものが多いでしょう?
あなたたちなら、楽に動かせるはず」
教会の長椅子は、堅いブナ材かオーク材で作られ、二人では持ち上がらない重さがある。
聖壇のテーブルも厚板を釘で固定した丈夫な造りで、村人にとっては大仕事だった。
四人は少し顔を見合わせた。
この時代では、シレジアのような貧しい村では「助け合い」のような相互扶助があたりまえだった。
だから、彼らは村人からのSOSを断らないだろう。
助け合いというのは、同情や優しさなどではなく、でも冷酷な弱肉強食でもない。
明日、自分が倒れたときに、同じように助けてもらうための約束なのだ。
マチルダも、彼らはうなずいてくれることがわかっていたようだけど、彼女はふいに悪戯っぽく笑った。
「お礼にね、アーデルがみんなの頭なでてくれるってさ」
「「「「行く!!!!」」」」
四人は反射的にそろって叫んだ。
耳がぴんと跳ね、尻尾が一斉にぶんぶんと揺れる。
マチルダは笑いがこらえられず、肩を揺らした。
「ずいぶん人気者ね、アーデル。
こんなに反応が早い男衆、村でも見たことないわ」
私は苦笑した。
まったく、反抗期が来ないどころか、甘え方ばかり上手になっている。
私の問いに、四人は顔を見合わせてから、少し照れたように笑った。
「ぼくらのお金で買ったんだよ」
「ブレスラウ(※都市)の加治屋で、100デナール銀貨出して買った」
「行商の手伝いの報酬とか、領主の使い走りで銀貨をもらったりして、お金をためたんだ」
「危ないとき、アーデルさんを守れるように!」
青年になっても変わらない、まっすぐな瞳でこちらを見ている。
ちなみに、ブレスラウは現在のポーランド南西部にある都市で、中世の時代ではこの現在地から1日かけて移動した距離にある。
アカが、肩に担いでいた麻袋を土間の上にドサッと置いた。
袋の口をゆるめると、血の匂いと冬の冷気が混ざった生肉の香りがふわりと広がる。
「あとこれ。解体しておいたから。持ってきたぜ」
その言い方はぶっきらぼうだが、尻尾がわずかに誇らしげに揺れている。
袋の中には、イノシシの腿肉と肩肉、そしてウサギ数羽の枝肉(※内臓や頭・皮などを除いた状態の肉)まで入っていた。
山を三つ越えた向こうにいるのは、シレジア原野でよく見られるユーロピアン・ワイルドボア(※イノシシ)で、冬の猪は脂が厚く、農村では何よりのごちそうだ。
「こんなに……? アカ、これはさすがに取りすぎじゃない?」
私が驚いて声をあげると、アカは耳をぴくりと動かした。
「冬だし、保存もできるし。あまったら干せば長持ちするだろ」
ギンが補足するように、
「煙でいぶせば、春まで持つ。ハムみたいになる。なんなら、僕が魔法薬で長期保存できるようにする」
と、冷静に言う。
彼は魔法薬などの発明がうまい。
「ありがとう。本当に、あなたたちってすごいわ」
お礼を言うと、彼らはうれしそうにしっぽをゆらす。
袋の中の肉を見下ろしながら、このままでは食べきれない量だと判断し、私はマチルダへ向き直った。
「マチルダ、よかったら少し持って帰って。
あなたのところでも肉は必要でしょ?」
マチルダの目がぱっと輝いた。
「えっ、いいの?
こんな上等な肉、最近ぜんぜん手に入らなかったのよ!
みんなも喜ぶわ。お礼に、パンを焼いたら持ってくる!」
彼女はうれしそうに猪の肩肉を抱え、自分の腰袋にうまく詰めてから、四人に向き直った。
「それでね、あなたたちにお願いがあるの」
青年たちは一斉に耳をぴんと立てる。
「教会の掃除を手伝ってほしいの。
ハイン爺が腰を痛めててね。教会には、長椅子とか聖壇の机とか、重いものが多いでしょう?
あなたたちなら、楽に動かせるはず」
教会の長椅子は、堅いブナ材かオーク材で作られ、二人では持ち上がらない重さがある。
聖壇のテーブルも厚板を釘で固定した丈夫な造りで、村人にとっては大仕事だった。
四人は少し顔を見合わせた。
この時代では、シレジアのような貧しい村では「助け合い」のような相互扶助があたりまえだった。
だから、彼らは村人からのSOSを断らないだろう。
助け合いというのは、同情や優しさなどではなく、でも冷酷な弱肉強食でもない。
明日、自分が倒れたときに、同じように助けてもらうための約束なのだ。
マチルダも、彼らはうなずいてくれることがわかっていたようだけど、彼女はふいに悪戯っぽく笑った。
「お礼にね、アーデルがみんなの頭なでてくれるってさ」
「「「「行く!!!!」」」」
四人は反射的にそろって叫んだ。
耳がぴんと跳ね、尻尾が一斉にぶんぶんと揺れる。
マチルダは笑いがこらえられず、肩を揺らした。
「ずいぶん人気者ね、アーデル。
こんなに反応が早い男衆、村でも見たことないわ」
私は苦笑した。
まったく、反抗期が来ないどころか、甘え方ばかり上手になっている。
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